ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

大菩薩南部を歩きました/二日目

2013年02月19日 | 雪山/大菩薩

2013/2/11  S子と二人での山の朝は滅茶苦茶のんびりです。日常の朝よりずっとのんびり。どうやらS子は家で忙しい分、山ではゆっくり目覚めてあくせくしないことを楽しんでいるようなのです。
まあ、僕もそれで別に構いませんし、山で迎える朝を堪能することは大好きですから、いいことだと思います。もちろん、S子と一緒でも朝早い出発がどうしても必要な状況では、テキパキと行動しますよ。日の出前の暗い中起き出すこともあります。
今日は6時起床。8時くらいには出発したいなぁと考えています。

起床して最初に気になっていたことは、ポリタンの中の水です。夜中、トイレで起きた際に確認しましたが、凍っていませんでした。テントの中に入れておいた方がいいだろうな、と思っていたのですが、大丈夫そうです。結局、一部凍ってはいるようで、ジャリジャリと音はしますが、そのまま使えます。
避難小屋とはいえ、風が吹き込まないだけで、気温自体は外とさほど変わりません。寒い! テントの中をバーナーでまず暖め、お湯を沸かし熱い飲み物で体の中も温めました。

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▲避難小屋から少し下った場所に水場はあります。凍ってしまって使えないのではと心配していましたが、大丈夫でした。6:50ころ。昨日は2リットルほどの水を汲みました。今朝は1.6リットルほど。

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▲避難小屋内の様子です。右の窓からは朝日が入り込み、左の窓からは夕陽が望めました。
布団もありますが、この時期は布団も冷たくて、多分ここの蒲団だけでは寒いでしょう。
朝、寒暖計の存在に気付き、朝日が差し込んで来てから温度を見ました。-4℃でした。最低温度は-10℃ほどにはなっていたのではないでしょうか? 7:01ころ。

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▲朝食は棒ラーメンです。2人前持って来ましたが、昨晩のご飯が少し余っているので、1束だけ。野菜も入った美味しいラーメンでした。7:09ころ。

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▲スープを余らせておいて、そこへ昨晩の余ったご飯を投入。雑炊として食べます。7:33ころ。

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▲どこでどう時間を食ってしまったのか、避難小屋を出発することになったのは、なんと! 9:18ころ。

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▲避難小屋の近くには広場があり、林道がここまで通じています。写真の建物はトイレです。でも、冬季は使用不可。9:19ころ。

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▲湯ノ沢峠を南下すると、すぐにこのような門が出て来ます。左右には柵も続いていますから、おそらく鹿害から守るための鹿柵でしょう。9:27ころ。

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▲草原に出ました。後ろを振り返って撮影。この草原は夏になると素晴らしいお花畑になるのだそうです。いつか愛でてみたいものです。9:35ころ。

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▲湯ノ沢峠のお花畑を囲っていた鹿柵だったようです。反対側にも同様の門がありました。シカだけでなく人間もお花畑を荒らす悪者のようですね。9:38ころ。
前方の山は大蔵高丸。

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▲大蔵高丸に着きました。10:08ころ。振り返ると、昨日登った白谷丸や黒岳も見えています。

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▲大蔵高丸は秀麗富岳十二景のひとつなのだそうです。広々とした広がりの中に富士山が静かに佇んでいます。10:11ころ。

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▲マハイバ丸も秀麗富岳十二景ですが、そもそもピークがあまり明瞭ではありませんでした。富士山が綺麗に見える場所もあるのですが、そこがピークかと言うと、う~ん? まあ、ずう~っと同じような富士山が見えているので、ここもあそこもとピークを数えなくてもここら辺の山からの眺めという括りでいいのではないでしょうか? ほんの僅かしか離れていないピークですし。10:53ころ。
そんなことよりもハマイバ丸が「破魔射場丸」と書くということを知ったことの方が「へえ~っ」でした。そもそも山頂を「丸」と呼ぶのは朝鮮からの渡来人が付けたというのが有力説だそうです。朝鮮の古語では山のことを「モリ」と言い、現代朝鮮語では「マル」と言うのだとか。この地域には多くの渡来人が住み着いており、「~丸」といった山名が多いのだそうです。確かに。
ところで破魔射場ですが、一説にはこの辺りから破魔矢を射たのではと言う説があるのだそうです。それも浜立山に向かって。浜立山は滝子山南西にあるピークですが、それは「破魔を立てる山」なのだとか。個人的にはちょっと出来過ぎた説だと思いますね。
他にもいくつか説があって、それぞれに「そうかもしれないなぁ」と思わせてくれる説で、面白く思いました。

