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ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

奥多摩周遊道路建設の影響で荒廃しきっていた“落沢”が蘇生しつつある?

2014年07月16日 | 沢登り/多摩川本流

2014/7/12  今日の沢登りのメンバーはS子、A野さん、K美さんです。S子は体力、脚力ともに落ちて来ていますし、A野さんとは昨年の9月以来の沢登り。それに仕事が多忙でほとんど山にも行けてなかったようです。K美さんとは今年の1月に一緒に山を歩きましたけれど、この春からは野菜作りにはまって、山歩きは疎かになっている様子。
でも、大好きな山の仲間たちですから、一緒に山へ行くと楽しいこと請け合いです。

と言うわけで、沢選びがポイントになるのです。心地よい沢歩きが出来て、体力的にハードではない沢。しかも、僕自身が行ってみたいとも思わなければなりません。
そんな困難な条件をクリア(?)した沢が奥多摩湖南岸に注ぎ込む“落沢”でした。昭文社のMAPにも二万五千図にも名前が載っているほどの沢ですから、それなりの沢であるはず。そして重要なポイントは、出合から奥多摩周遊道路に飛び出す遡行終了地点までの標高差が300mしかないことです。傾斜もなだらかですから、快適な沢歩きが可能だと予測したのです。
しかし、ネットで検索しても沢登りに活かせる情報は皆無。唯一、渓友塾の宗像兵一さんのHPに「旧奥多摩有料道路ができる以前は、奥多摩湖岸の沢の中ではナメ滝が多く、楽しめる沢だったが、道路ができて護岸だらけの沢になってしまった。」と書いてあっただけです。個人的満足度も「物足りない」評価ですらなく、それ以下の「なし」。
「護岸だらけ」と言うのはちょっとひっかかりますけれど、沢ほど年月を経て変貌するものはありません。良い方向へ変貌していることに一縷の望みをつないで、行ってみることにしました。
もちろん参加者には「全く未知の情報も何もない沢ですから、ハズレの酷い沢だと覚悟していてください。」と念入りにメールで釘を刺しておきました。

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▲麦山の浮き橋、通称・ドラム缶橋です。9:53ころ。
小河内バス停で下車し、歩き始めがこの時刻。ちょっと遅い気がしませんか? 最初の計画ではこれより50分ほど早くスタートできるはずだったのですが、いろいろ訳ありで・・・・
でも、メンバー全員が揃って一緒に歩けるというのが最優先されるべき大切なことですね。

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▲奥多摩湖のほぼ満水状態を見るのは久し振りの気がします。たっぷりの水を湛えているとそれだけで美しい。9:57ころ。

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▲麦山の浮き橋からは山のふるさと村遊歩道が湖岸沿いに付けられています。歩き易く、夏でも涼しい道ですね。10:18ころ。

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▲山のふるさと村から小河内ダムまでは「奥多摩湖いこいの路」として整備されています。でも、道路状況の悪いことが多く、もし歩く場合も東京都水道局のHPで確認した方がいいと思います。10:35ころ。
ちなみに、この掲示板に出ている奥多摩湖南岸の沢のうち、右から水久保(窪)沢、天神沢、手沢(京道沢が正しい呼称だと思います。その支流が手沢で、僕は京道沢の支流・死人沢を遡行したことがあります)、くき沢(岫沢。その支流のヨシスキ沢・ボウメキ沢を遡行)を遡行したことがあります。
蛇沢(蛇沢とは奥多摩湖に沈む前は天神沢、手沢、この蛇沢を合わせる本流の名前。この掲示板の蛇沢は間違えで、カルギ沢とした方がいいのでは)、大むぞ沢、さなぎ沢、橋沢などは遡行したことがありません。
今日の落沢で奥多摩湖南岸の沢4本目ですが、死人沢以外はまずまずの沢でした。

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▲落沢にかかる橋が見えて来ました。10:45ころ。

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▲橋から上流を眺めると、何段にもなって堰堤が連続しています。水量は小さな沢としては十分な量が流れているようです。10:46ころ。

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▲沢装備を整え、軽く朝食も食べて、出発です。乗り越えられない高さの堰堤があるので、最初は右岸の植林の中を歩きます。橋からは見えていなかったさらに上流の堰堤も現われ、それも一緒に巻きました。11:28ころ。

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▲どんなに酷い沢であっても大丈夫なように覚悟して来ましたが、穏やかで、さほど荒れていない流れにホッとした心境です。11:34ころ。

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▲流れに転がる岩にはびっしりと緑の苔が生えていました。それなりの期間、沢が安定している証拠です。11:37ころ。

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▲いい感じで水が流れ、浅いですが釜もあります。上流から水が激しく落下する音が響いて来ました。先に目をやると、大きな滝があるではありませんか! いきなり滝の登攀か? と予想外の事態に・・・・ でもこの写真に写っていますが、その滝は支流に架かる滝でした。11:41ころ。

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▲これが支流に架かる滝。名前が付いていてもいいくらいのなかなかの滝です。支流の名前はタキノ窪のようです。流水域は狭いはずなのに、どうして水量が本流と変わらないくらいあるのでしょうか? 11:44ころ。

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▲この滝を横に見ながら・・・・ 11:49ころ。

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▲小さな流れですが、心癒してくれる風景が現われます。11:52ころ。

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▲堰堤が出て来ました。高巻きます。11:57ころ。

この後、お昼時なので休憩をとりました。

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▲宗像さんが記している多くあったナメ滝というのはこんな所のことだと思います。奥多摩周遊道路が出来ることによって、大量の岩塊や土砂が落沢に流れ込み、このようなナメ滝の大部分を埋め尽くしてしまったのでしょう。12:27ころ。

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▲右岸から合わさるふたつ目の支沢です。タカザス沢ですね。12:30ころ。
入渓地点の標高が540mくらいですが、この出合でまだ605mくらい。1時間近く歩きましたが、まだ65mしか標高が上がっていません。850mの奥多摩周遊道路が今日のゴールですから、まだこれまでの3倍近くの標高差が残っています。

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▲破壊された堰堤です。何の力でこれほどの堰堤が壊れたのでしょう? 12:45ころ。

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▲破壊された堰堤の上流でも、再び堰堤が現われました。高巻きます。この沢の堰堤の高巻きには困難な高巻きはありません。12:48ころ。

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▲沢らしい光景も現われます。左の岩に生えているのはイワタバコ。まだ花の蕾も見えません。12:53ころ。

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▲先月の南秋川矢沢でも見た花です。調べても名前が分かりません。12:55ころ。

