共通テーマ「物」でAが書いた詩を投稿します。
毛糸のカーディガン
春の朝
貧しい女の子が三冬の間着通したカーディガンが
ファイバーリサイクルに出された
ひじに穴があくと同色の毛糸で繕い
ボタンが取れるとつけ直して使ったが
六年生の冬には全体が窮屈になり
裾と襟ぐりは擦り切れほつれた
冬じゅう毎日同じカーディガンで
女の子は恥ずかしかった
けれどカーディガンは
冬じゅう毎日女の子と行動できて幸福だった
木枯し、落葉、藁、焚火、鉛筆、給食、絵具、猫、温めたミルク、チョコレート、石鹸
いろいろな臭いを吸い込んだ
雨や霙や雪も吸い込んだ
旅に出たカーディガンは
他の着古されたセーターたちと合流し
生まれ変わった時に次の持ち主が
冬じゅう毎日使ってくれることを夢見て
繊維に戻る
毛糸のカーディガン
春の朝
貧しい女の子が三冬の間着通したカーディガンが
ファイバーリサイクルに出された
ひじに穴があくと同色の毛糸で繕い
ボタンが取れるとつけ直して使ったが
六年生の冬には全体が窮屈になり
裾と襟ぐりは擦り切れほつれた
冬じゅう毎日同じカーディガンで
女の子は恥ずかしかった
けれどカーディガンは
冬じゅう毎日女の子と行動できて幸福だった
木枯し、落葉、藁、焚火、鉛筆、給食、絵具、猫、温めたミルク、チョコレート、石鹸
いろいろな臭いを吸い込んだ
雨や霙や雪も吸い込んだ
旅に出たカーディガンは
他の着古されたセーターたちと合流し
生まれ変わった時に次の持ち主が
冬じゅう毎日使ってくれることを夢見て
繊維に戻る