湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

来月の湘文湘句

2020-08-31 16:56:10 | 文学
いつもと違う8月の海も今日で終了~。

9月の湘南文芸と湘南句会の予定が決まったのでお知らせします。
湘南句会 9月24日(木)15時~@逗子市民交流センター1階 
  兼題「生花」「露」
湘南文芸 9月28日(月)14時~@逗子市民交流センター1階 
  テーマ「添う」「習慣」 作品提出締め切り9月25日(金)
どちらの例会も見学・飛び入り参加ができます。
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明/暗の詩パート5

2020-08-29 19:17:40 | オリジナル
共通テーマ「明/暗」でTが書いた詩を投稿します。3年前に別のテーマで書いた作品を改稿したものです。

新しい一歩

赤い海 バサースト湾には深海魚がいる
赤が光をさえぎり
五メートルの海中は暗闇
触覚だけが進化した生命体が
ひそやかに泳いでいる

私のなかにも小さな赤い池がある
「嫌悪」「嫉妬」「侮蔑」
ぬめりと生息している
このものたちがいるために
私の目や耳も退化し
情報は入らなくなる
私の妄想だけで
肥え太るものたち
池は腐り
臭気はまわりに漂い出す
自身も臭いに辟易
ひと夏激しい陽にさらし
池を干上がらせた

かわりに
澄み切った水を流し入れ
そこに「誠実」を泳がせてみた
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益/害の詩パート5

2020-08-28 07:52:34 | オリジナル
共通テーマ「益/害」でSが書いた詩を投稿します。

 無意味なものの存在

この詩人は知ってます
しかし詩は分かりません
あなたも創る詩ですが
意味はあるのですか?
「無意味という意味」があります
ああどうか泣かないでください
おびただしい木の十字架が見えますね
見たり考えたりするのをやめましょう
気が狂わないようにネッ

あまりにひどくなる現実からのがれて
別の現実にたどりついたのではありませんか
それだけのことなのですよ
ちいさな石ころほどの
愛をひろい ほめたたえましょう

意味などなかったのですよ
生と死が手をつなぎ踊っているだけで――
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益/害の詩パート4

2020-08-27 20:10:42 | オリジナル
共通テーマ「益/害」でEが書いた詩を投稿します。

片手につかむ

不死とはなんだろうか
死はまぬがれるが
時とともに老いだけは
情容赦なく進むのだろうか
それとも時もとまって
若さを好きなだけ保てるのか

老化が進むとすれば
スウィフトのストラルドブルグ(不死人間)の如く
すさまじい老いを
永遠に生きねばならない

時がとまるとすれば
愛人と至福の生を持てたにしても
子孫は誕生しないだろう
誕生しても
成長を見る喜びはない
二人だけの幸いを坦々と生きる

とすれば不死は思うほど
よいことずくめではない
悲しいかな死があっての生
不幸あっての幸いがあるにすぎない
両手の花はない そのとき
片手だけでも
なにをつかむかが問われる

・・・なに なにもないだって
不運ぐらいはあるだろうが
それをしっかり生きる
それしかないのだ
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益/害の詩パート3

2020-08-26 12:27:52 | オリジナル
共通テーマ「益/害」でAが書いた詩を投稿します。

冒険とトラウマ

急に光って駆け出して
あの子が石垣をよじ登る
硬い凹凸のある
傾いた縁を
なんの目的もなく歩きたいんだ
いや すでに
空に近づいて瞬きもせず
ちょこまかした歩幅で走ってる

右腕を精一杯伸ばしたけれど
揺れている小さな手の先を
つかまえることができない
押さえなくていい
かえって平衡が崩れる

足を滑らせ転げ落ちてきたら
すぐに抱きとめるために
あの子の速度に合わせて
下の道を進んで行く

一見無益で有害な衝動を
言葉にすることを退けたがる
怖がりの詩人は本当に詩人だろうか
さまざまな縁から転がり落ちた記憶が
山と積まれた結果なのだろうか


「益/害」「明/暗」の詩の提出締切は8月28日(金)です。未提出のメンバーさん、よろしくお願いします。
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明/暗の詩パート4

2020-08-24 10:21:11 | オリジナル
今日予定していた松汀園での納涼会は、市内クラスター発生もあったので中止にしました。
といいつつ、縁側バル視察を兼ねて幹部だけで行ったんですけどね。

