湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

小林康治の池子

2016-04-09 15:27:25 | 文学
今日は池子の森自然公園に入れる日なので、お花見がてら行ってみました。

咲いてる、咲いてる! 近くの桜から山の桜まで遠近感を楽しめるのがいいですね。樹齢の高い桜が多い逗子ですが、ここには若い桜がたくさんあってこの先が楽しみです。ファミリーで散策やピクニックができる平和な公園になった池子の森ですが、過去にはこんな状態でした。
俳人小林康治(1912~1992年)の文章をご紹介します。

その頃私は岩田昌寿と共同経営した書籍店に失敗し、長い失職と苦渋の果てに占領米陸軍の要員として米塩の資を得てからふじて生きてゐると言ふ状態であった。
 勤務先は逗子市池子の山あひにある米軍弾薬庫であった。池子弾薬廠は鎌倉、横須賀の山なみにつらなる谷戸の奥に散在し、昼でも野兎や狸が出没すると言ふ辺鄙なところにあり、山肌をくりぬきペトンで三重にかためた日本海軍が東洋一を誇ったものを接収したものであった。
 朝鮮戦争に使用される弾薬の管理と言へば体裁が好いが、人夫同様の仕事であった。
 いつ爆発するかわからない殺人兵器の取扱ひ、米国軍人の蔑視と酷使に耐へて一家の生計を支へるべく僅かな金のために奴隷的な雇傭に悲憤の涙をこらへると言ふ明け暮れであった。

汗し働く基地の炎天生々し  
コメント
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