湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

逗葉文芸「北斗七星」第6号

2015-05-31 11:35:10 | 文学
Tの小説が掲載されている地元の文芸誌「北斗七星」第6号が発行されました。

逗子・葉山・鎌倉の書き手による小説・エッセイ・コラム20編が収められています。
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「湿」の詩パート11

2015-05-29 10:11:10 | オリジナル
噴井の滝@葉山しおさい公園
落差3mの滝は、横に広がりながら水が落下する「布落ち」と、壁面を伝うように水が落ちる「伝い落ち」の複合水流からなり、美しい段瀑の姿をしています。
(現地案内板より)

ということで、今月の共通テーマ「湿」でAが滝について書いた詩を投稿します。

うらみの径

滝壺から昇る水の粒で径は常に濡れている
背後の壁も濡れている
その壁を鑑賞する者はいない
このトンネルのような径では
滝の裏が表 壁が裏ということになる

滝はただ勢いよく流れていく
もの欲し気に後ろから
自分を覗く人間がいるなんて
考える暇もなく
自分に表と裏があるなどとは
全く考える暇もなく

飛沫に濡れながらさんざめく笑顔が表 
隠し持つ恨みが裏という 誰もいわない定理とか
「裏見の滝」(径の入口の看板に書いてある)の見物客より
自分の方がよほどカラッとしていることなど
全く考える暇もなく ただ勢いよく流れていく


 花火の台船来ました~
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ユリイカ掲載

2015-05-28 01:45:55 | オリジナル
昨日は15分以上継続してスポーツをした住民の参加率を競うチャレンジデーでした。逗子市は三次市と対戦して勝ちました

逗子市体育協会の皆さん、お疲れさまでした~

さて、昨日発売の「ユリイカ」6月号「今月の作品」にAの詩「山椒」が、選外佳作として氏名とタイトルのみ掲載されました。
TAKでテーマ「芽」の時に作ったものを、例会の合評内容を反芻しつつ、テーマを大幅に掘り下げたり拡げたり構成や表現を更に工夫したりして、全面的に書き直した作品です。皆で決めたお題がなければ、基となる詩は生まれていなかったはず。この会に感謝です。
その前の号では選に入ったんですけどね。また掲載めざして精進したいと思います。
次の号が出たことだし、5月号掲載時に1カ所誤植があったので正しい表記のものを読んでいただきたいという気持ちもあり「ユリイカ」5月号「今月の作品」に掲載された詩を投稿しますね。

海面の後悔      
 
毎朝
目覚まし時計のアラームで
海底の岩から根こそぎもがれ
灰色のうねりに引きちぎられ
起き上がって悄然と
足許を流れる砂を見る
毎朝の起床儀式が何に対する悔いなのか
長い間わからなかった

夢を見ない君の夢を分析し自分は毎晩夢見を誤ることへの
起きている時間の半分を何の達成もない労働に費やすことへの
自信たっぷりでやるべきことをこなしている体を装うことへの
人と関われば関わるほどずれていく救いのない勘違いへの
法・条例・規則・規定・ルール・約束を破りたい気分への
秘かに君と私以外の人間が死ねばいいと思うことへの
詩の表層だけを読み取って奇怪な深みに恐怖することへの
罰あるいは先回りの後悔か

親や教師が虚ろな意味をひた隠しにして
未熟なままの私を前もって叱責した演技を
なぞっているのだろうか
属している世界の住民であるあなたたちがつまらないせいで
私のせいじゃないといつも弁解していたっけ

引きちぎれた根なし海藻の漂流は
そういう人類が抱えて離せない後悔の航海だ
人々の眠りで堰きとめられていた潮が
貧しい週末に突如来る終末に向けて
毎朝歪んだ海溝に流れ込んでは
洗面台の蛇口から漏れ出てくるのだ
顔を洗うとしょっぱい味がして目に沁みる


この詩に対する選者・藤井貞和さんの評が、なんともいえないいい味なので、併せてご紹介します。
第二連が後悔を羅列しているのは、激しい内容のようであり、単純な勘違いのようでもあり、なかに「詩の表層だけを読み取って奇怪な深みに恐怖する」という後悔もあって、そういう時にはたしかに罰を喰らう。後悔がだんだん、航海へひっかかってきて、海藻にまつわりつかれながら、作者のお目覚めの時間である。そして週末は終末であると気づいて愕然とする。
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冒してくる者らに資格を問う

2015-05-27 01:27:15 | 
自分の感受する力に自信と自尊の心を持ち続けている詩人は、自分を冒してくる者らに対して、その資格を問う。概念や習慣や虚栄に惑わされて鈍感に生きているのに、それに気づかないで日々を送る者たちが、そういう〈自分〉を支配し利用してくることへの不快感の表明である。
H氏賞詩人にして芥川賞作家でもある三木卓さんのこんな文章にすごーく共感。
自分が詩を書いてるからというより、視野の狭そうな人から不快な目にあわされたからなんですけどね

