インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

アフターオペの冬ごもり1(自由律句)

2017-12-16 13:55:22 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
僥倖の如く 冬日の合間洩れ入る陽差しの温もりよ

鍋おじやにスペイン産赤ワイン 冬夜のささやかな贅沢

髪を切りたしと思えども 真冬にうなじ寒かれと迷う 春まで俟たん

冬日力を盛り返し窓辺の温かき午後

静まり返った冬の早朝モーツアルトに耳を傾ける清々しき孤独

人生最大の危機を乗り越えて作家人生に新たなる息吹き注ぎ込まん

見えることのありがたや うれしきかな

上菊橋から望む冬野 蒼河 白峰 裸眼で拝める至福

今年の冬は素敵になりそうな予感

夫に染されし肺炎名残りて軽い咳止まらず

大岩山日石寺の不動明王 神々しき石窟摩崖仏が吾の目を守らん

目のお守りを握りしめて ありがとうありがとうありがとう

還暦みとせ超えた誕生日 吾の人生の如く空は荒れ模様

大雪の予報に熱帯地帰りの吾は恐々

雪が止んだら 老眼鏡とルーペを100円ショップに買いに走らん

絵本と写真集 大活字本 術後の目にやさしい読書を

一口チョコと赤ワインの苦みが口中で程よく混ざり合ってしっくりとろける美味

誕生日前夜ワインと雪見で独り居の無聊慰めん

独り静かに視力の回復を喜ぶ

冬三昧 雪の海に溺れる狂喜

新しき視力 新しき私 赤子の如く今新たに生まれ変わらん

ラジオFMのユキ・ラインハートの美しき英語の発音耳に心地よく

やってよかった やらなきゃよかった 術後の感慨悲喜こもごもの眼科外来

見える見えないに一喜一憂する眼科病棟

橋上の美景 一幅の絵の如く 術後の目に鮮やかに映りし

裸眼で遠望できる至福 手元の文字は読みにくかれども

見える見える見える 感謝感謝感謝

硯を洗って出直さん 愛と笑いと癒しの文学を

夢に懐かしき人現れ やあと輝かしい笑顔で右手差し出す

黒々とした巻き毛 生き生きと笑みに彩られし頬 しゃれたジャンパー ジムで鍛えたたくましい胸板 天国の彼は美しく精彩に満ち

アフターオペの冬ごもり うつぶせ強いられ無為の仮眠でひたすら目を休ません

(0に戻った後、2につづく)
コメント
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