湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

桃&自由題入選句

2021-08-31 12:21:12 | 文学
今月の湘南句会の入選句から。
桃 特選
後悔を幸上回り桃を剥く 
桃 1点
宅配便箱からかすかに桃香る 
気にかかる一つ残った隣家の桃 
桃の水受ける深皿冷やしおり 
桃食うをおしみてしばしながめたり 
腕に伝ふ桃の雫や外は雨 
桃の露ブレスレットで止まりけり 

自由題 2点
夏の月ワイン注ぎ足しラストシーン
自由題 1点
盆の入りつまみの残りで兄弟の夜  
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妙本寺掃苔記

2021-08-29 23:27:06 | 文学
妙本寺に長谷川海太郎(1900年~1935年)の墓を訪ねました。

いくつものペンネームを使い分けた長谷川海太郎って? 墓碑に答えが。

林不忘として時代小説「丹下左膳」シリーズを書き、牧逸馬として犯罪実録小説・家庭小説・翻訳を手掛け、谷譲次の名では米国滞在の経験から「めりけんじゃっぷ」ものを執筆した作家です。
売れっ子作家だった1934年(昭和9年)に鎌倉小袋坂に新居を構え、わずか1年後に35歳で亡くなりました。
林不忘・牧逸馬・谷譲次の3つのペンネームで書いた作品を集めた「一人三人全集」完結直後のことでした。
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9月の湘南句会

2021-08-26 17:53:44 | 文学
市営プールが閉鎖されていたって、空いている海で遊べばいいのさ!

市民交流センターのコロナ閉鎖で集まれなかった今月の湘南句会は、現在メール選句中です。
来月、センターの休館が延長されなければ、下記の日程で行います。
 9月22日15;00~@逗子市民交流センター1階
 兼題「行事」「秋潮」
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季語じゃない兼題「アパート」編

2021-08-24 23:44:23 | 文学

今日のカナブン俳句の兼題のひとつは「アパート」でした。季語ではないお題で、Aが詠んだのがこちら。
炒飯(いりめし)の香るアパート秋暑し
隣室に友の消息問ふ秋暑
檸檬荘に檸檬の木あり脅迫状
金木犀リフォーム屋入る事故物件

後半2句が講師本選でした。
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砕くの詩パート2

2021-08-23 07:45:04 | オリジナル
共通テーマ「砕く」でEが書いた詩を投稿します。

砕く

数台の暴走車が追いこしてゆく
そのかゝ電柱にぶつかってしまえ
ついつい呪いが口をつく

私がこの世を去っても
どうやら世界はそのまゝ平然と
あり続けるらしい

この理不尽には耐えられない
わが身とともに
世界を砕いてしまいたい

生殺与奪万能の神に
不老不死が付与されるのは
理の当然なのだ
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坂の詩パート2

2021-08-22 19:58:23 | オリジナル
共通テーマ「坂」でEが書いた詩を投稿します。

坂道

才能や容姿に恵まれずとも
若さの馬力でのり越えた
十代二十代の坂道

世間並みをなんとか維持しても
どうやら山麓を低回していただけの
三十代四十代

個人よりはチームを
役割を転じて越えてきた
五十代と六十代

老いの坂はきびしいと
ざれ言を言いつつ
それほどでもなかった七十の坂

ところで八十はかつてない急峻
その向うを覗いてみたいが
どうやら越えられそうにない

坂の向うに何があるのか
きわめようと旅だった者は多いが
消息をもたらした者はいない
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坂&砕くの詩

2021-08-21 20:35:03 | オリジナル
共通テーマ「坂」「砕く」でTが書いた詩を投稿します。

時の棲む場所

坂を下りる時
転ぶから と手をつないでも
二才の君はふりほどいて
いつも走り出した
スピードが出ておもしろいのだ
幾度転んでも笑って起き上がった
あの頃 私達の前には打ち砕くものは
何一つなく
一日は君の笑い声の中で過ぎていた

きょう久しぶりの坂の傾斜に驚きながら
夫と二人注意深く歩いた
君は今 社会のただ中を走っている
私達のうしろには
砕け散ったたくさんの残骸が落ちている
それらは風に吹かれ やがて
塵となって消えてしまうだろう
坂の下には
四十年前に住んでいたアパートが今も建っていて
きちんと使われていた
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砕くの詩パート1

2021-08-19 17:15:40 | オリジナル
今朝の逗子海岸。虹の下を朝散歩。

共通テーマ「砕く」でAが書いた詩を投稿します。

ニルヴァーナをめざして

一斉に、燦爛たるその飛沫*
砕けて引いていくときは
貝の死骸も抱きとって沖へ

興奮のさめた静かな流れ
古代 あるいは
もうひとつの世界では
それはもっとも
呪術に近いと考えられたが
誰を呪うでも
誰に訴えるでもなく

帰る場所ではない
ただ静寂をめざして
なにもいわずに

*北原白秋「畑の祭り」より
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今月はメール句会

2021-08-18 17:59:13 | 文学

いつも湘南句会で利用している逗子市民交流センター市民活動スペースが8月末まで利用できなくなりました。
ということで、8月26日に予定していた句会をメール句会に切り替えます。
今月の兼題「雁行」「桃」で、6句を8月25日までにメールしてください。
メンバーの句が揃ったら、ご自身の作品以外をまとめてメールしますので、8月末までに選句して返信してください。
緊急事態が恨めしいけれど、仕方ありません。
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ドストエフスキーのマゾヒズム

2021-08-17 23:33:06 | 文学

今月の合評会で次のZの詩について話し合ったことを投稿します。


今日の昼飯 お盆の上にのせるのは
味というより 刺激というのが相応しい
唐辛子まみれのタレがかかった 唐揚げに
ちょこんと添えられた 鼻が曲がるほどの
匂いを放つ青菜

餌というのが似合っている食い物を
イヤイヤ口いっぱい頬ばると
餌は 忽ち我が身の一部に変わった

そんな 餌に馴染んだお陰で 甘い香りも味も
遠く彼方に消え失せた
今の私は
苦さ 辛さが 旨いと感じる
痺れた舌に なってしまった

作者の弁 評者の弁
最後の1文の主語と述語がおかしな関係になっているので、後ろから3行目の「の 舌先」は削った方がいいですね。
(指摘に沿って直したものを再録)
NHKラジオでロシア文学者の亀山郁夫さんがしゃべっていたドストエフスキーのマゾヒズムが下敷きになっています。
 ドストエフスキーは今年生誕200年なんです。
舌が痺れている現代人の様相を、具象を交えて表現したものかと思ってました。
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