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▲水の流れの中を歩いたり、流れの脇を歩いたり・・・・ 12:56ころ。

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▲中流域でもこのような穏やかな流れの箇所が多くありました。12:59ころ。

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▲小さな支沢が合流しました。13:08ころ。

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▲大きな木が立っていました。何の木かはよく分からないのですが、クルミの木かな? 木の名前はよく分かりません。13:13ころ。

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▲小休止した後、歩き始めると、上流に人工物が転がっているのが見えました。小屋跡かな? と最初は思ったのですが、近づくと違うようです。13:34ころ。

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▲近くで見るとこんな感じ。何なのでしょう? 水を流すための溝のような気もします。13:35ころ。

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▲シカの下顎の骨でしょう。13:37ころ。

このまま当初の予定通り標高850m付近で奥多摩周遊道路へ出ると、あと1時間くらいはかかりそうです。今日は天益へ4時前後に行くと約束(予約)していますし、実はそこでK嶋さんとも合流することになっているのです。いくら遅くとも16:08のバスには乗りたいものです。それを逃すと、16:56になってしまうのです。

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▲という訳で、標高730m付近で左岸に上がっていく支沢から早めに奥多摩周遊道路へ出ることにしました。13:43ころ。

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▲支沢の途中には、何が崩れたのでしょうか、側壁のような人工物もありました。13:53ころ。

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▲頭上に奥多摩周遊道路が見えて来ました。バイクなどのけたたましいエンジン音はさっきから聞こえていましたけれど・・・・ 13:56ころ。

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▲道路まであと少し。14:02ころ。

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▲到着です。バイクがガンガン通ります! ここの標高は810mほど。14:03ころ。

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▲急いで装備を解除して(それでも時間はかかっていますが)、少し早足に下山開始です。15:25のバスに間に合う可能性もあるのではと、期待しているからです。14:21ころ。
S子は腕時計で確認していますね。

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▲車道歩きは終了し、ここからは山道。14:29ころ。

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▲思いのほか早く、山のふるさと村に到着しました。これは期待が持てそうです。14:44ころ。

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▲山のふるさと村の入口付近の駐車場の近くでサルの群れに遭遇しました。全体で何匹くらいの群れかは分かりませんでしたが、今年生まれたような子ザルもいて、とても可愛らしかったですね。あまり人に対して敵対的でもなく、恐れてもいないようでした。14:53ころ。

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▲慌てて柵を越えようとしているサル。14:53ころ。

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▲ドラム缶橋に戻って来ました。早く下山出来たので、バスには間に合いそうです。15:21ころ。

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▲僕だけ少し早くバス停に急ぎました。すると、すでにバスがいるではありませんか! 慌てて皆に声をかけます。でも、そのバスは臨時便で「続いて来るバスに乗ってください」と言われました。15:23ころ。

15:25のバスに余裕で(?)間に合い、奥多摩駅の天益へ。
でも、三頭山へ登っていたK嶋さんからメールが入っており、どうやら予定通り下山出来なかったようです。天益へ寄るかどうか迷っています。
4時ころに天益へ入り、4人で話しが弾みます。K嶋さんもだいぶん遅れましたが、合流することができ、5人で楽しい時を過ごすことが出来ました。

最後になってしまいましたけれど、落沢は蘇生、回復しつつあると思います。奥多摩周遊道路開通が1973年、40年以上が経過しました。工事による土砂や岩塊の流入物も、多くが奥多摩湖まで流れ出てしまったか、もしくは元々あったかのように沢の自然に溶け込んでいるようです。岩塊には苔が生し、堆積した土砂の上には草が生え、樹木も茂っているのでしょう。工事以前にはあったという連続するナメ滝は消えてしまっていますけれど、新しい姿で落ち着いた沢の自然が戻って来ているようです。
そのことが典型的に現われているのが堰堤のすぐ上流の風景です。工事によって沢に落下していった大量の土砂と岩塊を奥多摩湖に流れ込まないよう造った堰堤だったと思います。思惑通り堰堤で大量の土砂と岩塊が堰き止められました。当初は草も生えていないような無機質な光景が広がっていたのだと思います。それが次第に草が生え、樹木も茂り、もとからそうであるような穏やかな沢の流れがある風景に生まれ変わったのです。
そんな変化を無条件に肯定的に是認する訳ではありませんが、人間の思惑を越えて、自然も自然本来の姿へ戻ろうとしているのでしょう。
自然本来の姿は美しい。


海沢谷の支流にひそむ枠木大滝の登攀は面白いものでした

2014年07月13日 | 沢登り/多摩川本流

2014/7/6  U田君から「沢登りに行きませんか?」とメールが入ったのが一週間前。僕が断ろうはずもなく、彼が計画してくれた沢が海沢谷とその支流・枠木沢。
海沢谷には何回も行ったことがありますが、瀑流帯(天地沢出合~海沢園地)が2、3回で、あと数え切れないくらいは海沢園地から大滝の上流部で登山道と合流するところまで。ですから、行ったことのない枠木沢には興味津々なのです。

沢の経験はもちろん僕の方が多いのですが、U田君は急速に密度濃く経験を積み重ねつつあり、クライミング能力も僕を軽く追い越してしまっていますから、僕自身は実にお気楽な「連れて行ってもらうモード」に突入しちゃってます。

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▲白丸駅で下車し、海沢林道を海沢園地まで歩きます。男同士だと、どうしても歩くスピードが速くなってしまい、けっこう疲れます。女性など体力的に自分より弱いメンバーがいると、その人に合わせるようなペース配分を考慮するのですが、男同士だと遠慮なし。まあ、U田君から考慮すべき相手だとまだ思われていないことは嬉しいことではありますね。
海沢園地で沢装備を整え、いざ出発! 10:06ころ。

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▲すぐに三ッ釜の滝が現れます。美しい滝。U田君はそのサイズに少々ガッカリ感を漂わせていましたが。でも、僕は好きです。10:11ころ。
「いつもはどう登ってるんですか?」とU田君が聞くので、「初心者がいることが多いし、念のためにザイル出すよ」と答えます。「あ、そうですか」とU田君、ノーザイルでスタスタ。

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▲上の写真では見えていなかった滝と釜がこれ。三ッ釜の滝と呼ぶくらいですから、この釜も含めての名称だと思います。ここでは今のようにキャニオニングが盛んになる以前から、滑り台のような滝を滑って遊ぶ人がいました。10:15ころ。

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▲これはねじれの滝。10:24ころ。
左の写真の外からバンドをトラバースし、残置シュリンゲのある箇所で1歩だけクライムダウンし、下段の滝の落ち口に立ちます。続いて、上段の滝の右壁を登っていけば登攀終了。
丁度この時、上段の滝の左壁を空中懸垂する人たちがいました。懸垂して遊んでいるのでしょうか?

