ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

もっと僕もリード練習しなくっちゃ! 三ツ峠で岩トレ

2012年09月12日 | 岩登りトレーニング

2012/9/8  本当は一泊二日で行くことにしていたのですが、O橋君に仕事が入って日帰りで行くことになりました。彼の車で前夜に三ツ峠登山口に入ります。

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▲三ツ峠登山口の無料駐車場に到着した時はすでにとっぷりと日は暮れていました。テントの外にテーブルを置き長い夜のお楽しみが始まります。20:13ころ。

テーブルに載っている食事は河口湖町のスーパーマーケットで購入しました。お酒もたっぷりあります。

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▲ヘッドランプの灯りに誘われていろんな虫が集まります。でももう、真夏ほどには集まりませんね。大きな羽をばたばたさせるカゲロウの仲間らしき虫は袋の中にしばし閉じ込めておきました。(夜の宴が終わったら、逃がしてあげましたよ)

写真の虫はウマオイの幼虫だと思います。数匹がテーブルの上を歩きまわっていました。20:36ころ。

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▲これはまったく分かりません。多分、ヨコバエの仲間だとは思うのですが。20:38ころ。

心配されていた雨もまったく降らず、空には星が幾つも煌めいていました。22:30ころにテントに入ったと思います。

途中、テントから見える外が明るくて、朝になったのかと思い、外に出ると、下弦の月が冴えわたる輝きを見せていました。こんなに強い光を放つ月は見たことがないほどです。

2012/9/9  シュラフカバーは持って来ていたのですが、それに入っていると暑くて、ほとんど着たきりで寝ていました。天気も良くて、爽やかな目覚めです。上限の月も白く区切られて、真上の空に浮かんでいます。

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▲無料駐車場はこんな感じ。数十メートル歩くと立派で綺麗なトイレもあります。6:03ころ。

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▲三ツ峠山荘です。本当は四季楽園の方へ行った方が近かったのですが、間違えてこちらへ来てしまいました。トイレをお借りしました。1回100円です。7:43ころ。

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▲三ツ峠山荘へ来たおかげで、朝富士を眺めることができました。7:43ころ。この後すぐに、雲に隠れてしまいました。

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▲この辺りはいつ行っても、講習会のような大きなグループが一日中トップロープのザイルを垂らしています。今日は日曜日ということもあって(連チャンの連中は土曜日にここは済ましたはず)、この時間はまだ誰もいません。さっそく一般ルート右・3級+からトライ。基本、今日はO橋君のリード練習日です。8:24ころ。

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▲O橋君の向こうの岩場に、たくさんのクライマーが取り付いています。カーソルを写真にあわせて拡大して見て下さい。8:40ころ。

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▲続いて、一般ルート中央・4級+です。名前は一般ルートでも、思いの外てこずります。8:55ころ。

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▲一般ルート左・4級+です。ダブルザイルでのリード練習です。このルートはほぼ直線なので、右のザイルにもヌンチャクをかけてプロテクションを取った方がいいと思います。9:30ころ。

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▲一般ルートがあるのは「右フェース」エリア。同じエリア内で一番右にあるルートがこの草溝ルート・4級です。10:09ころ。

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▲第一クラック・4級+です。O橋君も苦労はしていましたが、自分でフォロウしてみて愕然! 以前は簡単にリードしていたはずなのに! フォロウなのに下手にしか登れないのです。??? 10:45ころ。

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▲人が持っているデイジーチェーンを見て、最初の頃は「僕も欲しいなぁ」と羨んでいたのですが、使用法によっては大きな危険があること、本来はセルフビレイ用のギアではないことなどを知り、それならばと、写真のPAS(パーソナル・アンカー・システム)が欲しいなあと思っていました。長いこと、そんな僕の繰り言を横で聞いていたS子が誕生日プレゼントにと買ってくれました。嬉し~い!!! 三ツ峠で初めて使ってみましたが、使いやすいですね。10:54ころ。

