私的図書館

本好き人の365日

『ミラクル・ファミリー』

2010-06-30 23:59:00 | 本と日常
柏葉幸子さんの短編集、

*(キラキラ)*『ミラクル・ファミリー』*(キラキラ)*(講談社文庫)

を読み終えました♪

父親、母親ってたまに面白がって子供をだましたりしませんか?

お前のおじいちゃんは実はたぬきなんだよ…

今どき小学生でもだまされないって!(笑)

実は私には甥っ子がいるのですが、何でも信じる小さい頃は面白くって、ついついからかったりしていました♪

早く寝ないと怖いおばけが出るぞ、とか☆

ゴメンよ~

でもそうやって何度も騙されているうちに、言葉にはウソもあるんだって学んでいくんですよね。

生きていくには必要な能力です。
うんうん。

そんな大人が子供にするような、たわいもないお話に出てくるキツネやタヌキや神様たちが、日常にひょっこり顔を出す、そんな不思議で心温まる童話のような短編集♪

期末試験の勉強をしている中学生の息子の部屋にマンガを借りに来たという父親が話し始めたのは、父親の父親、息子にとっては祖父にあたる人物が語ったという奇妙な話。

若い頃に家族を捨てて家を出たくせに、ひょいと帰って来たという祖父。

しかし彼は、実は自分は京都のタヌキだと語るのです。

(笑)

私のお気に入りは「木積み村」というお話♪

ようは熟年離婚のお話なのですが、最近結婚したばかりの息子は母親がいきなり家を出ていってしまったと聞かされ奇妙なことを口走ります。

母親はキツネかも知れない…

母方の実家には奇妙な風習が残っていて、
「キツネが人に化けて人間と暮らすのだけれど、幸せになれずに山に帰って来る」
というお芝居がお稲荷さんの境内で毎年かかり、里帰りした際には必ず観せられていたというのです。

しかもそれを観て村人すべてが泣くという…

「木積み村」=「きつね村」?

奥さんは実はキツネなの!?

そんな話を当の一人息子から聞いてきて、真面目に信じている様子の夫に現実的な妻は言います。

「しあわせなら、きつねだろうが、人間だろうが、家を出たりしませんよ」

グサリ!

しかし、その奥さんにも秘密があって(笑)

その他にも、
「ミミズク図書館」とか
「白雪姫の鏡」とか、
父親だけの「お助け神さん」とか、
現実の中にひょっこり顔を出す不思議な住人たちのお話がいっぱい!

そして、それを語る現実の人間たちもとっても魅力にあふれています♪

着付け教室に通う息子。
父親の宿敵。
鬼子母神の祠の前に立つ兄妹。

柏葉幸子さんの作品は、『霧のむこうの不思議な町』から好きだったのですが、この短編集も気に入りました☆

読んでいてあったかい気持にさせてくれます。

…それにしても講談社さん、文庫化するの遅くない?

単行本からずいぶん待ったよ。

もうページをめくり出したら止まらなくって、アッという間に読み終えていました。

あー面白かった♪