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▲写真中央の人がたくさんいる場所の左奥にねじれの滝があります。U田君も本当は登攀したかったのでしょうが、このたくさんのパーティーが先行していましたから、このパーティーが終了するのを待つ気にもなれなかったようです。
僕はと言えば、ねじれの滝を登らなかったことがありません。つまり、ここを高巻いたことがなかったのです。個人的には高巻きルートに興味津々! 10:27ころ。

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▲途中、こんな頑丈な鎖まで設置してあるんですね! 10:27ころ。

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▲高巻きの途中から、すぐ上流の小滝で懸垂下降の練習をしているパーティーを見ました。ネオプレーンのダイバーが着るようなウェアを身に着けているので、キャニオニングを楽しんでいるのだと思います。10:31ころ。
僕はこの小滝も一緒に高巻きましたが、U田君は横を登って行きました。左下に写っているのはU田君。

ところで、キャニオニングですが、キャーキャーと叫び声が聞こえたり、実に楽しそうです。でも、その楽しさは僕たち沢屋の楽しみ方とは根本的に違うように感じました。遊園地で絶叫系のジェットコースターなどに乗って興奮を味わっている、それと共通した楽しみ方のようです。
でも、最初はそうでも、日本の渓谷の素晴らしさに感動し、渓谷そのものを楽しむようになって欲しいと願っています。

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▲ゴルジュの中の小滝が続きます。10:35ころ。

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▲こんな小滝でもどこからどうやって登るのかを瞬時に判断するのが楽しみでもあります。10:36ころ。

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▲大滝20mです。10:39ころ。

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▲この大滝の高巻きで本日の僕の「連れて行ってもらうモード」が顕現!
海沢谷ではこれまで毎回この大滝の高巻きをしていたのです。間違えたことは一回もありません。いつも僕がリーダーとして先頭でルートファインディングしていたのです。ところが今日の「連れて行ってもらうモード」。僕の高巻きルートを読む目は完全に人任せ、真剣味はゼロ。適当に意見は言いますが、基本U田君の後に付いて行くだけ。
そして、この結果。大滝右岸のかなり上部を通っているモノレールの軌道まで上がってしまいました。
まあ、上がり過ぎても酷いことにはならないと、予測は出来ていましたから、「連れて行ってもらうモード」のままでおれたのでしょう。でも、心の持ちようがこれほど影響するとは! 反省ですね。人任せ、リーダー任せではいけません! 11:00ころ。

この軌道を先に進めば、岩茸石沢に出ることは分かっていますから、そうしました。

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▲ちょっと進むと、下方から滝の音が聞こえ、樹間から不動滝が見えました。11:01ころ。

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▲岩茸石沢の上部に出てしまっていますから、出合近くまで下降しなければなりません。11:05ころ。

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▲出合までは問題なく下れました。不動滝も近くに見えています。その落ち口に向かってトラバース。11:11ころ。

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▲不動滝の上流で沢床へ懸垂下降。11:21ころ。

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▲〇で示した木を支点に懸垂下降しました。11:27ころ。

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▲再び、コルジュが続きます。11:34ころ。

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▲これくらいの小滝が時々ある沢歩きがいいですね。11:40ころ。

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▲枠木沢出合でしばし休憩。枠木沢に入ります。12:08ころ。

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▲枠木大滝の出現です。大滝といってもそれほど高さのある滝ではありません。せいぜい8mといった程度でしょう。本当は右奥に上段の滝4mも隠れているので、2段12mといった程度の高さです。しかし、この滝の威圧感は滝両サイドの岩壁。数十メートルはあろうかという高さです。しかもほぼ垂直。
僕など、この滝が登れそうだなんて思いもよりません。最初に登った人は偉いですね。よほど大高巻きするのが嫌いだったのでしょう。12:18ころ。

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▲写真中央を左から右へ幾つかの矢印が記されています。これが僕たちの辿った登攀ルートです。多分、ほぼガイドブック通り。〇印のある木は確保に使用した木です。分かりにくいかと思いますから、写真をクリックして拡大してご覧ください。12:19ころ。

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▲1ピッチ目です。滝の左手前の凹角から登攀しました。U田君ももちろん初めてのルートですから慎重に進みます。途中、3箇所でカム(昔はフレンズと呼んでいたギア)を噛ませて、安全を期します。この写真のU田くんの位置よりもう少し進んだ樹林の中で1ピッチ目を切りました。12:31ころ。

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▲今日のリードは全部U田君にお任せですが、2ピッチ目はちょっとだけの泥斜面のトラバースでしたから、僕がそのままトップで進みました。写真はフォロウしてくるU田君。12:53ころ。

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▲3ピッチ目をリードしているU田君。13:11ころ。
今僕がいる確保している場所はテラスと呼んでいいほどの安定した場所です。しっかりした木が3本生えています。
このテラスでしばらく、U田君とあ~でもないこ~でもないと登攀ルートを検討し合いました。話し合っているうちに次第にルートの弱点も見えて来ます。写真左上の木にはプロテクションとしてのシュリンゲ以外に4本の長めのシュリンゲをつないだのが下がっています。これはクライムダウンする時の補助用のもの。この補助がなくてもクライムダウンできるのではと思いますが、あった方が安心ですね。
ガイドブックには「3m下のバンドへゴボウで下降」とか「別のザイルを掛け、3mほど懸垂して仮固定」とかありますけれど、この長めのシュリンゲを設置した箇所でせいぜい1.5mほど下降しただけで、3mも下降するケースはありませんでした。岩自体も思いのほかしっかりしています。

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▲前の写真より右に少しトラバースしたところです。U田君の頭上の木の右へ出るように登るのです。13:12ころ。
ガイドブックにはこの辺りに関しても「向かいの露岩に飛び移り、連結スリングを投げ縄で上部バンドの始まりの立木に掛ける。ゴボウで上がり」とあります。
ガイドブックの解説者が遡行したのは2007年のことです。当時とはこの辺りの状況がだいぶん変ってしまったのでしょうか?

