湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

思い出へんぺんちぎれ雲

2022-08-31 07:08:16 | 文学

著者前書きにこうあります。
 思い出というと、一般的に、これまで経験した出来事などが、深く心に残っていて、走馬灯のように繰り返し回転する事柄をいいますが、私の思い出はそうしたものではなく、あっちにひとつ、こっちにも、ひとつ、とはっきりしない、ばらけては消えていく、ちぎれ雲なのです。
 そこで、十代の頃から各雑誌などに載せていただいた詩や短文、随筆などの断片的なちぎれ雲のかたまりを寄せ集め、足りないところを書き足したのが本書です。
(中略)八十代になって自分の続けてきたことをまとめておかなければ、という焦りか、それとも単なるあつかましさか分かりませんが、ともかく勝手につくってしまいました。

十代のナイーブさ溢れる詩から、私が読ませていただき今年の「こあじろの森くらぶ通信」に掲載された植物エッセイまでが収められています。
須田さんのお姿を思い出しながら、大切に読んでいます。ご恵贈くださったご遺族に御礼申し上げます。
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じゃがいも俳句

2022-08-28 09:22:53 | 文学
8月の湘南句会もうひとつの兼題は「じゃがいも」でした。収穫期である初秋の季語です。
「じゃがいも植う」なら春、「じゃがいもの花」「新じゃが」なら夏の季語になります。
点の入った句をご紹介します。

3点 ふるさとの黒土運ぶ新じゃがいも
2点 馬鈴薯を流しに転がす日暮かな
   じゃがいもは面(つら)をみるようで箸をふせ
   新じゃが剥く肌白し柔らかし

1点 じゃがいものにおいが木戸を開けさせる 
   じゃがいもを仏にあげてホットライン
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河童の句

2022-08-27 13:19:37 | 文学

今月の湘南句会で点の入った「河童」の句を発表します。
3点 さるすべり枝ゆすりいるカッパかな
   大運河底に息づく河童かな

2点 川遊び河童に尻をぬかれるな
   月の夜は河童にすもういどまんか
   地芝居を遠くより見る河童かな

1点 河童松ありしあたりの虫時雨
   オリーブ油で胡瓜食らつている河童
   モンク・フランシスコ河童めきて行く

河童からさまざまな角度に創意を飛ばすことができました。
季語「河童忌」(7月24日)で詠んだ句も複数あったのですが、芥川龍之介に寄り過ぎて点が入らず。
来年7月に、兼題のひとつを「河童忌」にして再挑戦しましょう。
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9月の湘南文芸

2022-08-26 19:48:54 | 文学
  めしやっちゃんの小鯵唐揚定食
来月の湘南文芸合評会は、次のように決定しました。
日時  9月29日(木)14:00~
締切  9月26日(月)
テーマ「衰える」「響く」「草または種」
「草または種」って、テーマがまたひとつ増えてる?
だって言葉ひとつひとつが詩を書くとっかかりになるんだもん。
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9月の湘南句会

2022-08-25 21:01:16 | 文学
逗子湾の海水浴場は9月の第1日曜日まで。

さて今日の8月例会で、来月の句会の内容が次のように決定しました。
日時 9月28日(水)15:00~
場所 逗子市民交流センター1階
兼題 「蜻蛉」「礼」
    「礼」の句は秋の季語を付けて作ってください。
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ガラスの詩パート7

2022-08-24 06:38:49 | オリジナル
共通テーマ「ガラス」でTが書いた詩を投稿します。

ガラスみがき

茜色のガラス箱の中に
町がある
何層にもなっている時間

路地を歩いている私は十二才
違う道では初めてのデート
海辺では友人と未来の話
神社では幼い息子二人が遊んでいる
川沿いの道を三才の孫がストライダーで走っている

独りの部屋で
町をのぞきながら
ガラスをみがいている
今日
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黙るの詩パート3

2022-08-22 20:24:54 | オリジナル
共通テーマ「黙る」でAが書いた詩を投稿します。

かたつむりのめざめ

女には女用の
男には男用の
毒がたっぷり注がれていて

無意識の中毒に
罹患している人々の
毒に冒された
なんで なんで
だって だって
の声を
わたしは黙って聞いている

あなたや周辺の人々が
平穏の中で突如受けた乱れを
黙って鼓膜で受けている

黙って長電話中のわたしは
眼でお帰りと言う
耳の奥の蝸牛が
ちょっと目をさます

これでも少しは
あなたを思いやっています
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木槿の句

2022-08-18 20:37:06 | 文学
今日の小笠原学園俳句入門のお題のひとつ、初秋の季語「木槿」。

今まで意識したことがない花だったけれど、ここ2~3週間、近所の木槿の花をじっくり観察しました。
朝開いた花が夕方にはしぼんでしまうんですね。
講師例句 女といふ鋳型ありけり白木槿
A本選句 咲き継ぎて梢に増えし木槿かな
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黙るの詩パート2

2022-08-16 19:20:32 | オリジナル
共通テーマ「黙る」でZが書いた詩を投稿します。

木になりたい 無言館を凝視して

八月中旬 夜明けのテレビ
映った 戦没画学生の作品
恋人 おばあさん 故郷 
いくつものいとおしいもの
逝ってしまった人々は黙っているけど
いとおしいものの油絵は
鋭き矢じりとなって 
私のこめかみに突き刺さった

八月中旬 墓参り
よみがえる オヤジ
「お父さん 今度生まれたら何になりたいの」
長い沈黙を経て
「そうだな 木になりたいな」
「どうして 黙って直立している 木になりたいの」
と聞き返すことはできなかった。
その時 生き残ったオヤジが背負っている
深い傷を覗いた気がした。
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ガラスの詩パート6

2022-08-15 15:15:52 | オリジナル
共通テーマ「ガラス」でZが書いた詩を投稿します。写真は、Zが鷹取山で撮影した渡り蝶アサギマダラです。

ガラス戸の中
旧家の長男で兵隊になりたかった本家の叔父さん
峰の灸 マムシの生き血 
みんな試したけどダメだった
僕が病気のとき 
おばあちゃんが僕の背中をさすりながら 
「苦しいか」「苦しいか」って言ってくれた
きっとおばあちゃんは 
僕にしたのと同じように 
おじいさんにしていたんだ
「苦しいか」「苦しいか」って言って
おばあちゃんのやさしい心は
硝子戸の外のインチキないさましさを
包み込んで消化するはずだ
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