湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

物の詩パート5

2016-04-12 11:37:54 | オリジナル
先週ダイヤモンド富士が見えた時の、太陽の季節文学記念碑付近。撮影にちょうどいい場所だからダイヤモンドデーは混むんです。

では、共通テーマ「物」でAが書いた詩を投稿します。

恋する物質

君はわたしをぞんざいに扱う
欲望を処理し使い捨てにする
頬も手もまなざしも
わたしに触れなくなって
君にとって存在しない物になる
霧になって消えてしまいたい

しかしあくまでも物体だから
おとぎばなしの結末のような気化は
わたしには起こらない
別の持ち主を探すどころか
ほんの少し震えることすらできない

楽器になった夢を見る
君はわたしの躰にすべての指を
やさしく正確にすべらせていく
わたしはうっとりと痙攣し声を響かせる
美しい刃紋を持つ鋭利なナイフになるのもいい
きっと君はわたしの柄から手を放せなくなる

そう、よく切れる楽器になればいい
高らかにさえずり君が憎むものを刺す
わたしの精密な機構は血糊でしあわせに錆びて
やがてばらばらになる
ようやく消えることができる

「物」の詩の合評会は5月7日(土)14:00から行います。
4月16日(土)14:00からの臨時合評会の対象は4月の定例合評の残り「霧がいちばん深い場所」「無言でいる」「無口な君」です。
コメント
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