湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

音の詩パート10

2016-07-31 18:33:24 | オリジナル
18時頃北東の空にダブルの発見
 
では、共通テーマ「音」でSが書いた詩を投稿します。

 いやな音

尻を
字典でみると
 腰のうしろ
 終わり
 結末
とある きみもわたしもたしかに聴いた
尻の肉が削げ落ちた音……

言葉では説明できぬ音
人格のあるような音
耳鳴りに近い 音
終わりの始まりの 音
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音の詩パート9

2016-07-30 14:59:35 | オリジナル
逗子湾に面した交差点の風景が、他のシーズンとは全く違う真夏~って感じになってます。

では、共通テーマ「音」でSが書いた詩を投稿します。

天使の気配
とつぜん天使がやってきて
お変わりありませんか
と きかれる
天使の声は羽のようにかるい
わたしはスタンウェイのグランドピアノのようにおもたい声で
変わりありません とこたえている
地下鉄で自殺する中学生みたいに
天使の件をずっと気に病んでいる
四方の壁を人に見立て
黄昏になっても
音を立てないお辞儀など
れんしゅうしている
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言葉に潤いを

2016-07-29 21:23:50 | 
今日の合評会で下記の詩について話し合ったことを投稿します。作者は風邪で欠席だったので出席者の批評だけになります。
命脈

我らには受け継がれてるのか

大事にしすぎても消えていき
守らなければ
もっと早く消えていく

我々が何処から来たかなんて考えている間のない日常
一番大事な根源

ただやればいいと言う大人に
ただ何をやればいいと聞く
とにかくやればいい
命令ですか
人生の先輩の言うことを聞くことが当たり前だ

お陰で未来の分子は自らを問うことなく
命脈という言葉は亡骸になった

まだなお心に刻まれていると言う

楽観主義はもう沢山
世の中には亡骸になった言葉が溢れている

何もなくなった時
新たな命は芽生えるか

知る由もないが
地球の命脈が途絶えない限り

インパクトのある1行を1連として立たせて始まっているところがいいです。
この作者の前回作品では言葉を擬人化していましたが、今回は言葉の命脈が切れ切れになっていることを取り上げていますね。
それで連も切れ切れになっているのかな。第1連が1行なのはいいけれど、その後の連の区切りはつけすぎな気がします。
そうですね。読者が煙に巻かれた気持ちになるずるい切り方ですね。
最も長い第4連が、具体的でまとまった面白さを感じさせます。
台詞のやりとりになっていて、リアル感もあるよね。他の連はそれぞれ概念や理屈で終始している印象。
抽象度が高すぎなためか、男っぽいというか色気がない感じがします。
もう少し生々しさや生命感がほしいところ。
特に5行目の「我々が何処から来たか」がありきたり。詩にするなら「我々は何処から来なくて何処へ行かないのか」ぐらいなことを書かないと。
 続く「なんて」というのも詩の言葉らしくないね。
言葉の潤いや柔かいユーモアがもっとあった方がいいですね。
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音の詩パート7&8

2016-07-28 10:15:41 | オリジナル
昨晩、葉山ヨットハーバーで。なんだか和やかな気分になれる葉山町の花火大会。 

では、共通テーマ「音」でSが書いた詩2篇を投稿します。

   

ママあ
行かないでえ
ママあ
泣かないでえ

アンタが 包丁
先に 出した

ヒッヒッヒ
ヘッヘッへ
ワッハッハ

さびしい生活音の上を
旋回する


    すきな音

どんな音がすき
ねえ 教えて

ドレミから飛ぶファソラよ
どんなドレミもファソラに飛べば
美しいわ
ああ ファソラに飛ぶドレミがすき

彼女はいつもよりも長居をして帰っていった
うれしそうに
笑い声を残して

明日7月29日14:00~逗子市民交流センター1階で、リスケになった7月の合評会2回目があります。
取り上げる作品は今回のテーマではなく前回テーマの残りです。よろしくお願いします。
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音の詩パート6

