湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

冗談の詩パート1

2023-01-30 23:00:48 | オリジナル
新しい共通テーマ「冗談」でAが書いた詩を投稿します。

乗り込んで待て

乗り込んで少し待つ
渡船が岸から滑り出すと
空は曙光に浸されていく
対岸には 
ぼんやりとした光をまとう君

船を降りたらどうする
悦楽と恐怖の間に転がり落ちた
自意識の両足は動こうとしない
だが実態の両足は
わたしを前へと運んでいる
君がなにか冗談を言うのを聞き逃す
馬鹿な耳!
この時間 首から上は
アンインストール
全部呼び戻しても乏しいけれど

躰の方が優っている
動きを止めず
君と並んで歩を進めている
すっかり広くなった空が
わたしの脳内にただ白く広がっている
仕方ない 
頑是ないわたしの頭部よ
躰に乗り込んで少し待て
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賢治のオノマトペ

2023-01-29 22:28:17 | 文学
 一昨日のモチーフで描いた水彩画
ワンワン(擬声語) ガチャン(擬音語) キラキラ(擬態語) ふらり(擬容語) わくわく(擬情語)
…と、いろいろな音や様子が表わせるけれど、こういうありきたりの表現をするくらいだったらオノマトペを使わない方がまし。
宮沢賢治を見習いたいけど、ここまでのオノマトペはなかなか思いつかないものです。
すぱすぱと歩いて来た
カプカプわらった
キシキシと泣く
きぱきぱした口調
キーイキーイといびきをかいて
もしゃもしゃパンを喰べながら
夜具をのっしりと着込んで
ゆげをほうほうあげながら
胸がどかどかする
頭がもちゃもちゃしました
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2月の湘南句会&湘南文芸

2023-01-27 14:32:37 | 文学
来月の湘南句会及び湘南句会の予定は次の通りです。
湘南句会 2月22日(水)15:00~ @逗子市民交流センター1階 
     兼題「春炬燵」「笑う」
湘南文芸 2月23日(木)15:00~ @逗子市民交流センター1階 
     テーマ「白」「冗談」「増える」
     提出締切 2月20日


湘南文芸で昨日も使わせてもらった交流センターで、今日は彩友会。
水彩で、こんなモチーフの静物画を描きました。     
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田村隆一と萬屋酒店

2023-01-25 12:10:08 | 湘南
社名を北村太郎の詩集からとった出版社が鎌倉にあります。
その港の人が発行した、田村隆一「ぼくの鎌倉散歩」を読んでいたら、材木座についてのこんな記述が。
材木座は古い町で、まだ町内が生きている。灯ともしごろになると、「ヨロズ屋」という酒屋さんに、仕事をおえた植木屋さん、大工さん、鳶職、漁師といった人たちが集まって、一杯やる。ヨロズ屋の大奥さんも、若夫婦も、そして店の常連もみんな鎌倉第一小学校の出身で、なんのことはない、毎晩同窓会をやっているようなものだ。(「わが町」日旅1982年10月号より)
若夫婦が受け継ぎ今も続く角打酒屋、萬屋酒店。

田村隆一は稲村ヶ崎に転居する前、昭和45~46年材木座に暮らしました。その頃のことを「ぼくの草競馬」にも書いています。
明治中期創業の酒屋さんも、朝七時から店をあける。おかげでぼくは、酒屋さんの朝の常連となった。
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下がるの詩パート5

2023-01-23 07:31:10 | オリジナル
共通テーマ「下がる」でAが書いた詩を投稿します。

成り下がる人

仕事に倦み 家族に倦み
口癖のように「下らんね」と言う男
彼が「下らん」とするものごとは
確かに下らないのだろう
そう考えると この世界から
有理なことが散って逃げていった

倒れて失語してからも
歪んだ顔が(下らんね)と言っていた
歩行を助けられるのを嫌って
利く方の腕で
差し伸べる手を払った

下らなくて神聖な生から
今は解かれて 私の中にある人
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小野十三郎&木下夕爾詩碑