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▲破魔射場丸山頂の少し南側からの富士山です。確かに山々の重なりがアクセントになって綺麗な眺めですね。左のピークが滝子山で、目の前の大谷ヶ丸の左ピークの先に浜立山があるはずだと思うのですが、山に隠れて見えそうにありません。先ほどの説が正しいとすれば、浜立山は大谷ヶ丸のことだったとした方がいいのではないでしょうか? 10:59ころ。

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▲昨日もそうでしたけれど、南面の日差しをたっぷりと浴びている山の斜面からは雪がほとんど消えてしまっています。こんな感じです。11:07ころ。

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▲木の地面に近いあたりの樹皮が剥がされていました。多分、シカが食べた痕だと思います。こんな状態だと、この木は枯れてしまうことでしょう。若い木の芽を食べてしまうことと併せて、シカが増え過ぎたことによって森が失われていくのです。11:28ころ。

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▲これも南面です。山道は泥の道になってしまっています。S子も腰が引けた様子で下っています。S子は一度も泥の上では尻餅をつきませんでしたけれど、僕は一度滑りました。お尻がドロドロ! 11:47ころ。

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▲すぐそばの北面斜面はご覧の状態。雪山です。11:49ころ。

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▲この石は「天下石」というのだそうです。 名前の由来は調べてもぜんぜん載っていませんでした。11:58ころ。

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▲米背負(こめしょい)峠です。12:26ころ。昔の人はこの峠を米を背負って行き来したのでしょうかね? 12:26ころ。
避難小屋からこの峠まで休憩込みで約3時間かかりました。無雪期のコースタイムは2時間弱です。大鹿山から景徳院へ下山することも考えてはいたのですが、これでは無理です。景徳院に5時ころ到着となります。何かひとつ遅れる事情が加わると、山中で日が暮れてしまいます。
ここは最初からの予定通り、峠から大蔵沢大鹿林道へ下ることとしました。
それにしてもここは風が強い! そのせいでしょうか? 下山道を少し先まで偵察して見ると、雪の下が凍っています。僕はピッケルを出し、S子にはアイゼンを装着させました。

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▲S子のアイゼンです。12:45ころ。

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▲後に峠が見えています。最初はこんな感じのトラバースが続きます。S子はトラバースが大の苦手! 山側にストックを突きながら、慎重に進みます。12:50ころ。

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▲僕のピッケルの右、雪が無い部分は氷です。ツルツルで雪に隠れているので、アイゼンをしていない僕は何度も滑りました。12:59ころ。

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▲米背負沢沿いに登山道は続いています。13:02ころ。
標識や赤紐の類が多いのでよく探せば登山道を見失うことはないと思います。でも、今回は一人の先行者の足跡があったので、大助かりでした。このコースを熟知している登山者のようで、結局、一回だけしかルートを外す間違いはおかしていませんでした。

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▲米背負沢の方が昨日の焼山沢よりも標高は低いにもかかわらず、この谷の方が冷え込んでいるようです。その証拠に沢の凍り方が激しいようです。水面が凍りついていました。13:26ころ。

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▲山道が終了し、林道が現われました。ここはちょうど南向きにポッコリと囲まれたような地形で、太陽の熱がたまっていました。これまでの谷間の寒さが嘘のような暖かさ。13:58ころ。
しばらくのんびりと時を過ごしました。

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▲先ほどの暖かな休憩場所はこの写真右奥のあたり、数10メートルしか離れていません。再出発してすぐに、林道はこんな雪道状態。14:24ころ。

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▲長く南からの日差しが当たる箇所は雪が融けてしまいます。14:29ころ。

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▲でも、また雪道に。14:39ころ。

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▲この鳥の名前は? 15:10ころ。

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▲林道終点が近づいて来ました。このトンネルの手前から左へ登る山道もあるようなのですが、分かりづらそうなのでやめました。近道なのですが・・・・ 15:24ころ。

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▲S子の後方にゲートが見えています。15:42ころ。

ここからすぐに一般車道に出ました。天目トンネルの南側出口です。携帯で昨日のタクシー会社に電話しますが、繋がりません。1本立っていたアンテナもしばらくすると圏外に表示が変わってしまいました。仕方なく甲斐大和駅へ向かって歩き出しますが、 時々携帯をかけてみるものの、やっぱりつながりません。一瞬、先方の声が聞こえるのですが、すぐにかき消されてしまうのです。日川渓谷レジャーセンターを過ぎたあたりでやっとつながりました。

駅前の食堂では猪鍋を食べました。量もたっぷりで、猪特有の臭みもなく、満足。お酒は地酒の清酒笹一。お燗してもらって体の中まで温かくなりました。

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