ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

ザイルに絡む反省点と焼酎に絡む反省点

2012年08月08日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2012/8/5  最初は小坂志川の本流へ行こうと考えていました。何年前だったか、10年ほど前になるでしょうか、本流を遡行した時、中流部周辺の植林が大量に伐採された影響で沢は倒木だらけ、それより上の遡行を諦めて、支尾根に逃げたことがありました。

もうそろそろ沢も元の姿に戻っているだろうと、久し振りに行ってみようと思ったわけです。そんな時、ふと、「ちょっと待てよ」と思いついたのがキットウ谷沢です。僕が持っている『奥多摩の谷123』ではすでに僕が行ったことのある沢、という印が付いています。でも、まったく記憶がありません。それはともかく、沢沿いに付けられた林道の工事によって、沢がすごく荒れてしまったという情報を貰って以来、僕にとっての遡行対象から外れてしまっていたのです。

キットウ谷沢もそろそろ昔の姿に近づいているのでは、一度そう思い始めると、記憶に残っていない沢ですから、初めての沢と同じです。期待も高まり、楽しくなって来るのでした。

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▲武蔵五日市駅からタクシーで小坂志林道の途中まで入ります。少し歩いて、この写真の場所から小坂志川本流遡行スタートです。9:37ころ。林道工事はまだ続いているようでした。

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▲遡行スタート! 9:38ころ。今日は2人で遡行です。N澤さんが水根沢以来の参加。2人だけですから、先頭を歩いてもらいました。

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▲さっそくイワタバコです。花をたくさん付けています。9:43ころ。

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▲アズマヒキガエルでしょうか? 真名井沢のと違って赤みはありません。9:51ころ。

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▲本流の3m滝です。大きな釜があります。9:51ころ。

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▲沢床の岩の縞模様が綺麗でした。9:53ころ。

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▲キットウ谷沢の出合です。左が本流。N澤さんがルート図で現在地の確認をしています。10:04ころ。

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▲キットウ谷沢入渓後すぐ、小さな沢の小さなゴルジュです。10:07ころ。

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▲イワタバコはやっぱり綺麗ですね。10:09ころ。

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▲F2-6mでしょうか。易しそうなので、ザイルは使いません。10:16ころ。

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▲ミニ瀞です。10:21ころ。

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▲だんだん同定がこんがらがってきます。これはF3-6mのナメ滝なのでしょうか? 2条ナメとでも表現してくれると確実に同定できるのですが。10:31ころ。

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▲この沢もカエルは多かったですね。10:34ころ。

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▲イワタバコの群生、イワタバコのお花畑と呼んでもいいほどにたくさん咲いています。10:35ころ。

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▲4:1の水量比で支沢を分けてすぐ出て来る4m滝。この滝もN澤さんには大丈夫だと判断して、ザイルは出しませんでした。10:36ころ。

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▲『奥多摩の谷123』に記載されている3段3m滝がこれなのでしょうか? 10:46ころ。

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▲先に二俣が見えています。右俣にはほとんど水は流れていません。左俣にはF4-6mの滝が。N澤さんは現在地の確認です。10:55ころ。

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▲右岸の岩壁はイワタバコのお花畑です。カメラで写せる範囲には限りがあるので、お花畑の広さは分かってもらえそうにありません。11:00ころ。

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▲F4-6mです。念のためにハンマー、ハーケンは持って来ていたのですが、使いませんでした。グレードは3級+くらいでしょうか。ピンは1本もありません。この写真で受ける印象よりもずっと垂直に近い傾斜です。

滝の上で確保支点を探しましたが、何もありません。ちょっと上流に倒木があって、これを使うことにしましたが、強く引っ張ると動きます。その数m上流には支点として使える岩があったのですが、ザイルの長さが足りなくなります。結局、滝の落ち口近くに垂らされていた高巻き用の残置ロープをもうひとつの確保支点として使わせてもらいました。11:16ころ。

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▲この沢はミズ(ウワバミソウ)も豊富でした。とりわけ中流域では写真のように畑のような群生がありました。11:29ころ。

