湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

息の詩パート8

2018-03-31 12:54:40 | オリジナル
共通テーマ「息」でAが書いた詩を投稿します。

美しいのりもの

「荷台細いですね」
実は荷台も前籠もない
愛車を微笑んで押しながら
息巻くわたしの愚かな肩
削ぎ落とされた細いタイヤを
覆う泥除けがないことに
この人は気付いていない
ペダルをサドルと呼んだり
サドルを荷台と言ったりする

力を入れて漕いではいけない
フッと短く気持ちを吐いて
やわらかく やわらかく
手首も 足首も
頭でっかちを支える首も
やわらかく やわらかく

一人でハンドルを握ってるからって
短いクラクションで一方的に
余計な注意をしてくる
ドライバーみたいに
舌打ちしないこと

時々立ち漕ぎしたりして
読み書きするように
呼吸するように
世界を走って行く
やわらかく 
もっとやわらかく


4月定例合評会は明後日4月2日(月)14:00~です。よろしくお願いします。
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止の詩パート6

2018-03-30 00:00:11 | オリジナル
共通テーマ「止」でCが書いた詩を投稿します。

とどまる

止まらない時の隙間を
すり抜けることができるなら
あの背中にさわることが
できるのだろうか

追いかけるほど離れていくので
くたくたに疲れてしまった

そんなある日
カチャッと鍵の開く音が
胸の奥から聞こえた

音のした方へ降りて行くと
小部屋があって
過ぎ去らない時たちが
飾られていた

詩にしたから過ぎ去らないのか
過ぎ去らないから詩にしたのか
今となってはわからないけれど

あの背中のことも
追いかけるのをやめて
詩に書いてみようか
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息の詩パート7

2018-03-29 00:42:06 | オリジナル
共通テーマ「息」でTが書いた詩を投稿します。

支えられた花は

木の下蔭に七株のクリスマスローズ
一株に十以上の花が咲いている

人生の底にたちすくんでいた十五年前
極楽寺の花屋で鉢植えの花を見つけた
薄いコーラルピンクの色が私を包む
一瞬すべてが軽くなった
ためらいなく一鉢をもとめた
ながめるたびに
私の溜め息は花に吸い取られていった
後に知った花言葉は「不安を和らげる」

次の年 種がとれてそれを蒔いた
一年後六株が芽を出し
鉢植えの花も地植えにした
五年後から花が咲いて年々おおきく育った


下を向いている花を一つ一つ手で触れ
家事の合間にひと息入れる
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息の詩パート6

2018-03-28 17:10:22 | オリジナル
共通テーマ「息」でSが書いた詩を投稿します。

百合の息

百合は少し匂っただけで
自分自身を語ってしまう
百合の花がときどきすこし笑うのは
百合の抽象への傾向が
曲がっていないからだ

百合が捨てられてしまうのは
匂いがきついので運命として
気味のわるい詩のようなものとしてだ

押し花の時間 おお だれだ嘲笑するのは
百合は詩! バラは散文!
どちらが悲劇か喜劇か
ヒミツは花々の衣裳にあるのだが

百合の外見は単純のあまり
だれにも理解され
誤解もされやすい

空の時計はみんな正しいのだが
時間なんてものは
非現実かもしれない
音楽に似ている…… 百合の時間は
美しすぎて百合を分裂させる
時間に混合された「物質」かもしれない

百合の花のいかにも
重たく腫れぼったいカタチ
大そうなロマンチックだから
逃げ場がないのだろう

枯れながら
枯れながら
その足がもつれるのを見たか
その息遣いを聴いたか
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息の詩パート5

2018-03-27 11:45:53 | オリジナル
共通テーマ「息」でSが書いた詩を投稿します。

息たち

とりあえず息をしているなら
入れてはいけないメスを
にぎっているのはだれか

捨てねばならない
夜通し匂う白百合の花
生気を失いながら

けいれんするもの
腐りゆくもの
その喉を腕のように曲げられて

生き下手の
一本の百合の息
白い布を顔にかぶせられて

あえがず息を続ける
担架ではこばれてゆく
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止の詩パート5

2018-03-26 12:18:01 | オリジナル
共通テーマ「止」でTが書いた詩を投稿します。

発芽

豆雛を飾った
戦後すぐに生まれた私への
両親からのささやかな祝いの品
母が亡くなってから十五年
久しぶりに出した小さなケース
桃の花を活け
はまぐり 甘酒 ひしもち を並べた
夫は隣の部屋で
国会中継を見ている
息子達は独立し
友人達も孫の世話や
家族の介護で会えないことが多くなった

降っていた雨が止んだ
射し込んでくる春の光
隔絶された部屋は温室
静かに独り甘酒を飲みぬくぬくしていると
私の中に小さな芽が出てくる
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息の詩パート4

2018-03-25 16:54:37 | オリジナル
共通テーマ「息」でAが書いた詩を投稿します。

街路灯

苦しめられたら従順に
苦しんで 
耐えて 
また苦しんで
息をひそめて 
貧しいものを蓄える
満を持するなど実現せず
中途半端に脱出した所で
自分を汚してみたりする

街路灯がオレンジ色に
そういう人を照らしている
自分が苦しめられたように
次世代を苦しめる
不吉な夢を見る
善良な人を
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春昼俳句

2018-03-24 06:43:13 | 文学
昨日の湘南句会で点数の入った句を投稿します。

邂逅に話は尽きず春の昼
春昼や雪幻影と乱舞せる
怨じてもせんなき命や春の昼
春昼や富士の見え方味のあり
春の昼のたりと動く浚渫船

兼題は「春昼」でした。
春の憂いを詠みたい気持ちもあるよねってことで、次回4月13日14:00~の湘南句会の兼題は「春愁」に決定。
春愁い・春恨・春かなし・春思でもOKです。当日出られないメンバーさんは前日までにメール投句をお願いします。
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止の詩パート4

2018-03-23 00:00:40 | オリジナル
共通テーマ「止」でSが書いた詩を投稿します。

詩人の仕事部屋
止めて(やめて)くれ
愛の唄は
音楽を止めろ(とめろ)
いまわしいワルキューレ
蛇口からポトポトの詩のベンを
停止せよ
詩人にすぎぬ阿呆にすぎぬ
疲れるだけでカネにならぬ
下り坂だって?
ガンマンじゃあるまいし
おれたち何人いるんだ
社長はどこだ
おまえたちのために社長は死んでくれないぞ
歯医者はセイカツのために生きているぞ
音楽を止めろ(とめろ)
詩を書くな
カタギになって
地味に暮らしなよ


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春雪俳句

2018-03-22 00:00:45 | 文学
春分の日の雪、随分降りましたね。こんな時は春の雪で詠まねば!
ということで、とにかく数をひねって1ダース作りました。

春の雪SUP漕ぎ出てすぐ岸へ
春の雪艇庫の屋根を濡らしけり
綿菓子がかき氷となり春の雪
淡雪のつひに世界に積り出し
春の雪大きく上着にへばり付く
牡丹雪その湿り気よ大きさよ
前線をひと休みさせ春の雪
乳白の空に吸はれし春の雪
春の雪急に速度の弱まれり
春の雪止み際細かくなりにけり
春分の日の降雪や夕方まで
海岸のボタ雪すぐに消えにけり

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