2016-07-27 08:30:40 | オリジナル
共通テーマ「音」でSが書いた詩を投稿します。

音楽人生午前二時

楽団に入って
何度も下宿を変わった
なつかしい踏切の音
わたくしに<音苦>(おんく)はなく
音楽は楽しいものだった
十数年だが
良い人生だった

音なんて
目に見えない
無である
悲しいユーモア
すこし長すぎる人生を
すこし短くしてくれるもの
音よ 音よ 音楽よ
コオロギよ
さよなら さよなら
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音の詩パート5

2016-07-26 08:29:31 | オリジナル
共通テーマ「音」でSが書いた詩を投稿します。

風の音など

風が好きだ
だが 風の音が嫌いだ
人の泣き声に聴こえるし
一列にきれいにすわれない風だから

雷は大好きだ
<雷名>はフケツだが
<雷鳴>はセイケツだ
フィクション性のある
カミナリの美学
そのなかをよぎっていきたい
できれば男になって
くわえ煙草で――
きのう入道雲を見たという人に会った
きょうは昼にカミナリ
たった二発だったが
一糸まとわぬ
うつくしい音であった

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形の詩パート8

2016-07-25 12:23:35 | オリジナル
共通テーマ「形」でAが書いた詩を投稿します。


グーテンベルク

いつも頁の凹凸をなぞりながら
読書をしていた
棚にぎっしり収まった
小さな鉛の反転文字を
選び出しては次々と
小さな木箱に詰めていく
職人に憧れて

筆圧をこめてノートの枡目を埋め
次の頁に型押しされた反転文字を
指の腹で判読した
文選工は視覚ではなく触覚で
活字をすばやく選び取るのだ
眼は原稿を見ているのだ

文明は子供が夢見た職業を消していく
人は憧れの対象を移していく
文明も人もそうしなければ
生き延びることができない

パソコンでテキストを打つ
キーをさわる指たちが断りなしに
なつかしんでいる
Bの鉛筆で強く書いたノートを 
文字が浮沈する活版の図書を
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鎌倉検定から文学クイズ

2016-07-24 18:55:30 | 文学
第10回鎌倉観光文化検定試験の受験申込受付が始まっています(~9月26日)。
では文学に関する過去問から1問。空欄を埋めてください。
息子冷泉為相の領地相続の訴訟のため、鎌倉を訪れていた鎌倉時代中期の女流歌人の[  ①  ]が著した『[  ②  ]』は当時の鎌倉の様子をよく伝えている。
第4回の1級問題からです。さすが1級、難しいですね。ちなみにこの時の1級合格率は13.2%でした。
正解は①阿仏尼②十六夜日記。
阿仏尼は、息子冷泉為相の相続の正当性を幕府に訴えるため、1277年(建治元年)京都から鎌倉へ下りました。その時のことが書かれているのが「十六夜日記」で、中世の三大紀行文のひとつに数えられています。
 鎌倉扇ガ谷にある阿仏尼供養塔
めぐりあふ末をぞ頼むゆくりなく空にうかれし十六夜の月  (「十六夜日記」より)

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形の詩パート7

2016-07-23 07:45:13 | オリジナル
共通テーマ「形」でAが書いた詩を投稿します。

惰星からの脱出

臆病ゆえの大雑把を心棒に
歪んだ球形が傾いで回る
惰気を内外に伝染させ
不埒な浪費を繰り返し
すべての隣人を
自然を
空を見下し
地球よりもはるかに
傾き歪んでいることを恥じず
いや気付いてもおらず
同じ所を回っている

雑にしなう遠心力にやられて 
すっかりだるくなった心が
調子を合わせて更に歪み傾き
奇怪に縮んだ芥にならぬよう
醜悪な軌道からおりなければ
なけなしの感覚が死に絶える前に
火傷するほど素手を使って

手遅れになる一歩前
水を与え
火照った両手で
あなたとわたしをくるむ
どこへでも自由に赴く
すべらかな球形に
黙って時間をかけて整えていく

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形の詩パート6

2016-07-22 00:18:01 | オリジナル
共通テーマ「形」でSが書いた詩を投稿します。

独りは

独りは 牢屋だ
老残の身を訴えたが
デンとして居れと言うから
そうしている だが
わたしの腹は太鼓腹じゃない

独りは音楽だ
独りは春だ
独りは
このうそさむい春の
くちびるのカタチだ

発狂しないように
キョロキョロせよと医者が言う
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