追伸:S子からの誕生日プレゼントはもうひとつ。ヘルメットです。綺麗なライトグリーンです。

この後の2ピッチは易しい2~3級のピッチでした。つるべで登り、天狗の踊場到着です。

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▲いきなりヘリが飛んで来て、目の前で、いや眼下でホバリングし始めました。11:34ころ。

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▲山梨県消防防災ヘリコプター「あかふじ」です。隊員が一人降下して行きました。11:34ころ。

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▲二人目の隊員も下降します。何か持っています。11:39ころ。

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▲担架に誰か人が固定されているようです。隊員とともに上がって来ました。怪我人なのでしょうか? 11:51ころ。

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▲もう一人の隊員と共に、ヘルメットのようなものをかぶった人が上がって来ました。最初の怪我人(?)の関係者なのでしょうか? 11:51ころ。

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▲ヘリが飛び去って行きました。どうやら御坂の山塊を越えるようです。甲府の病院へ行くのでしょうか? 11:56ころ。

◆帰宅後知りましたが、神奈川県のクライミングスクールに参加していた59歳の女性が20mほど墜落したのだそうです。グランドフォールです。10:50ころとのこと。病院に運ばれましたが、4時間半後に死亡が確認されました。墜落の原因は定かではありませんが、何らかの理由でザイルが外れたのだと考えられています。◆

どのようなミスがあったのか、今の時点では何も公表されていません。ひとつの命が亡くなったことは直接関わっていない人間も含めて真摯に心すべきだと思います。

人というのは不思議なもので、もしもこの亡くなった方が僕にとって近しい存在であったならば、これをきっかけにクライミングを止める可能性だってあるほどの重大事だったでしょう。でも、知らない方でした。人はたったそれだけの違いでこんな重大事故の影響を受けずに済ませてしまえるのです。

亡くなった方とその時その場を共にしていたのも大きな縁でしょう。その死を無駄にしない生き方をしなければと何かしら迫られる思いです。

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▲ヘリの到来から飛び去るまでを天狗の踊場から目撃していました。

それから、大根おろし・5級+を登ります。ピンがなく、プロテクションが取れないので、トップロープで登ります。下駄で登ったとかの伝説があるそうですが、話の種に一度は登っておきたいルートですね。10:07ころ。

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▲天狗の踊場からダブルでの懸垂下降をしました。第三バンドに出ます。そこから再びダブルで第一バンドまでの懸垂下降。写真は第一バンドから見た懸垂下降中のO橋君です。12:52ころ。

事件はこの後起きました。最初に降りた僕がザイルが引けることを確認していたのですが、しばらく短い長さは引けたザイルがすぐにうんともすんとも動かなくなったのです。ザイルをパタパタと揺らしたりしてまた少しは引けたのですが、どうしようとも動かなくなってしまいました。

ザイルの両端ともまだ手元にあって、下降支点にもザイルが通っているので問題はさほど複雑ではありません。一方のザイルを固定し、その他のザイルをプルージック等で自己確保しながら登攀しました。僕が行きます。№10.5クラック・3級と十字クラック上部・4級を登ったところでパタパタ揺らすと、ザイルは引けるようになりました。どのような状況で引っ掛かっていたのかは分からず仕舞いでしたが。

この日の最後にまた同じルートを懸垂下降したのですが、また引っ掛かっては嫌ですから、シングルで2回に分けて懸垂下降しました。

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▲再び下から天狗の踊場まで4ピッチの登攀スタートです。最初はリーダーピッチ・4級+。10:05ころ。

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▲最初は十字クラック・4級をリードしてもらおうと思っていたのですが、T字クラックをリードしたいというO橋君の念がビシバシと伝わって来ます。と言うわけで、T字クラック5級-をリード。出だしの最初のプロテクション前後と写真の頭上のオーバーハングに頭を押さえつけられてからのトラバースが核心部です。難しい! 14:34ころ。

僕はまたまた大苦労。昔、S子と来た時に僕がリードしたはずなのに、今日はフォロウに苦労している。

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▲続くピッチは№14か15クラック。見た目易しそうだったので、僕がつるべでリードすることに。ところがどっこい、さほど易しくはなく出だしすぐのワンムーブに手こずりました。どうやら、4級+のグレードのようです。

