湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

平の詩パート1

2023-04-29 11:42:01 | オリジナル
新しい共通テーマ「平」でAが書いた詩を投稿します。

命数

あなたにも訪れる終焉の前に 
読んでほしくて
聞かせる時がなかった詩を残し
なんのためかわからず歩んできた
この身を水平に横たえれば
恥の数々が影を消していく

あなたはわたしの言葉を見つけ
羊水を震わせる血の流れ
包み込む体温を思い出し
その後は日々忘れていく
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5月の湘南文芸

2023-04-27 18:06:12 | 文学
明日から逗子海岸映画祭。

今日の例会で、来月の湘南文芸は次のように決まりました。
日時  5月25日(木)15:00~
締切  5月22日(月)
テーマ「儚い」「ほどく」「平」
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桜の俳句

2023-04-26 09:48:29 | 文学
今月の湘南句会は、日本の春と切っても切り離せない「桜」で、詠めただけ投句。

複数の点が入ったのは次の7句でした。
5点 花びらにおおわれてあり大大和(おおやまと)
3点 我よりは染井吉野の永らへず(添削後)
3点 早退のランドセルに桜蘂降る
2点 造成地同じ背丈の桜の樹
2点 富士桜泣き顔らしき雲ほどけ
2点 来る年もまた会えるやと花に問う
2点 この花が一期の花か老い深き
最後の2句は類想的でしたね。最初の5点句についても「ありきたり」「絵葉書句」との指摘がありました。
代表的季語でどこまで独自の句を作れるか…という鍛錬を、また試みたいと思います。
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潔いの詩パート5

2023-04-24 09:03:22 | オリジナル
共通テーマ「潔い」でTが書いた詩を投稿します。
「陽だまりの彼女」@大崎公園
絶滅危惧種

電車から見える学校に
もう灯りはつかない
生徒の声も聞こえない
誰もいなくなって一か月
外壁のくすみが急に目立ってきた
いずれ建物もなくなってしまうのだろう

最後のオープンデイに行った
三時間あまりの開放に
それぞれの年代の同窓生が
三千人も集まった
五十六年ぶりに入った校舎には
十八才の私がいて 親しい友人達もいた
先生方も歩いていた

建物があるだけでよすがになった
潔く諦めなければいけないのだ
出生数が私達の頃の三分の一になってしまったのだから
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煙の詩パート4

2023-04-23 07:13:43 | オリジナル
共通テーマ「煙」でZが書いた詩を投稿します。

禁煙 

花束を持って タクシーに乗った
会社人生最期の日 
命が惜しくて 煙草を止めた

みんなの仲間入りをしたくて
あれ程吐き気を我慢して 覚えた煙草を止めた
傘など役にたたない雨に打たれ ずぶ濡れになっても
買いに行った煙草をやめた

病を得たベッドの上で
「何か欲しいものは」と問われたら
躊躇いなく 「メビウス一本」と言うに違いない
紫煙の呪いは我が身に深く刻まれ 未だ色褪せてはいない
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潔いの詩パート5

2023-04-21 09:53:01 | オリジナル
共通テーマ「潔い」でMが書いた詩を投稿します。
 ティボティエ邸ティボティエの部屋
シクラメンが並ぶ頃
 
毎年11月
目当ての花屋の店頭に 
シクラメンの鉢植えが並ぶ

元気な葉をたっぷりつけている鉢を探し
花の色はその時の気分で決める
大事に持ち帰り 窓辺に置き 
「今日からよろしく」と声をかける

毎朝様子を見て 天気の日は日光浴
土が乾いてきたら たっぷり水を与える
シクラメンが 満足げにぐっと上に向かってのびをする

次々つぼみが現れ
たくさんの花が咲き
そっと枯れていく

そんな潔さに惹かれ
シクラメンが並ぶ頃を待ちわびる
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潔いの詩パート4

2023-04-20 09:34:09 | オリジナル
共通テーマ「潔い」でZが書いた詩を投稿します。フデリンドウの写真もZの撮影です。

意気地ない親子 

どれ程 あおられ 煽てられても
親父と僕は 揃いも揃って
女々しく逃げ回ってきた
偉いお方が宣う箴言も
耳では聞くが 心では聴かず
虚ろに佇んできた
モットーは 面従腹背

それほど ビクビクしながら暮らしてきたが
終ぞ 待ち望んだ安息など訪れはせず
とどの詰まりは 七転八倒の日々

あの日 親父と僕が潔く
彼の箴言に身を任せていたら
今頃 天空の遙か彼方を
旅していたに 違いない
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煙の詩パート3

2023-04-19 09:52:00 | オリジナル
共通テーマ「煙」でMが書いた詩を投稿します。

煙の記憶

幼少期
週末 2階の部屋は雀荘と化す
襖で仕切られた隙間から
もくもくの煙 ジャラジャラする音

飯時
好き嫌いを言う私に
「体にいいから残さず食べろ」と
言う親の指の間から
ゆらゆら揺らぐ煙 もやもやする私
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水の詩パート3

2023-04-18 22:37:08 | オリジナル
共通テーマ「水」でZが書いた詩を投稿します。油壺の浜辺に咲くコケリンドウの写真もZの撮影です。

水いらず

お粥しか食べられなくなった父に
「何が一番たべたい」って言ってみた
「みんなで食べるのが一番旨い」と言われたとき
詫びる言葉が出なかった
逝ってから25年 いまでも褪せない父の心

身体から血の気が引く難題を
捨身の心でどうにかやり過ごした後の
水入らずの仲間との打ち上げ会
それはもう旨かった

みんなと食べる飯は遠く去り
今では孤食の膳が果てなく続いている
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水の詩パート2

2023-04-16 15:05:57 | オリジナル
共通テーマ「水」でTが書いた詩を投稿します。

転がるしずく

時代をひとくくりにして
真実を見つけたところで
今の時代がよくなるわけではない


大賀ハスの花が開くのを見た
外側からゆっくり開き
最後に中央が開(あ)
黄緑色(きみどりいろ)の花托は
光が飛び出したよう
葉の上にある小さな水滴
葉が揺れるたびに転がる

この種は二千年もの間
どれだけの時代を
泥の中で耐えていたのか

十年先も見通せない今日

次々に花は開いた
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