2023-01-22 22:12:47 | 
尾道の海岸プロムナードに建つ詩碑。帆をかたどったオブジェの下に2編の詩とそれぞれの説明を掲げ、なかなかの存在感です。

尾道を詠んだ小野十三郎(1903~1996年)の「車窓で」。

こんな説明が彫られています。
小野十三郎 詩人 大阪生まれ 
戦後 大阪で若い詩人を育て大阪文学学校を創設 
第一詩集「半分開いた窓」以後多くの詩集がある 
詩論集「詩論」では短歌的叙情への否定 詩における批評精神の形成を唱えた

もう1編は、終生福山で暮らした木下夕爾(1914~1965年)の「春の鐘」です。

木下夕爾 詩人 俳人 福山市生まれ
第一詩集「田舎の食卓」で文芸汎論詩集賞を受賞 
「晩夏」などその詩集には一貫して温雅で甘美な哀愁が流れている
詩誌「木靴」を主宰
句集「遠雷」などがある

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下がるの詩パート4

2023-01-21 07:01:07 | オリジナル
共通テーマ「下がる」でSが書いた詩を投稿します。

シェフの誕生 

「閣下!」
この度 村上料理長から
至急 ベルギーに行けと言われました

「閣下!って やめなさいよ!」
きみ いくつなの?   
奥方が、フフフと笑ってる
奥様閣下
おかしいで、ございますか?
おかしいですか?でいいわヨ

村上さんが
塩を振らせてわかったって…
二十歳で日本一なのね
おいしいお料理作ってね
わかりましたでございます
わかりました、でいいのよ
  
はい!わかりました

三国君
来週の金曜日、バンサンカイ をやるんで早速たのむよ!
6組ね!

はい! わかりました
バンサンカイ って何?
    ディナーのことですよ
  12人のディナー?
    そうです
  どうすりゃいいんだ……どうすりゃいいんだろう
  どうしよう…
わかった!
三国君 大使が大変お悦びでしたよ
     なぜ、僕の好みがわかったんだろうって
ありがとう

おれ
一生分の勉強サしました

 あなた、まだ二十歳なのヨネ 楽しみにしているワヨ
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はしゃぐの詩パート5

2023-01-20 09:39:48 | オリジナル
共通テーマ「はしゃぐ」でMが書いた詩を投稿します。

今宵のイベント

大きな窓から見える美しい夜影
目の前には冷えたグラスの中 
フワッフワッの白い泡をのせた金色のビール

店内貸切状態で 
私のためかと錯覚するツリーの輝き

待ってました熱々のピザ
これだ これ
私が大人になってやりたかった一人イベント

はしゃいだ気持ちを抑えつつ
熱々ピザを頬張り
キンキンビールで流し込む

味を占めた私は少し悪い顔して
ほくそ笑む
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踏切俳句

2023-01-19 20:51:38 | 文学
昨日の湘南句会は、季語ではない兼題「踏切」の句が豊作でした。

6点 ふみきって飛びこんでみるか冬の海
3点 踏切を越えてあてなし年の暮
2点 初詣踏切上がるを犬も待つ
   踏切を口実の遅刻息白し

1点 踏切の先行き止まり年流る
   踏切の片手袋轢く十五両
   無音の徒遮断機の雪滑り落つ
   踏切で乗り出してみる白き富士
   遮断機のげんこつ食らふ冬帽子
   踏切を渡った先はうさぎ年
   踏切開くまでの足踏冬ジョガー(添削後)

次回も、季語ではない兼題を設定しました。
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曇の詩パート4

2023-01-18 10:21:57 | オリジナル
共通テーマ「曇」でMが書いた詩を投稿します。

花の機嫌

空きびんに無造作に生けた花たちが
窮屈そうで 心なしか曇って見える

元気を失くした葉や花を取り除き
二つのびんに分けて生けてみた

そんな花たちの前でマズイカップめんをすすっている私の顔は
きっと曇って見えているのだろう
花たちが笑っているようだった
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