またの機会に全員でやりましょう。
では、Eが共通テーマ「明/暗」で書いた詩を投稿します。
明と暗
「明暗」は漱石の未完の絶筆
処女作はいわずと知れた
「坊っちゃん」
乳母清に永遠の母性を造形
明暗の影のヒロインも
名は同じ清
坊っちゃんの清が死の床で
坊っちゃんの来るのを墓の下で待ってます
と明言するに対し
明暗の清は主人公の前から
無言で姿を消す
明暗は細君に満たされず
立ち去った清を湯河原まで
追って行くところで中絶
だが結末はおおよそ見当がつく
主人公は清にご亭主の影を読んで
不覚を悟り自ら姿を消すのだろう
「坊っちゃん」の世界は明暗の明
「明暗」は明暗の暗
帰する場を求め得られず
主人公は闇の中を二人歩きつづける
清のある坊っちゃんに
マドンナは不要
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明/暗の詩パート3

2020-08-23 08:48:38 | オリジナル
共通テーマ「明/暗」でEが書いた詩を投稿します。

バラ

石ころがひとつ
リンゴがいっこ
あなたは この世にただ一人

ところが一(いち)はどこにもない
が どこにでもある
すべてのひとつを一身に秘めて

美しいバラをひとかかえ
花束にして持参しよう
ゆたかで美しい人に

バラはくちるが
思いはバラを秘めて
香りつづける
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逗子湾の雲写真集

2020-08-22 17:21:34 | 三浦半島
逗子にお住まいの和田文夫さんの写真集(+暦)「雲を眺めて、七十二候」が電子書籍化され、紙版よりぐっとお安く500円+税で買えるようになりました。

和田さんがブログ用に撮影した逗子海岸の写真約8万点の中から厳選した82点が収められています。
1年を春夏秋冬に分け、更にそれぞれの季節を6つに分けたのが立秋、処暑などの二十四節気。各節気を「初候/次候/末候」の3つに分けたものを「七十二候」というのだとか。

今日は立秋の最後の日で第39候蒙霧升降(ふかききりまとう)だそうです。
明日からは処暑。第40候綿柎開(わたのはなしべひらく)。季節は移ろっていきます。
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高度経済成長期の逗子葉山が出てくるミステリー

2020-08-20 15:40:15 | 文学
桐野夏生「水の眠り灰の夢」を読んでいたら、次のような昭和38年頃の葉山の描写が。
 潮の匂いがきつくなり、葉山町に入った。村野は道の左側に車を停めて、坂出家の場所を尋ねようとした。しかし、それは尋ねるまでもなくすぐにわかった。海岸通りに、延々とフォードやビュイックなど外車ばかりが駐車している場所があった。その中心が坂出家なのだった。
 御用邸のそばの一等地にあり、高い塀が外界と屋敷とを厳しく分けている。庭はそのまま海岸に達している様子で、たぶん専用の海水浴場のようになっているのだろう。

そして太陽族映画のシーンみたいな展開が続きます。

↑2013年「世界の厳選ビーチ100」に選ばれた一色海岸。通称ロイヤルビーチ。塀の向こうは御用邸。
葉山御用邸に近い大作家の邸宅の隣に高名な日本画家の家があるのは物語上の設定。逗子海岸は死体発見場所になってるけれど、これもフィクション。
主人公の村野が属していたトップ屋集団「遠山軍団」は、後に流行作家になった梶山季之率いる梶山軍団をモデルにしたのが歴然。
ということは、作中の出版社系週刊誌「週刊ダンロン」のモデルは、今も文春砲でかっ飛ばしてる週刊文春。
エピローグに出てくる新雑誌「週刊ヤングメン」は、今はなき平凡パンチですね。今のマガジンハウスの雑誌とは違う感じだけれど、画期的な雑誌という点では通底しています。
先の東京オリンピック前夜の時代に湘南と東京に蠢いていた人々、実際に起こった草加次郎事件と当時のジャーナリズムをからませた虚実綾なすストーリーで、村野ミロはこうして誕生したのかというのも分かる、ミロシリーズファンにとっても興味深いミステリーです。
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底の句

2020-08-19 23:20:15 | 文学
兼題「底」で句作。
底抜けし桶をとんぼう通り過ぐ
三角定規に底辺ありてはや二学期

2句目は暑い中登下校する子どもたちを見て詠みました。季語は「二学期」です。
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