湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

ハロウィン俳句

2020-10-30 23:42:08 | 文学
秋の季語「南瓜」「ハロウィン」でひねってみました。

南瓜切る時床きゅっと鳴りにけり
ハロウィンの庭木に等身大骸骨
ジャコランタン専用ナイフ秋気裂く
ハロウィンに腐り始める大南瓜
リモートの収穫祭で秋暮れぬ
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境の詩パート1

2020-10-28 20:33:35 | オリジナル
新しい共通テーマ「境」でAが書いた詩を投稿します。

透けているからといって抜けられはしない

透明な人がひとり 立ちふさがって
行手を遮る境界などないのに
前へ進めなくなる
私と透明人間の間をすり抜けた蜉蝣
駅の方へ飛んで行く
あんなに透けた羽で
電車に乗って東京まで行くのか

無表情で会釈して
考えごとをしながら引き返す
抜けて行けなくても帰る場所がある
のが 不幸中の幸い
あの人に実体があった最後のとき
約束の場所を示してくれなかった

かがんで
戸口に落ちている硬い骨を拾う
中で電話のベルが鳴るので
拾った骨を放る
電話の主は言った
――ワインを持ってそっちへ行きたいけれど
  電車が怖くて東京から出られない――
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湘南文芸11月の予定

2020-10-27 23:45:57 | 
来月の湘南文芸合評会は11月24日(火)14:00~@逗子市民交流センター1階で開催します。
テーマは「宿る」「境」。テーマまたは自由題の詩を11月21日(土)までに提出してください。

テーブルとテーブルの間に潜水艦ぬいぐるみでディスタンス確保。
先日コースカにオープンしたカレービュッフェ、横須賀海軍カレー本舗ベイサイドキッチンで。
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文コン佳作詩

2020-10-26 21:27:52 | オリジナル
10月23日発行の神奈川新聞に掲載された第50回文芸コンクール現代詩部門佳作入選のTの作品と、審査員の金井雄二さんの評。

五月の校庭

少女は影踏みをすると
最後はいつもきまって友の影の中にいた

明度の高い季節
影は急に濃くなる

「午後またね」
皆お昼で一度帰っていく

二人は残り
笑い合いながら
全速力で互いの影を追う

疲れて腰を下ろすと
少女は友の影にそっと入り
友の魂を吸った

風で藤棚の紫を揺らし
下にはジャーマンアイリスが咲いていた


最初から最後まで、幻想の中にいる詩。
少女はこの幻想の中で、友の魂を吸いながら、
永遠に生き続けるような気がした。
簡潔に表現されている言葉の中に、
はるか昔のノスタルジーと生命への渇望が
感じられる。

作者Tも私たちも、この講評に感激。これこそが作者の持ち続けているイメージであり、詩のひとつの形なのだと改めて感じました。
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暴くの詩パート5

2020-10-24 10:00:00 | オリジナル
共通テーマ「暴く」でSが書いた詩を投稿します。

TARAI MAWASHI

ヒトアバク
ナントマズシイボキャブラリー!
アバクはサバク サバクはアバク
ナラヌ ナラヌ ヘビイッピキアバクナカレ

タライマワシにされるうんめいです
イモウトにイイエンダン
オトウトにもイイエンダン
オネエサン ウンガワルイ
ドンカンになれず
ビンカンがいけない だからタライマワシ

キタナイコトバダ タライマワシ
コドクノヨウニ キタナイコトバダ
ハズカシイカラローマ字で
TARAI MAWASHI
TARAIMAWASHIにされた姉さん
ぼくたちみんな元気です
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耳の詩パート4

2020-10-23 10:05:57 | オリジナル
共通テーマ「耳」でSが書いた詩を投稿します。

厭世の耳

ヒソ ヒソ ヒソ
ぞうやかばなど
大きなものをすてている
私の耳の螺旋カイダンを 笑いながら
私の耳は広野で
文語体の いろいろなものが落ちている
たとえば「パンの耳」とか――

ではごらんください  シンフォニー子守歌を
何? オンガクは見るものになりさがった?
おなかのなかの赤ちゃんも目を閉じないで
小さなモノ あつまれ 石女も 生きのこれ

楽曲の青いろの手に
目かくしをされた私の耳よ 酔いしれたぶん
生きねばならぬが
死んでいるのだ 楽しげに笑ったぶん
生きねばならぬが
    (焚火跡のある広野にて)
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暴くの詩パート4

2020-10-22 20:54:06 | オリジナル
共通テーマ「暴く」でTが書いた詩を投稿します。

奇妙な二人

Tという輪郭の中に
時々赤い色の芽が出る
TがTではなくなる日々
自分だけ爽快な暴君
カラリ カラ カラ空回りの日々
「離婚だ 離婚」
わめきちらすT
芽を引き抜き根まで暴き出したい
どのような栄養を吸い上げれば
発芽するのか いまだ不明
私の輪郭はほどけて
ハラリ ハラ ハラ宙に浮く
穏やかで照れ屋のTが戻ってくるのは
芽が枯れる一か月程先
私は全て聞かなかったことにする

Tの中にはびこった根は
除去できない
まだ まだ発芽はあるだろう


「暴く」「耳」の詩の提出締切は明日23日です。よろしくお願いします。
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即吟で特選

2020-10-21 18:46:14 | 文学
 逗子市民農園で
カナブン俳句教室の参加者が少なめだったので、通常の句会のあと即吟句会をすることに。
その場で決めた2つの席題で、約10分の間に作れるだけ作ります。
5句出した中から「秋晴」3句。
秋晴の駅裏短きシャッター街
秋晴のバックネットにファウルフライ
秋日和芝生に眼鏡紛れけり

3句目はなんと、カナブン即吟では初の講師特選を頂戴しました!
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今日も海外詠鑑賞

2020-10-20 19:34:00 | 文学
カナブン俳句で席を並べている中谷豊さんの第一句集ができました。
昨日海外詠名句をご紹介しましたが、この句集にも現役時代海外赴任が多かった著者ならではの異国を詠み込んだ句がたくさん収載されています。

火炎樹やココナツ踏みて床磨き
唐黍の径イグアナ括り売る子かな
アルパカの毛皮さまざまリマの街
鉄線花通夜に流るるマリアッチ
艦の間を過ぎゆく鯨サンディエゴ
百輛の貨車の行きけりコロラドの冬
をちこちに白菜台車南大門
皮蛋やバイク犇めく春あした
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遠くへ行った句

2020-10-19 23:14:43 | 文学
今日は「遠(10)くへ行く(19)」の語呂合わせで海外旅行の日なのだそうです。
現在の状況では無理なので、せめて海外詠の名句を。
たんぽぽや長江濁るとこしなへ 山口誓子 
摩天楼より新緑がパセリほど 鷹羽狩行 

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