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▲いまU田君のいる場所もしっかりしたテラスです。残置ハーケンとカムで確保していました。13:16ころ。

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▲3本の木が生えているテラスにいたころ、6、7人のパーティーが滝下に到着しました。ねじれの滝で登ろうとしていたあのパーティーのようです。13:28ころ。

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▲上段の滝下に懸垂下降します。降りてからは滝の流れの左側を簡単に登れます。13:32ころ。

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▲上段の滝も登りきった後、後ろのパーティーの様子を見ました。全員それなりに沢慣れているパーティーのようです。どこかの山岳会でしょう。3本の木のテラスにもう4人ほどの姿が見えます。1ピッチでテラスまで来ているので、この大滝の経験者がリーダーなのでしょうね。13:46ころ。

結局、僕たちはこの枠木大滝登攀に1時間以上かかったことになります。登攀自体よりも、どこをどう登るかを考え、決断するために時間を多く費やしたようです。なかなか面白い登攀でしたね。

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▲大滝の上流部は平凡な流れになりますが、唯一アクセントになるのがこのモノレール軌道です。このまま軌道を左へ辿れば、早く下山できるようですね。13:59ころ。

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▲支沢も多く現われますが、迷うようなところでは右を選べば間違いありません。14:06ころ。

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▲連瀑が現れました。奥ノ大滝なのでしょうか。14:41ころ。

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▲前の写真の一番下の段を登るU田君。14:43ころ。

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▲2段目も簡単に登り、3段目の滝の真下に立ちました。どうやらこの滝は無理なようです。14:47ころ。

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▲滝の左斜面を高巻きスタートです。14:51ころ。

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▲巻き終わって、沢に戻ると再び2段の滝が現われました。上の滝はチョックストン滝です。14:58ころ。

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▲下の滝はこのようなトイ状の滝。15:04ころ。
上の滝を見てから、降りて来る途中で撮りましたから、時間的には逆転しています。

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▲上の滝の近くまで来て、登攀可能ルートを見つけようとしているU田君。右壁のクラック沿いのルートに可能性を見たようですが、今日は諦めました。見えている薄茶色の木肌の木でプロテクションが取れれば何とかなると考えたのだと思います。
確かに、登れるかもしれませんね。14:59ころ。

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▲結局この滝も2段まとめて高巻くことになりました。写真はチョックストン滝の落ち口です。
この写真を撮りに行った際、本当はもっと前に出たかったのですが、足元のチョックストンの隙間に枯れ木や枯れ葉や小石が詰まっていて、隙間だったのでしょう。踏んだら隙間の奥の方で崩れる音がしました。ビクッとして急いで離れてこの写真を撮ったというわけです。15:11ころ。
石や流木が溜まっていて、その下に空間があるような場所は気を付けなければなりません。昔、そんな場所を踏みぬいて、肝を冷やしたことがありましたから。15:11ころ。

どの滝のことを「奥ノ大滝」と呼ぶのでしょうか? おそらくこの名前は地元で昔から呼ばれていた名前ではないような気がします。おそらく沢屋さんや釣師が便宜的に付けた呼び名なのではないでしょうか? そうであるならば、どの1段も「奥ノ大滝」と呼ぶほどのさほど飛び抜けた滝ではありませんから、5段全部で「奥ノ大滝」と呼ぶのがふさわしいと感じますが、どうでしょうね?

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▲ガイドブックには奥ノ大滝上流には滝の表示がありません。時間も時間ですし、これ以上の遡行は諦めて左岸の尾根に逃げ上がることにしました。標高1060mあたりです。左岸の尾根の標高は1070~1080mですから、すぐそこに見えている尾根なのです。簡単に登り、左へ進むとすぐに標識が出て来ました。海沢探勝路です。15:31ころ。

海沢探勝路を下り、海沢本流に出ると、僕の希望でしばらく若宮沢の白糸の滝を探しました。おそらくはもっと下流だったのでしょう。今日は見つかりませんでした。
以前、2000年の夏に海沢谷を遡行し、時間に余裕があったせいでしょうか、海沢探勝路と交わってからもさらに上流を遡行した際に見つけたことがありました。出合にかかる7、8mの滝をザイル使用で越えると、数十メートルにも見える大きな幅広の滝があったのです。下部を少しだけ登ってみましたが、それ以上登る準備もしていませんでしたし、初心者も一緒でしたから、その日は諦めたのです。フリーで登れそうな、傾斜もさほどない大きな滝でした。

10m以上は常に前を歩くU田君を追いかけるようにしながら、下山の道を急ぎました。海沢園地にはあの枠木大滝のパーティーが先に到着していました。枠木大滝上流のモノレール軌道から下山したのでしょう。彼らはここから車で下山です。
僕たちは海沢林道を歩きます。多摩川本流右岸の車道に出てからも天益への道を急ぎます。U田君も僕も途中で歩きながら各自の下山報告を携帯で済ませました。

天益へも電話してみました。どうやら満席のよう。着いて見ると、ドアの外にはたくさんのザックが、そしてカウンターには地元の人々の顔ぶれで満席以上です。
僕たち二人には外で飲み食いできるように席をセットしていただきました。
U田君は遠いので7時台の電車で帰ることに一旦はしたのですが、地元の方々の引き留めで8時台の電車に変更。席も空いたのでカウンターに座らせてもらいました。
天益ではこのような地元の方々との交流が楽しみのひとつでもあります。山のことをよくご存知の警察や消防署関係の方もよく来られます。お世話になることがあってはならない山岳救助隊の関係者なのです。

前回の葛葉川本谷の後では、筋肉痛に苦しめられましたが、それを一度体験しているので、今回は何ともありませんでした。時々はこのレベルで肉体を使わないといけませんね。


一昨年10月以来の沢登りになるY根君と、天地沢へ

2013年08月12日 | 沢登り/多摩川本流

2013/8/10  この時季、熊本に行かないのは5年ぶり。それまでは毎年長めの沢や北アルプスの滝谷や剱岳でのクライミングに出かけていたので、自宅で過ごしているのは遥か遥か昔のこと。記憶にすらありません。しかし今年は、7月に母親の四十九日があったので夏休みが8月には取れません。まあ、こんな8月もたまにはいいでしょう。

僕の誘いに乗ってくれたのはおよそ2年ぶりに沢登りをするY根君。仕事がハードなせいでしょうか、なかなか山に行けていないのです。山へは年に2、3回、フリークライミングの外岩へ年に数回、クライミングジムに年間20回ほどというのが昨年のペースだとか。そんな中、同行してくれることに感謝、感謝! 彼は強力な山仲間ですから、もっともっと一緒に山へ行きたいものです。

僕にS子に、そしてY根君、こんな凸凹トリオですから沢の選定には苦労します。最終的に選んだのは昔1回行ったことのある海沢谷の支流、天地沢でした。遠く千葉県から出て来る、多分仕事疲れも残っているはずのY根君ですから、奥多摩駅到着は遅めの9時過ぎ。駅から1時間ほど車道と林道を歩けば天地沢出合です。