三木卓さんの著書には、鎌倉での日常から生まれたエッセイ集「鎌倉日記」もあります。
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テクはあるけど心がない

2015-05-26 02:02:51 | 
5月の合評会で、Aの詩「青年」について話し合ったことをまとめます。 

 青年
きみの回路はちぎれている
しかし細くつながっている
つながっている部分に激情が通うと汽笛が鳴る
情動から言語への回路は途切れているから
何に腹を立てたのかきいても答えてくれない
「ごめん……説明できない」と身もだえ口ごもる姿が
裸のダビデみたいにセクシーだね
翼を再び大きく広げるために折り畳んでいくような
曲がっているのでも切れているのでもない
関節の角度 その折れ具合
天上の光景のよう
筋肉がスローモーションをつかさどり
掌の礫を包み隠して


:作者の弁 :評者の弁
出だしの4行はレトリックが効いていて詩のテクニックとしてすばらしいんだけど、後半は失速している感じがします。
出だしは彼が珍しく腹を立てた様子だから新鮮味があったんだけど、後半は彼に関して常にもっている固定的で肯定的なイメージでしかないからですね、きっと。
血を流さずにさらさらっと書いちゃったんですよ。
慢心して楽な方に行かずもっと意表を突く表現を、血を流して考えます!
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森鴎外住居跡巡り

2015-05-25 07:20:35 | 旅行
5月17日に行った森鴎外文学散歩のルポ。今日は鴎外住居編を投稿します。

明治22年に海軍中将赤松則良の長女登志子と結婚。その夏、根岸からこちらに移り住んだのだそうです。

現在の住所でいうと台東区池之端3丁目で、天然温泉付き宿泊施設が建っています。ホテルの中庭に鴎外旧居が保存され食事処として使われています。

明治23年に鴎外は登志子と離婚。本郷区駒込千駄木町57番地に転居しました。今の住所でいうと文京区向丘2丁目で日本医科大学同窓会館が建っています。碑文・鎌倉漱石会、題字・川端康成と脇に彫られた碑があります。
そう、ここは鴎外が次の家(終の棲家となった観潮楼)に引っ越してから約十年後に、夏目漱石が移り住んだ場所なのです。文豪の町の中でも文豪濃度の高いスポットですね! ここで漱石が「我輩は猫である」を執筆しその舞台ともなったことから「猫の家」と呼ばれています。塀の上には猫の像が

鴎外は30歳の時、本郷区駒込千駄木町21番地に居を構え、大正11年に60歳で亡くなるまでここに住みました。現在の住所でいうと文京区千駄木1丁目です。この住居跡地が鴎外生誕150年を記念して、平成24年に文京区森鴎外記念館になりました。プロポーザルコンペで選ばれた設計のモダンな建物です。7月12日まで特別展「谷根千“寄り道”文学散歩」を開催中。

外壁にこのような解説板が付けられています。
増築した2階部分から東京湾が眺められたとされたことにより、観潮楼と名付けられた。鴎外はこの地において半生を過ごし、「青年」「雁」「阿部一族」「高瀬舟」「渋江抽斉」など代表作を執筆した。その後、建物は火災や戦災により焼失したが「胸像」「銀杏の木」「門の石畳」「三人冗語の石」は残り、当時の姿を偲ぶことができる。(観潮楼 解説板より)
コメント (2)
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「湿」の詩パート10

2015-05-24 00:59:18 | オリジナル
今月のテーマ「湿」でAが書いた詩を投稿します。

海中の音
もっと浸れ もっと浸れ
海底まで 潜ってしまえ
この場所はcoolでdryでsolid過ぎる
私たちは 豊かで湿った海中から 
偶然 束の間 地表に出てきてしまったので
肌が乾いて 痒くてならない
他の同類に触れると 静電気が起こる 
バチバチと音を立てるだけで 融け合う事ができない
So sad
だからもっと浸れ 浸れ
海中で潮を聞けばもう 
雑音は聞こえなくなる
耳障りな音を 彼方に流し
忘れ去ってしまえ
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「湿」の詩パート9