まあ、その上は易しいピッチでしたが。写真はフォロウしているO橋君。15:15ころ。「難しかったですね」と、言ってくれました。

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▲三ツ峠にもチムニールートがあります。それがこの権兵衛チムニー・4級。古いルート図でも、最近のでもグレードは4級になっています。でも、最低でも4級+はあるでしょうし、今回の感覚では5級-とグレーディングしても可笑しくないと感じました。

でも、僕はむかし何度かリードしていますが、その時は楽にリードしていたのです。チムニーに対する体勢の取り方が悪かったのかもしれません。今回は異常に難しく感じてしまいました。

O橋君もこれまでのスムースな登攀に比べると、すごく時間がかかっていました。立って確保していると疲れるので、途中で座って確保したほど、時間がかかりました。15:43と15:44ころ。

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▲権兵衛チムニーは30mのルートなので、懸垂下降はダブルザイルで行ないます。途中で引っ掛からないように細心の注意を払い、結び目が無事通過し手元に落ちて来ました。「ザイルダ~ウン」とコールもし、ひと安心していると、突然ザイルが動かなくなったのです。結び目はここにあるのに「何故だ~っ!?」ってなもんです。

今度はO橋君が1本のザイルで問題の箇所までリードします。16:23ころ。

どうやら、チョックストーンの場所で、末端が絶妙な絡まり方をしていたようです。

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▲懸垂下降中、ずうっと雲に隠れていた富士山がまた現われているのに気付きました。16:34ころ。

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▲地面に降りて来ました。広い三ツ峠の岩場の中には僕たちの他、ひとパーティーの声が聞こえるだけです。一般ルートのある岩場を下から見上げてみました。17:07ころ。

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▲一般ルートの左側の岩場は難度の高いルートばかり。僕は登ったことはありません。その大きさをO橋君との比較で感じてみて下さい。17:08ころ。

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▲さらに左のエリアへ行くと、中央カンテやV字ロックなどが見えます。今回は登りませんでしたけれど、中央カンテ4級+も登ってみたいルートです。17:09ころ。

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▲三ツ峠屏風岩のほぼ全体が見渡せます。四季楽園のある辺りから眺めた景色です。17:22ころ。

                 *   *   *   *   *

暗くなる前に車まで戻り、帰路につきました。高速に乗る前に「小作」と言う名の巨大なほうとう屋さんで夕食をいただきました。僕は運転はしませんが、当然お酒は飲みません。

車使用の山行の弱点は時間が読めないこと。行きは順調だったのに、帰りは捕まってしまいました。渋滞です。これは運命と諦めるしかありませんね。

O橋君が洒落た表現をしてくれました。「車使用の山行にはプロローグやエピローグがない」と。車を運転している最中に、こんなことをサラリと言ってしまうO橋君は面白い。

電車やバスでの面倒くさくもあり時間もかかる往路と帰路は、これから登る山への期待を高め、登った山への余韻を楽しむ貴重な時間だということです。確かにそうですね。

                 *   *   *   *   *

タイトルにも書きましたが、これからはもっと自分自身のリード練習もしなければと痛感しました。ここのところ、O橋君にリードしてもらうことがメインになっていたのです。今回、自分の登攀能力の低下に驚いています。もっともっと自分でもリードを楽しまなければと思いました。

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2 コメント

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屏風岩の事故があった現場近くにいたのですね! (kojima)
2012-09-13 10:32:46
屏風岩の事故があった現場近くにいたのですね!
事故はつきもの(?!)とはいえ、クライミングスクールの講習での事故ではやりきれないですね。
慎重さが過ぎると何もできなくなりそうですが、頃合いが難しいです。
返信する
三つ峠の事故、詳細が気になりますねブログに書い... (Unknown)
2012-09-29 07:17:04
三つ峠の事故、詳細が気になりますねブログに書いてある通りだとおもいます、
見やすく分かりやすいブログですね。
明日の三つ峠は台風でだめだろうなー。
返信する

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