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▲天地沢は海沢林道を歩くと、最初に左岸から流入する顕著な支流なのですぐに分かります。写真の木橋に至る踏み跡も明瞭。僕たちはここで沢装備を準備しました。10:37ころ。

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▲すると、上の方から人の声が聞こえます。ぞろぞろと異様な風体の一団が! キャニオニングの連中です! お揃いのネオプレーンのウェットスーツに身を包み、ライフジャケットにヘルメット、完全装備です。
渓流の、水が多くて安全で、楽しめる、区切られた部分だけを思いっきり遊ぶ。楽しいだろうなぁ、と思いますが、僕にとってはやっぱり登山の一手段。ザイルを使う滝の登攀や水が涸れた詰めの急登を汗まみれになって這いずり登る、そんな沢登りが向いているようですね。この人たちの中から、沢登りに目覚める人たちが出て欲しいと思います。
上の写真が10:41ころ、下が10:45ころ。
ちなみにこの橋の上流から海沢園地までを海沢瀑流帯と呼びます。今日のように穏やかな天候続きの日は瀑流ではなく、大人しい流れです。これまで僕も2回遡行したことがありますが、1回目は大雨の後で水量豊富、水流強烈で、まさに瀑流でした。どうしても突破できない箇所があり、最終的には横を通る林道に逃げた記憶があります。

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▲先ほどの一団が見えなくなると、またまた同様の集団が降りて来ました。同じ格好です。いきなり我々の目の前で水に漬かり、気持ち良さそう! 諸注意を受けています。三点確保も説明していましたが、参加者は初耳の様子。来る前にそれくらいは練習させて来て欲しいものですね。10:50ころ。

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▲僕たちは支流の天地沢に入ります。今日は苔の緑が綺麗でした。11:10ころ。

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▲小さな滝も時折出て来ます。11:28ころ。

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▲森の緑と苔の緑に囲まれた世界です。11:37ころ。

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▲イワタバコもたくさん咲いていました。11:47ころ。

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▲南国のガジュマルのような雰囲気を漂わせる木ですね。11:49ころ。

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▲小滝をS子だけが高巻きました。で、こんな感じに。11:53ころ。

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▲苔の絨毯の上にイワタバコ。11:55ころ。

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▲大きな桂の木の横に看板が立っていました。沢登りも水遊びと言って言えないことはありませんが、絶対に水源は汚しませんのでご容赦を。12:00ころ。

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▲見事な滝です。名前は付いていないのでしょうか? 沢のルート図集ではF-1としか書かれていません。高さは15mほど、釜も広く、スラブを一直線に優美に流れるさまはなかなかの名瀑です。12:09ころ。

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▲『奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート』ではF-1を右の涸沢から仕事道まで上がって高巻くとなっています。でも、滝の落ち口より少し上がったあたり、岩峰の中間点あたりで早めに高巻けそうなところがあったので、念のためにザイルを出してトラバースしてみました。
Y根君がいる位置が上がって来た涸沢です。ザイルを固定し、S子がヴィアフェラータの要領でこちらへ歩いて来ます。ゲートを互い違いにセットした2個のヌンチャクがあればOK。12:26ころ。

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▲トラバースして3人が集まった場所がこの写真のS子がいるところ。そうです。懸垂下降しなければなりません。しかも、懸垂のスタート地点は自分の足元よりも下。ザイルにいきなりぶら下がらねばならず、ちょっとと言うか、かなり嫌らしい。30mザイルが沢床の地面に届くか否か(15m以内ならばセーフ)も心配でしたけれど、それは大丈夫でした。
S子は久し振りの嫌らしい懸垂下降に少々ビビり気味。懸垂下降をスタートさせるまで、Y根君にS子を確保するよう頼んでおいたのですが、いろいろと手間取っているようでした。12:47ころ。

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▲ようやく空中に飛び出して来ました。12:55ころ。

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▲途中からは完全に空中懸垂になります。S子は体がほぼ水平になってしまっています。あまりいい体勢とは言えませんね。12:59ころ。

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▲最後はY根君。スムース&スピーディーに下降して来ました。13:04ころ。
この高巻きで思いのほか時間を喰ってしまいました。このペースで稜線まで詰め上げると、予定時間までに下山できなくなる可能性が大です。Y根君と相談し、F-2まで行ったら、仕事道を使って下山することにしました。上流にはたいした滝はないようですし、「杉の倒木に埋まってしま」い、「馬鹿馬鹿しくなるほど強烈な倒木帯」になるようです。18年前の記録なので、変化はしていると思いますが、諦めはつき易いですね。

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▲F-2です。F-1と同じく15mとなっていますが、こちらの滝の方が高いんじゃないでしょうか? これも見事で美しいスラブ滝です。13:33ころ。

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▲F-2の側壁にはイワタバコがびっしりと生えていました。13:34ころ。

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▲今日は30mの補助ザイルしか持って来ていませんし、ハーケン、ハンマーもありませんから、直登は無理です。でも、ちゃんと準備してきたら、登攀可能かどうか観察してみました。結論は、無理。13:36ころ。

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▲F-2も滝の右の涸沢のようなところを上がって行きます。浮き石が多くて、ちょっと嫌ですが、下の人に落石を落とさないように気を付けさえすれば大丈夫です。13:43ころ。

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▲ルート図には上に仕事道があることになっていました。でも、仕事道ほど不確かな道はありません。獣道は一定の場所にほぼ変わらず存在し続けると思いますが、仕事道はそうではありません。仕事がなくなり、使わなくなると、すぐに荒廃し消えてしまう運命です。
幸運なことにまだ消えずに残っていました。でも、最近はあまり使われているようには感じませんでしたね。13:50ころ。

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▲こんな標識が・・・ 多分、F-1のことだとは思います。でも、そこまで下降していくのは至難の業だと思いますが。13:53ころ。

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▲桟道のような木橋が架かっていました。木が朽ちかけていますから、こわごわ渡ります。13:57ころ。

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▲水源標識があったところに降りて来ました。少し右の四角いのが恐らく貯水槽なのでしょう。 14:02ころ。

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▲作業小屋がありました。沢の水はふんだんにありますし、片方が岩で塞がれたこの小屋は居心地が良さそうです。14:12ころ。

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▲登っていた時には気付かなかったワサビ田が幾つも続いていました。作業小屋もあります。仕事道は時々不明瞭になりますが、しっかりした道になっています。14:16ころ。

