湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

読み手を侮らない

2018-11-30 12:28:30 | 文学

昨日のプレバト!!で梅沢富美男名人が、久しぶりに登場したと思ったらさっそく夏井先生とやりあってましたね。
作品は 関東炊き竹輪麩足して待つ帰り
季語「関東炊き」は関西でのおでんの呼び名。「通常関東炊きに竹輪麩は入れないのだということを、知らないだろうから書いておくよというのは、読者を馬鹿にした態度」とバッサリ。
詠み手にも謙虚な熟考が必要だけど、読者にも鑑賞眼・教養・洞察力が要求されるということですよね。
私たちの素人句会でも、メンバーにしっかりした読解力や知識がないために「なんか、よく分からない」となって選ばれない句が出てきがち。
座の中で語り合いながら、創作力と共に鑑賞力を付けていかないといけないんだなぁ
で、名人の句の添削はこのようになってました。
 竹輪麩を足して夫(つま)待つ雪の夕
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冬の詩パート5

2018-11-29 00:00:11 | オリジナル
共通テーマ「冬」でSが書いた詩を投稿します。

自分のなやみをたなにあげ
――或る冬


物語のない人間なんているだろうか
女のひとが好きという その
物語とはちがう意味だが

まあ ある日から(瞬間のこと)
それがなくなるケースは
いつもある話だ

ともだちは外人(むずかしい本が好きな)と結婚した
なまえは
いや どうでもいいことだ
彼の兄さんが
戦争からかえってきて
性質がかわってしまったことなど

アメリカ・メイン州への電話
部屋を出ようとしない人は
元気? に
元気としかこたえない
答えは
呼びかけにどんどん似てきて
自分の悩みをたなにあげ
わたしたち ここに寄りあつまり
きのうフライパン きょうはカーテンに
とまったままのあのこおろぎみたいだ

真冬のようにはっきり寒い
棚の上の
それぞれの悩みに
ほこりがたまっていく
どんな感情でも無いよりましって
このことだろう
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濁の詩パート2

2018-11-28 09:05:36 | オリジナル
共通テーマ「濁」でSが書いた詩を投稿します。

宇宙にいるのだがと言葉をにごす

宇宙は無構造であると知った
そうでしたか
だが こうして
宇宙にいる
どうしたことか
時間に啄まれ
ぶらさがり
これは 現象にすぎないのか

きのうの虫が鳴いている と書く
ときどき 虫の声をきく
ときどき 虫の声がきこえる
どちらかに〇をつけよ

昭和26年 神戸 早世の母
ああ きゅうに暗くなる
わたしが採集した蛾
ビロードのようにみえたおまえの翅
実に精密ではあるが
鮮明に単純であった
あの ほっそりしたもの
あの ふっくらしたものと同じように
おまえには取り付く島もあった

早起きの蛾よ 活発な魂 と書く
そして おまえの眼状紋
天敵の小鳥を びっくりさせるための
神が翅に創られた壮麗な眼
珍しい驚くべき材料で
わたしだって 組み立てられたといえる
有り触れた病いで死体になっては
落ちついていられない
物質として
化学変化して死ぬのは おもしろくない
真相を知りたい

ああ おまえが広いと感じる 空間
ああ おまえが長いと感じる 時間
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冬の詩パート4

2018-11-27 18:42:23 | オリジナル
共通テーマ「冬」でAが書いた詩を投稿します。

短日

ここは世界のどのあたり
乗客のいないバスが通り過ぎる
夕方のような冬の一日を
断熱材を積んだトラックを
追うつもりではないが
追いかけるようにして
君は一生をかけて走って行く
ほどけない時の荷紐
角を曲がって消えるトラック

君の置き場に
少し積まれた資材
使えるのだろうか
砂利を敷いた地面に
「どっちか区別がつかないくらいよ」
と 妻だった人が腹と並べて見せた
西瓜が冷えてひとつ転がっている
西瓜には君に似た目鼻があり
ごろんと君を見上げている
今は人生のどのあたり
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山本周五郎住居跡

2018-11-26 23:23:12 | 旅行
作家の足跡を求めて都内ポタリング@馬込文士村。

山本周五郎住居跡の案内板。近くに編集者として彼と親交のあった今井達夫のことを記した案内板もありました。

山本周五郎が散歩したという万福寺には、馬込だけに馬の像が。

鎌倉時代の武将梶原景時の子梶原景季に、源頼朝が与えた磨墨(するすみ)という馬だそうです。本当に馬込産の馬らしいです。
で、下の写真は鎌倉霊園の山本周五郎の墓。

馬込と鎌倉がつながりましたね。
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疑うの詩パート3

2018-11-25 12:15:29 | オリジナル
共通テーマ「疑う」でAが書いた詩を投稿します。

芥子の花

君とだけ生きていればよくて
他のヤツラには嘘ばかり吐く
嘘吐き癖が腫れ上がり
君にまで
芥子のように真っ赤な
嘘を吐くようになった
私が私を傷つけていること
君にバレたくなくて