2015-05-23 11:10:42 | オリジナル
今月のテーマ「湿」でAが書いた詩を投稿します。

羊水過去形
空洞の口から排気(廃棄)した言葉は私の頬に沿って後ろに流れ未来永劫過去の過去
その瞬間には多分全てであったが 現在では霧なのだ 分子はH2O
そりゃ人間になくてはならないものだろう 常に存在するべき分子だろう
しかし責任はもたない(記憶がもたない) 今は次の霧を吐き出している
さっきの霧は後ろに流れ去るだけなのだ
こうして人々も物事も どこにも定着することはなく それぞれが霧の海岸にただ一人
感傷的になって海水と混同したりしている もう二度と戻れない羊水を
浸っていた記憶もないのに 嫌な湿っぽさが最期の時まで続いていく  

共通テーマに沿って詩を書き、月に1回合評会をやっています。
次回は6月3日14時から逗子市民交流センター1階市民活動スペースで開催します。
「湘南文芸」と書いたホワイトボードを使っているテーブルでやってます。見学歓迎。
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小坪の守り子唄 その2

2015-05-22 00:01:04 | 湘南
 海上から見た現在の小坪湾
2月8日に投稿した小坪の「イカ採りの唄」の記事に、熊本のFUSAさんがコメントを寄せてくださいました。彼のブログ「徒然なか話」を拝見したら、イカ採り唄で踊るかわいい子どもたちの動画がアップされていました。その2番の歌詞がなんと、当ブログで紹介したダ・カーポの楽曲の歌詞と違っているではありませんか
明日は鎌倉 何買うてもろか
砂の数ほどよ こまごまと ヨーイヨイ
寝息可愛や何の夢見てる
波の背の背でヨ ゆらゆらと ヨーイヨイ

子守奉公の辛さから束の間解放されてる~、よかった
しかし日本子守唄協会のサイトでは、また違った皮肉っぽい歌詞が紹介されていました。
沖に見えるは いか採り舟か
  さぞや寒かろよ 冷たかろ ヨーイヨイ
嫁に行くなら 西町はおよし
  のぼりくだりのよ 水かつぎ ヨーイヨイ
早く日が暮れ はや夜が明けて
  三月二日がよ 来ればよい ヨーイヨイ
三月二日も 近寄りました
  旦那おかみさんもよ お世話さま ヨーイヨイ
お世話さまとは 言いたいけれど
  長々みじめによ あいました ヨーイヨイ
子守り叱んなんな 子守りはだいじ
  子守り叱ればよ 子にあたる ヨーイヨイ
子守りゃ楽なようで してみりゃつらい
  子守り叱ればよ 子にあたる ヨーイヨイ

さまざまな歌詞が伝わっているんですね。
逗子市立図書館ホームページ「レファレンス事例詳細」によると「わたくしたちの小坪風土記」「鷺の裏歳時記」「かながわのうた」「神奈川県民謡緊急調査報告書」「神奈川ふるさとの民謡」「かながわのうた50選」にイカ採り唄の歌詞が載っているとのこと。読んで比較してみなくちゃ!
コメント (3)
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森鴎外「雁」の舞台

2015-05-21 01:28:52 | 旅行
旅行カテゴリーのコンテンツを増やすべく、この間の日曜日に参加した文学横浜の会&横浜文学学校「森鴎外文学散歩」のルポを投稿します。
訪れたのは台東区・文京区だから日帰りというか半日のツアーでしたけど、国内旅行の行き先トップで外国人旅行者も最近特に大勢訪れている世界のTOKYOですから、このカテでいいんです
 無縁坂
その頃から無縁坂の南側は岩崎の邸であったが、まだ今のような巍々たる土塀で囲ってはなかった。きたない石垣が築いてあって、苔蒸した石と石との間から、歯朶や杉菜が覗いていた。
左側に長く続いている石塀+煉瓦塀の中が旧岩崎邸。高利貸しの末造が囲っていたお玉の家は道を隔てた向かい側、この道はお玉が恋い焦がれる東大生岡田の散歩道という設定になっています。


現在、ラブラブで不忍池&上野の森越しにスカイツリーを眺められるベンチがあるこの場所で、作中の明治時代の東大生たちったら、池に群れる雁を獲って食おうなどと考えていたとは
 「こんな所に立って何を見ていたのだ」と、僕が問うた。
 石原は黙って池の方を指ざした。岡田も僕も、灰色に濁った夕の空気を透かして、指ざす方角を見た。その頃は根津に通ずる小溝から、今三人の立っている汀まで、一面に葦が茂っていた。その葦の枯葉が池の中心に向って次第に疎になって、ただ枯蓮の襤褸のような葉、海綿のような房が基布せられ、葉や房の茎は、種々の高さに折れて、それが鋭角に聳えて、景物に荒涼な趣を添えている。このbitume色の茎の間を縫って、黒ずんだ上に鈍い反射を見せている水の面を、十羽ばかりの雁が緩やかに往来している。
鴎外の住んだ家の跡などを巡った報告は、後日投稿します。
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