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▲天地沢出合脇の木橋に戻って来ました。14:20ころ。

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▲時間はまだたっぷり残っていたので、このまま終了とせず、海沢谷をここから下降することにしました。この上流は瀑流帯で、泳ぐところも出て来ますが、下流は穏やかな流れです。14:22ころ。

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▲このような感じの中をのんびりと下って行きました。15:00ころ。

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▲段差があると言っても、この程度です。15:04ころ。

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▲マタタビの実がなっていました。橙色に熟していない実は異常に辛い味がします。15:25ころ。

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▲涼しくて清々しい沢歩きもここで終了。15:28ころ。
すぐ上には林道が通っています。日陰の多い林道はまだましですが、日陰のほとんどない車道に出ると、猛暑日の洗礼を浴びなければなりません。汗がじっとりと噴き出します。

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▲車道から奥多摩駅のある氷川方向を眺めました。下を流れる川は多摩川です。暑くて空気がじっとりしているので、遠くの山の霞み方も半端じゃぁありません。16:28ころ。

さてさて、沢登りは終了しましたが、今日の本番はこれからなんです。実は今日は「奥多摩納涼花火大会」。花火を見物するのが主目的! その報告は、また次で。


今シーズンの沢初めを小中沢で

2013年06月06日 | 沢登り/多摩川本流

2013/6/1  例年ならばその年最初の沢登りを4月には行なっているものですが、今年はなにやかやで遅れに遅れ、6月に入ってしまいました。S子は山歩き自体がほぼ一ヶ月ぶりですから、易しい沢を選びました。
易しいとは言っても遡行したことのない沢ですから、ネットで調べた範囲でしか分かりません。ネットでの評価は「数メートルの小滝はあるけれど、ワサビ田とクモの巣だらけの沢でしかない」と言った評価。こんなマイナス評価も実際に行ってみないと僕自身がどのように感じるかは分からないものです。ただ、この沢を選んだ決め手は途中から中腹の林道へエスケープ可能という点でした。

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▲境橋バス停で下車し、境集落の方へ奥多摩むかし道を進むと、年代物の大きな橋梁が見えます。これは戦後、東京都の水瓶である小河内ダムを建設する時に氷川から水根へ資材運搬用に作られた鉄道路線です。1952年から5年半だけ使われたのだそうです。その後、水根までの営業路線として活用する案もあったそうなのですが、地質が不安定で安全運行が危ぶまれ、実現はしませんでした。8:53ころ。

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▲奥多摩むかし道が小中沢を横切る地点には立派なトイレが設置してあります。(上の写真)
道路横の広場で朝食を済ませ、沢支度をしました。そこから見えるのですが、支流出合にかかる25mほどの滝が見えます。正式名称かどうかは知りませんが、どうやら“不動上滝”と呼ばれている滝のようです。どうして“上滝”かと言うと、この下流、多摩川との出合に“不動滝”があり、その上流にある滝だからでしょう。9:59ころ。

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▲小滝が現われました。釜もあって、緑明るいこの季節は沢が美しいシーズンです。10:01ころ。
実は、僕とS子はずいぶん昔にこの小中沢に来たことがあります。いつかは忘れましたが、おそらく10数年以上前でしょう。しかし、こんな小さな滝の記憶すらありません。何故かと言えば、入渓してすぐに谷全体を埋め尽くす倒木に出くわしたからです。倒木と倒木の隙間をくぐり抜けながら進みました。しばらく進めば、倒木帯から抜け出せると予想していたからです。でも、まったく先が見えません。結局、ジャングルジムのような倒木帯の底から天辺に10m近くもあったでしょうか(ちょっと大袈裟ですが)! まさにジャングルジムを登るように、隙間をくぐるように登って行き、倒木帯の上に立ちました。その上流に延々と続く倒木帯を見て、遡行を諦めたと言う訳です。

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▲大きな釜を持つ滝が現われました。左のバンド状をへつっても行けそうですし、右壁を落ち口に向かって登ることも出来そうです。どちらにせよ、S子のためにザイルは出さなければなりません。左は中間支点が取りにくそうなので、右の方が良さそうです。水面から1mくらい登ってみましたが、大丈夫そうです。
ところが、S子が「時間がかかるから高巻こう」と言います。それも確かなので、今回は登らないことに。10:05ころ。

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▲水を送っているゴム管の下から高巻きました。ザイルを出していないので、高巻きにはくれぐれも用心が大事です。10:10ころ。

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▲さきほど境集落で見上げた鉄道路線が小中沢を横切っていました。10:22ころ。

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▲橋梁のすぐ上流から再びこのような渓流の様相です。10:23ころ。

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▲小さな沢でもこんなシーンがあると楽しめます。10:26ころ。

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▲先ほどから沢に沿って設置されていたゴム管の出発点がここ。取水口なのでしょう。10:35ころ。

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▲瀞が映す緑が美しいですね。10:36ころ。
滝の上には木の橋が見えます。仕事道です。

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▲2条の滝が現われました。右の流れを進むS子を岩の上から撮影しました。10:41ころ。

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▲ワサビ田はありますけれど、ワサビ田だらけというほどではありませんでした。奥多摩の沢にはもっとワサビ田が連続する沢はたくさんあります。手入れされていて現役のワサビ田が多いので沢自体が荒廃している印象はありませんでした。
写真の上部左にワサビ田が広がっているのですが、珍しいことに木で作製した樋を使って水を流し込んでいます。10:53ころ。

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▲沢の石の上に鳥の巣の残骸がありました。鳥の巣を誰かが取ってここに捨てたのでしょう。それとも、獣の仕業でしょうか? 11:11ころ。

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▲水線沿いにも登れそうでしたが、水を浴びてしまいそうなので、右の乾いた壁を登ることにしました。11:11ころ。

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▲念のため、S子にはザイルを出しました。11:24ころ。

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▲支沢から高さのある滝が流れ落ちていました。長い倒木が立てかけてありますけれど、誰かがそのあたりを登ったのでしょうか? 確かに登るとすれば倒木が立てかけてある辺りが易しそうです。11:34ころ。

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▲このような小滝が続きます。11:40と11:44ころ。

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▲水と緑の中を歩くだけで僕は満足なんです。11:51ころ。

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▲この滝は直登できないので、高巻きました。11:54ころ。

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▲こういう小滝でもどこを登ろうかとチャレンジするのが楽しいものです。どこを登ったっけ? 11:59ころ。

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▲いろんな形の滝があります。12:08ころ。

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▲左上の岩が倒れかかったのか、それとも下の岩が挟まったのでしょうか? 左に岩の穴が出来ています。12:50ころ。
二度目の休憩をした後でした。

