湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

成熟の詩パート8

2016-06-30 09:24:37 | オリジナル
共通テーマ「成熟」でKが書いた詩を投稿します。

紫陽花

六月生まれの私に
紫陽花は
あなたの花
そう教えたのは
私の母でした
その花は
じっとりとした雨の中に咲くのです
色薄い花弁は
日増しに青を色濃くします
雨のしずくの重さに耐えながら
益々青を色濃く重ねるのです
そして
最後の雨を受けるその日まで
花弁は、散ることもせず
みずみずしさを失いながら
茎にしがみつき
土の色となり
終わりを迎えるのです
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命脈の詩パート6

2016-06-29 00:00:59 | オリジナル
共通テーマ「命脈」でIが書いた詩を投稿します。



何故 私はここにいるの?
何故 私は生まれてきたの?

そんな疑問に答えられないまま
私は 今日も生きる

何故 私はあなたでないの?
何故 あなたは私でないの?

そんな疑問に答えられないまま
私は 今日も生きる

私は 今日も生きる
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成熟の詩パート7

2016-06-28 12:04:33 | オリジナル
共通テーマ「成熟」でAが書いた詩を投稿します。

スイッチ

渦を巻いて流れてくる
饒舌な唄に誑し込まれ
これから何にでもなれるのに
詐術にかかって成長を止め
ごくありふれた怪物になる

尖った双眸の前に
柔らかな裸が差し出される
短く嘆きの声をあげ
生から降りる仔山羊たち

生贄の骨を乱暴に棄てると
肩をいからせ
胡散臭い正義で互いを脅す

不毛にせめぎ合った末に
手に馴染みすぎて霞んだ刃を
自分自身にも向け始め
よくある見えない怪我や病で
やがて全員が破れ去る

胸にスイッチがあるはずだ
開閉のころあいを正しく計れば
渦に巻かれて亡ばずともすむものを
だれもがタイミングを外す

寂しいと死んでしまうというのは嘘
ありふれた黒色の群衆から抜け出し
右の眼はやさしく
左の眼はかなしく
安らかに腐るまで
怪我や病や老いを見つめ
熟していって人になる

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成熟の詩パート6

2016-06-27 00:00:46 | オリジナル
共通テーマ「成熟」でTが書いた詩を投稿します。

親子

「ランゲルハンス島ってどこにあるの?」
りん りん 倫子が聞く
「からだの中よ」
瑠璃色のイヤリングを付けながら答える私
「からだの中に島があるの?」
倫子は首を傾げる
赤いルージュを塗りながら からかってみる
「膵臓という内臓の中にある大きな島よ」
倫子は口をとがらせて
分からない という顔をする
凛々しいまなざしは冷凍保存しておきたい
垣根に絡まるスイカズラの香りが漂っていた昼下がり

何年が過ぎただろうか
梅雨に入りかけた夕暮れ
珍しく霧が出た
倫子はあやふやになった道を歩き
街のささやきを聞く
手さぐりで 倫子の成熟がはじまる
くちびるも 鎖骨も
乳房も 指も はじめてそれを自覚する
最後に倫子を自覚する
「身長縮んだの?」
りん りん 倫子がからかう
髪も染めなくなった私を
上から見つめる優しいまなざし

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成熟の詩パート5

2016-06-26 03:58:38 | オリジナル
共通テーマ「成熟」でSが書いた詩を投稿します。

タンゴ

ゆっくり熟した
触れなば落ちん風情の
タンゴ
乾きすぎないように
男と女が踊るタンゴ!

バクハツ後のイチヂクの
もう未来はないタンゴ
熟柿のようなもの折り重なっている
タンゴの広野

とつぜん
皺が寄ってき
タンゴの甘い毒の皿
ヒト科の
或る成熟を見るタンゴ!
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言葉で言葉を描くこと

2016-06-25 00:00:54 | 
昨日の合評会で下記の詩について話し合ったことを投稿します。作者は都合により欠席だったので出席者の批評だけになります。