後ろからスカートをめくって
からかい走り去る男の子
自分への関心に応えられず
頬ふくらませて怒る女の子
と同じくらい不器用

男子と女子
私と他者
君と私
人は単体でなくなってしまった時
胸から腹まで捌いて見せる
羞恥に耐えられず
疑惑に満ちた虚構を築く

私の嘘を許すのは君の偽り?
真実が面倒だから?
だとしても
君とだけ生きていればよくて
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冬の虚子庵

2018-11-24 00:17:36 | 文学
先月22日にご紹介した虚子庵跡付近の写真です。

由比ガ浜大通りから程近いけれど、江ノ電が通過する音と踏切の音以外はほとんどしないような場所です。帰化イギリス人の小林米珂氏から買い受けた(買わされた)家はもうないらしいですが、平屋の日本家屋が建っていて当時の雰囲気に近いのではないでしょうか。
ここで虚子が詠んだと思われる冬の句を集めてみました。
諸子来るわが鎌倉の冬日濃し
古き家によき絵かゝりて冬籠
やはらかき餅の如くに冬日かな
我が仕事炬燵の上に移りたる
世の様の手に取る如く炬燵の間
贈り来し写真見てをる炬燵かな

冬は炬燵でいろいろなことをしていたみたいですね。炬燵いいな~
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冬の詩パート3

2018-11-23 09:16:29 | オリジナル
共通テーマ「冬」でTが書いた詩を投稿します。

冬の夜

眠りが訪れない夜更け
ブラインドを上げると
裸木にオリオン星座がかかっている
冬は始まったばかりだ

きのう
体の一部になってしまった
長年の想いを
穴の中に埋めた
雪が降ればその場所もわからなくなる
私のはぎとられた箇所は
春までにふさがるだろう
つららの先に星が宿る早朝の冷たさに
痛みが来ることには耐えよう
きっぱりと身軽になって
歩き始めるのにはよい季節だ

月光はかすかな金属音をともなって
この夜を照らしている
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疑うの詩パート2

2018-11-22 08:37:09 | オリジナル
共通テーマ「疑う」でEが書いた詩を投稿します。

疑念

人は目を合わせれば
一瞬で判断する
美醜ではありませんよ 才の有り無し

芥川の友人が
芥川の読んだ本を
すべて読もうと努力したとか

それで芥川クラスの
頭脳に至ったか
疑念なしとしない

天才は1%のひらめきと
99%の汗だそうだ
この定義 うかと喜べません

忍耐があれば
汗はかける が
ひらめきはおとずれない

だがまあまあ 汗は腹のたしにはなろう
(最近は大分あやしくなってきた)
問題はそれすら出来ない場合

ところで問いたい わが細君は
いかなる勝算があって
かの日承諾したのか

兵站は欠かした覚えはないのだが
老来応接をうかがうに
日々疑念が深くなる

誤りしは彼か我か
そもさん
いかなるか これ過誤
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寺山修司は鏡花好き

2018-11-20 18:23:48 | 文学
寺山修司展は、神奈川近代文学館の外にも仕掛けがあることを一昨日ご紹介しました。入口前でも円柱の短歌が来る人を館内へ誘います。

失いし言葉がみんな生きるとき夕焼けており種子も破片も
館内の展示は文芸、作詞、映画、舞台などと多岐にわたる彼の活動分野ごとにブロック分けされていました。
映画関連の展示には、使用許可を求めて逗子の泉名月宛に書かれた、こんな文面の手紙も。
…小生は映画演劇などの演出をしている寺山修司というものです。
映画は、三年前にアートシアターギルドと連携して、小生の歌集をもとに「田園に死す」というのを作りました。
カンヌ映画祭で、これを見たフランスのプロデューサーのブロンベルジュ氏が、小生に四十分位の短篇映画の制作を依頼してきました。
小生は、かねてから泉鏡花作品を愛してきており、この機会に、鏡花の中篇「草迷宮」を映画にしてみたいと思い立ち、ブロンベルジュ氏に話したところ、氏も非常に乗り気になりました…

そういう訳で「草迷宮」はフランス映画なのです。日本での公開は彼の没後でした。
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