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▲ひとつ前の写真の下部を左から右へ移動しているところです。岩に頭を押さえつけられるようで、体勢の取り方が難しい箇所。12:53ころ。

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▲沢の左岸のワサビ田跡に鉄のレールが出現しました。仕事用のモノレールです。13:08ころ。

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▲頭の上を朽ちかかった木橋が通ります。二万五千図の山道がこれなのかな、と思います。13:15ころ。
この先にはミニゴルジュがあるそうです。ミニゴルジュを越えたところからもエスケープ出来るようですが、今日のS子の調子から判断すると、この辺りから下山するのがいいと判断しました。

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▲木橋のすぐ横にはモノレール軌道も渡っています。このモノレールは最近になって奥多摩全域に次々作られています。増え過ぎたシカによる食害を防ぐために、森林を保全することが目的で作られているようです。13:22ころ。

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▲モノレールは途中で1本は沢へ向かいました。もう1本はこの植林帯を上がっていきます。写真の右端にレールが少し見えています。山道はしっかりと付いていました。13:27ころ。

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▲杉林の中で純白の花が咲いていました。ウツギです。漢字なら「空木」と書くことからも分かりますが、木の枝の断面が中空になっています。13:31ころ。

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▲静御前とその亡霊がともに舞う姿から「フタリシズカ」と名づけられました。その名の由来は最高にロマンチックですが、個人的には名前負けしているように感じます。二人ではなく、三人や四人のケースも多く見られますし、どちらかと言えば「三人かしまし」といった風情ですよね。13:32ころ。
もうひとつの「ヒトリシズカ」の方は花と葉に幽玄の雰囲気も感じられ、名前負けしていないように思ってますけれど。

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▲廃屋が見えて来ました。三ノ木戸(さぬきど)林道も間近なのでしょう。13:38ころ。
林道名ですが、林道にあった地図上では小中沢林道となっていました。でも、何となく三ノ木戸林道と、僕は呼んでいましたし、天益で地元の人に聞いても「もし呼ぶのなら三ノ木戸だなっ」といった雰囲気でした。

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▲林道の終点にぴったし飛び出しました。そこはモノレールの中継基地になっているようで、上へ下へ幾本ものレールが行き交っていました。13:45ころ。

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▲これがモノレールの車両です。人だけが乗ると、3人は楽勝でしょうか? レールをしっかりと噛んでいて、急な勾配でも安全です。13:47ころ。

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▲モンベルのサワーシューズロング。価格が6600円とリーズナブルなのと、沢用スパッツを兼用している点が長所です。短所は着脱の困難さ。最近やっと慣れて来て、足を攣らさずに出来るようになりました。S子はいまだに手こずっています。14:19ころ。

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▲右のピークは御前山1405.0m、中央は鞘口山1142m、その左が鋸山1109m、いちばん左の顕著なピークが天地山981mだと思います。14:20ころ。

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▲右端の天地山から始まって左へ、三角のピークは鍋割山1084m、その左下に歯の欠けた櫛のような山頂(写真をクリックして拡大すると分かるかな?)は御岳山929m、いちばん左のなだらかなピークは大塚山920.3mだと思います。14:21ころ。

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▲三ノ木戸林道を奥多摩駅へと歩き始めてすぐに、このような対岸斜面が見えて来ます。伐採跡に広葉樹を植えているようです。おそらく、ここの伐採の影響で10数年前の倒木帯が下流部に出来たのでしょう。14:37ころ。

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▲右の鋸山と左の天地山の間から大岳山1266.5mが山頂をのぞかせました。14:50ころ。

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▲スイカズラ。僕はこの花の甘い香りが好きです。ネットで調べると、漢字で「吸い葛」と書くそうです。僕は吸ったことがありませんが、吸うと蜜が甘いのだとか。今度吸ってみます。右の花は黄色っぽいですが、古くなるとだんだん黄色くなります。14:54ころ。

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▲これはヤマボウシ。ハナミズキなどの仲間です。白い花びらの様なのは「総苞」と言って、花びらではありません。ミズバショウやドクダミの白い部分も同じ。ヤマボウシは秋になると桃色の丸い実を付けます。柔らかくて口に含むと優しい甘みが広がります。15:02ころ。

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▲この花も僕が好きな花です。コアジサイと言います。ひとつひとつの花も小さくて、背丈も低い樹木。日本固有種なのだそうです。15:26ころ。

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▲羽黒三田神社です。15:29ころ。

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▲コアジサイがまた咲いていました。僕がこのコアジサイを好きな理由のひとつが、この青さです。白から薄青まで偏差はありますが、青い花が少ない中、この青さは貴重です。よく見ると、茎も青いんですね。15:33ころ。

沢初めなので無理をせず早めにエスケープして下山しました。小中沢は長さだけなら奥多摩でも長い方でしょうから、S子と遡行して六ッ石山まで行けるとは思っていませんでした。予定通りの三ノ木戸林道からの下山。
林道途中から天益に電話をし、席を確保しておきます。カウンターでは地元の人、青梅からしょっちゅう山歩きに来る人、関西から出張に来たついでに富士山登山のトレーニングに来た人など、話しが弾みました。


涼を求めて奥多摩の真名井沢へ、それでもやはり、最後は汗だく

2012年08月02日 | 沢登り/多摩川本流

2012/7/29  去年の秋以来久し振りのA野さんとの山行。S子も行くので、癒し系で猛暑の夏を涼める沢を探しました。こうも暑い日が続くと、アプローチの林道歩きが長く続くと嫌ですし、標高が低いと、稜線に飛び出した時点で暑くてたまらないかもしれません。

というわけで、奥多摩の沢としては少し長い方に属すかもしれませんが、大丹波川の真名井沢へ行くことにしました。

川井駅からバスに乗り、終点の上日向で降ります。これで暑い車道歩きを回避。上日向からの林道は木陰の道ですから涼しい歩きです。真名井沢へはこれまで10回近くは行っていますけれど、バスに乗ったのは初めてかもしれません。

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▲真名井沢沿いの林道が大きく沢から離れて行くところが写真のとりがや橋です。林道とは別れて、沢沿いの道に入ります。9:02ころ。広い砂利道はすぐに終わり、山道を進み、木橋で沢を2回渡りました。

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▲山葵田が出て来ると、なんとなんと上流に堰堤が見えるじゃないですか! 4年前にU田君と2人で来た時には確かなかったはず。この堰堤の手前で、準備を整えました。そして、出発です。9:47ころ。

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▲これが最後の4つ目の堰堤だったと思います。同じタイプの堰堤。かつてはスタート地点から山葵田が続き、山葵田の横を長~く歩いたものです。それが今ではこの写真のように。9:55ころ。