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▲F5-5mの滝です。イワタバコが綺麗だったので、写真を撮る間、N澤さんには登るのを待っていてもらいました。フラッシュの使い方がうまくできないので、写真はよくありませんね。イワタバコの花は光っちゃってますし、滝の方は暗く沈んでますし……… 11:41ころ。

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▲F5-5mの滝をソロで登攀するN澤さん。11:45ころ。

ここで今日一番のミスを僕は犯してしまいました。それは、ザイルを出さなかったこと。N澤さんはちょっと不安げな発言をしていたのですが、僕の目にはこの滝がホールド、スタンスともに豊富な易しい滝にしか見えなかったのです。下部3分の1くらいを登れば、あとは至極簡単に見えたのです。

ですが、N澤さんに続いて自分で実際に登ってみると、上部でもいささか緊張します。上部も3級はあります。高さもある滝なので、N澤さんにはザイルを出してあげるべきでした。

本では「少し手こずるかもしれない」となっていました。やはり、ザイルは出すべきでしたね。でも、N澤さんはよく登ってくれました。………反省………

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▲F5を登った後で、やっと小広い場所に出たので、初めての休憩を取りました。再び歩き始めると、すぐに奥の二俣が。本では右俣に入って行くことになっています。でも、左俣が明らかに本流のようですし、倒木でよく分かりませんけれど、少なくとも5m以上の高さのナメ滝があります。N澤さんが左を選択したので、僕も反対する理由がありません。

分かりにくいですが、写真はそのナメ滝です。12:25ころ。

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▲ナメ滝を登ると、すぐに沢は土管の中に消えて行ってしまいました。林道が横切っているのです。こんなにすぐに林道が現われるとは思ってもいませんでした。

N澤さんが林道に姿を現す直前です。12:31ころ。

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▲林道を歩いていると、サルナシが落ちていました。まだ熟す季節ではありませんから甘みはありません。中央の黒いものは虫か何かが付いたのでしょうか? サルナシはキウイと同じ仲間で味もまったく同じです。12:58ころ。

2万5千地形図を詳細に読んで来なかったものですから、林道に出てからの現在位置の把握が出来なくなってしまいました。適当な予測のままに、林道終点は万六尾根の927標高点とその南東側の853標高点との間にあるコルだと勝手に決め付けていました。

ですから、尾根を登りつめたところに万六尾根の登山道が出て来るものと信じていたのです。ところが、登りつめた場所には登山道がないばかりか、尾根が下がって行っているのです。予測と異なる現実に直面すると、人は混乱します。いろいろ考えて、やっとのことで最初の予測が間違っていることに気づくのです。

修正した予測に基づき尾根を下るとコルがありました。そのまま今度は尾根を登ればいいのです。しかし、予期せぬ事態が。そのコルにも林道が出来ていたのです。緩やかな林道の誘惑に負けて、林道を利用してしまいました。結果的にこれがかなりの遠回りとなり、14:48のバスは諦めざるを得なくなったのです。

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▲次のバスは16:05なので、のんびりと下山しました。途中、新宿だと思いますが、高層ビル群も見えましたから、真夏にしては珍しく空気の澄んだ日です。谷から吹き上げて来る風も涼しくて心地よく、標高が低いにもかかわらず、暑くありません。

この万六尾根は写真のような背丈の低い笹(僕は勝手に小笹と呼んでいます)が多く、気持ちの良い尾根ですね。14:28ころ。

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▲休憩もたびたび取りながら、ゆっくりと下山。南秋川に辿り着きました。15:46ころ。

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▲柏木野バス停です。15:49ころ。

打ち上げは久し振りの「音羽鮨」です。いつもお世話になっている店で、去年の7月の芋焼酎『三岳』をちゃんとキープしておいてくれています。感謝! N澤さんとの会話も尽きず、飲みながら、食べながら、結局、3時間ほども長居してしまいました。

当然、帰宅後はS子にお小言。またまた、反省………