言葉のために書く言葉なんてない

言葉は伝える事をはじめた
ふれ合うよりも明解に

より伝えたいものの思いをまとって
その思いを伝えるために

文字は言葉にかたちを与えた
言葉よりも確実に

心を通わせるために始まった
言葉と文字
日々翻弄させられる

バルザックはすべてはかたちである、そして生命でさえ、一個のかたちなのだと言った

透明なかたちの言葉とかたちある文字
命を持ったものは歩き始める

言葉のために書く言葉なんてない


言葉の音と形について考えている、作者の怜悧さが感じられる作品。
言葉を擬人化してるんですね。
それを分かって読むと、理屈っぽい印象を受けます。
捨てる行がないので、読んでいて息が詰まっちゃうのよ。中盤でもっとドタバタさせてほしいな。
ダダイズム詩のような強く断定するタイトルと最終連の1行が同じになっていて予定調和的な構成。
パラドックス・イロニイ・ブラックユーモアを含んでいて面白いタイトルなので、本体に読者サービスを盛り込んでほしかったです。
言葉というテーマは、一見簡単そうだけど難しいですね。
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命脈の詩パート5

2016-06-24 01:45:36 | オリジナル
共通テーマ「命脈」でAが書いた詩を投稿します。
 恐山極楽浜
極楽浜

赤い橋が跨いでいるのは
カルデラ湖から溢れて川が始まる場所
ハイキーな彼岸には波がない
橋を渡り湖畔に着いて
振り返るとわたしの足跡がない
影が白砂に吸いこまれて消えていく
あたりには草木が一本もなく
動物や虫の姿もない
捨てる神も拾う神もいない
日はいつまでも暮れない

外輪山に囲まれたこの場所には
砥粉色の地面から白煙が昇る地獄丘と
何も映さない水面を囲む極楽浜がある
地獄極楽が共存しているとは思わなかった

知らぬ間に立ちこめてきた蒸気で
視界が朦朧となるのに対し
意識は白く澄む
あなたが「美しい言葉ね」と言っていた命脈
尽きた後の方が明るく永いようだ 
わたしの肌色は薄くなる

旅を振り返ることはなく
あなたのことを忘れ去り
ゆっくりゆるやかに下っていこう
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命脈の詩パート4

2016-06-23 00:33:26 | オリジナル
共通テーマ「命脈」でSが書いた詩を投稿します。

戦争

畑の上に
青空があった
黒く 赤く
B29が染めたあの
昼の空が
非現実的に
青かった
母親が
 わしを さきに 殺せ
 わしを さきに 殺せ
とさけんだ
ジープで来た
白人の米兵たちが
近所のおねえちゃんを
畑で
犯していた
わたしのそばにだれがいたか
記憶にない

一瞬にして というが
一人の人間が
長い時間
苦しめられる場合もある
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成熟の詩パート4

2016-06-22 00:00:55 | オリジナル
明後日6月24日14:00~逗子市民交流センター1階で湘南文芸6月合評会パート2を行います。
H・T・Aの「詩・言葉」の詩を書き写したものを忘れずに持って来てください。見学歓迎。
では、共通テーマ「成熟」でSが書いた詩を投稿します。



耳のない街で
人々は穴ばかり掘っています
ケータイを持って
あんなところに
無花果の葉っぱが落ちています
わたくしは
陰翳礼賛など
ひもとくのはやめましょう

何という静けさでしょう
成人した人々が
穴にこもっています
断食とは無縁な穴
哲学もないのです
わたくしですか
ワタクシハ チチノイタレールノウエデ
チチヲヨンデイマス

穴にこもって
ドロボーのように眼を開けている
ウツそっくりなソウたち
くらい穴が小さな壺になっても
そのなかから
もうやめようという
欠伸もきこえてきません
人々は一つしかない玩具でも
遊べるはずなのですが
(たとえば一本のマッチ棒)で

熟した無花果は
いつ爆発したのか
地平線の男に
電話はつながるのか

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命脈の詩パート3

2016-06-21 10:01:47 | オリジナル
共通テーマ「命脈」でSが書いた詩を投稿します。

幼年への道  

人間にきびしい思いを
抱く時
ひっそりとあかるく
静かにわたしの絵が浮かび上がる

父がすわっているのは
ピアノの椅子だ
ピアノは伯母さんが八百屋さんをして
キクちゃんのために買ったのだ
バクダンが落とされるかもしれない
伯母さん一家が
わたしのうちに住んでいる
子供にはややこしい話だ

わたしはうそをついてしかられている
おとうさんの目をよくごらん
と父はいっている
涙が流れている

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