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▲堰堤の連続でショックを受けましたが、それもじきに終わり、この写真のあたりから沢らしい風景が戻って来ました。9:59ころ。

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▲山葵田が再び現れました。一人の女性がそこで労働していました。声も掛け辛い感じで、一生懸命働いている様子。その少し上流では男性2人が、おそらく山葵田に水を引くためのパイプでしょう、その設置工事をしています。10:03ころ。

「堰堤が出来ちゃいましたねぇ」と話しかけると、「そう、最近ね」。「昔は山葵田がずう~っと続いてましたよね」。「ぜ~んぶ、無くなっちゃったよ」。沢の様子もどんどん変貌するのです。

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▲先週の勘七ノ沢でイワタバコの蕾を見ましたから、今週は咲いているだろうと、期待していました。咲いていました! 10:16ころ。

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▲ヒキガエルにも何度も出会いました。調べると、どうやらアズマヒキガエルの高地型みたいです。10:25ころ。

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▲イワタバコもたくさん咲いています。10:37ころ。

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▲理由は分かりませんが、岩にくくりつけられたロープが張ってありました。スラックライン(綱渡り)のようだったので、ロープ渡りをしてみました。ビビりながら、S子も。10:44ころ。

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▲ずん、ずん、ずんと、足音が近づいてきます。このカエル、身じろぎだにしません。10:48ころ。

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▲この小滝、高さも傾斜もありませんが、苔でヌルヌルです。侮って登っていくと、足がツルッ。腹這いの姿勢で2mほど滑ってしまいました。10:53ころ。

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▲『奥多摩の谷123』に出ている二俣手前の10mナメがこれでしょうか? 11:03ころ。

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▲大きなカタツムリでした。カタツムリにもさまざまな種類があるようですが、よく分かりません。すぐ横の流れのそばにもう1匹、これより小さなカタツムリもいました。写真のはかなりデカイ! 11:05ころ。

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▲二俣です。11:18ころ。

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▲これが魚留の滝5m、F1です。昔は流れの右を小さく巻いていました。滑りやすそうなので、ザイルを張って通過したものです。いつからだったか、流れのすぐ右を登るようになりました。ハーケンも打たれていて、プロテクションを取りながらリードできます。3級のグレードですから、易しい滝です。11:20ころ。

でも今回、登ってみると、ハーケンがぐらついています。浅打ちのようでした。タイオフにしようと思いましたが、やたらぐらつくので手に取るとあっさり抜けてしまいました。その上にもピンは見つからなかったので、誰かハーケンを打ち直してもらうしかないですね。まあ、ピンがなくても問題はありませんが………。

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▲F1のフォロウするS子。11:32ころ。

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▲同じくA野さん。11:38ころ。

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▲気楽な小滝が続きます。11:43ころ。

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▲水の苦手なS子もこれくらいなら心地よいはず。11:54ころ。

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▲連続する小滝もいいですが、森の美しさにも目を惹かれます。11:55ころ。

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▲この5m滝がF2なのでしょうか? 『奥多摩の谷123』の解説通り、「石積み堰堤状」に見えますが、「階段状なので簡単に登れる」とまでは言い切れなさそうです。12:10ころ。

水流右が直登できそうでしたが、無理をせず、左から高巻こうと思いました。しかし、ザレた斜面はズルズルと滑り、足元が安定しません。右も同様ですが、岩っぽいバンドが安定していたので、僕だけ高巻いてしまいました。高巻きには不安定要素もあるので、2人には水流右を直登してもらうことに。上からザイルを投げおろします。

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▲ザイルが付いているので安心ですが、滝の落ち口付近の岩が丸くて安心できるホールドがないようです。リードするなら、ハーケンを打ち込んでプロテクションを取れるようにしないと、ちょっと心配です。12:20ころ。

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▲視界の上半分に広がる緑の森は相変わらず綺麗です。こういう中を流れる沢ならば、小滝でも登攀的な滝ではなくても、大好きです。12:35ころ。

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▲倒木も増えて来ました。フラッシュをたかずに撮った写真ですが、明暗のコントラストはこれくらいありますね。13:13ころ。

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▲家で写真をよく眺めてみると、この滝が10mF3かもしれません。「直登するならばザイルを使いたい」とありますが、ザイルを使わずに登りました。13:24ころ。

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▲またまたヒキガエルです。これまでのとは違い、あまり赤みがありませんね。13:29ころ。

この日1日、ヒキガエルとは何度も遭遇しました。一度などは岩と間違えて掴んでしまいました。ギョッ! カエルさんの方はケロッとしてましたが。

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▲水の流れもほとんど消え、源流の様相ですね。14:05ころ。

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▲とうとうツメです。ザレでなくゴーロなので、落石に細心の注意を払いながらの登高でした。14:46ころ。

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▲ツメの最後は植林帯です。これがけっこう急! 15:01ころ。

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▲赤杭尾根の登山道に出ました。15:19ころ。

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▲花はガクアジサイのようですが、木ではなく草っぽいので、家に帰って名前を調べました。すると、そのまんまの名前です。つまり、クサアジサイ。16:00ころ。

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▲赤杭尾根の中間部では林道を歩くことに。白花で背の高い草が群生していました。僕はこれを永年「ブタクサ」だと思い込んでいました。

この花はケシ科のタケニグサという名前で、有毒植物なんですね。16:05ころ。

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▲今日は暑い一日だったようです。御岳山、大岳山、鋸山、御前山など、奥多摩の山々が暑く湿った空気の中で茹だっているようでした。16:27ころ。

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▲最近では珍しい、草に覆われた奥多摩の登山道です。すぐ下に鹿よけのためでしょうか、柵が続いていました。16:30ころ。

ずっと昔の奥多摩の夏の登山道では足元が草で見えないのが普通だったように記憶しています。

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▲ギンリョウソウです。でも、いつもの印象と違いますよね。これは花が咲き終わった後の種子なんだそうです。16:33

今日は遡行ものんびりペースでしたが、下山も花を愛でながら、会話を楽しみながら、ゆっくりの下山です。時間が許すのであれば、僕はこんな風に余韻を味わいながらの下山が好みです。

古里駅には18時少し過ぎに到着。18:15の電車に乗りました。

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のんびり山行は良かったのですが、A野さんは翌日の仕事が早いので一緒に打ち上げをすることができません。次回は打ち上げ出来るような計画を立てましょう。

拝島駅でA野さんとは別れ、S子と2人で九州料理の「かさ」へ。黒糖焼酎の「長雲」をロックで飲みました。僕は「長雲」が好きなんです。