インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

とんだお騒がせ重婚

2009-05-12 01:25:13 | 生活・慣習
本2009年1月のことだが、三人の子持ちのハリヤーナ州副首相、チャン
ダー・モハン(Chander Mohan)氏が、同州弁護士長補佐を務める女性、
アヌラダ・バリ(Anuradha Bali)さんと、イスラム教に改宗した後、
それぞれChand Mohammad、Fizaと改名し、重婚した騒動があった。
ご存知かもしれないが、イスラム教では重婚が認められており、男性は
四人まで奥さんをめとってもいいことになっている。
事後、チャンダー氏は不祥事で副首相退陣を余儀なくされたが、記者会
見に臨んで、ラブに優るものはないとばかり、かなり年下の新妻への終
生の愛を誓った。ヒンドゥ教から改宗したことで、両人はカーストを喪
失してしまったことになるのだが、記者会見ではどこ吹く風、堂々結婚
宣言してみせたのだった。

                                 

ところが、ひと月余りで夫は家出、本妻と子供のもとに戻り、残された
新妻は自殺未遂をはかる騒ぎが発生。
両人ともこの騒動で無職に陥り、経済的に行き詰ったのが一因のようだ。
とくに、チャンダー氏は、州首相歴のある父(Bhajan Lal氏)を有する名
門政治家一家で、これまで何不自由ない贅沢三昧だっただけに、勘当後
アジャストするのに問題があったようだ。あくまで推測だが、美人だが
インテリの勝ち気妻に、金のことであれこれ愚痴られたのではないだろ
うか。

それにしても、記者団を前にしての、とわの誓いの舌の根も乾かぬ、この
ざま。

        

捨てられた若妻の方は泣きはらした顔で記者会見(写真、37歳)、新夫を
散々詰ったあげく、これまで送られたというラブsmsまで披露し、男の裏切
りを糾弾した。
格好のスキャンダルとばかりマスコミは飛びつき、ニュース番組は捨てら
れた妻、フィザさんの会見一色に。
改宗してまで重婚に踏み切った当の夫からは以後音沙汰はなく、第二妻は
ついにレイプ事件として警察に訴える騒動にまで発展した。詐欺や名誉毀
損、イスラム冒涜も余罪に入っている。

                     

ここにいたって、夫の側が取った窮余の策は「タラック宣言」。

「タラック」とはインドのイスラム・スンニー派間で蔓延している慣習。
妻にタラック、タラック、タラックの三言宣告すると、離婚有効になる、
イスラム男性側からの一方的かつ横暴な特権である。

第二妻は、ショートメッセージによる三言宣告は成立しないと退けたが、
対外的には決裂の顛末に終わった。

                   

正式に姻戚関係を結ぶため便宜上イスラム教に改宗した二人だったが、
元妻はこのまま同教を保持する旨宣言、一方元夫の方は再度ヒンドゥに改
宗し直すのかどうかは不明。

ところで、イスラム権威は、こうした便宜上の不徳の改宗は強く取り締ま
るべきだとの懸念を示した。

             

*   *   *

★フィザさんの今後は?
一躍マスコミの寵児となった元美人妻は、映画出演や自伝を書く話、は
ては政界デビューまで取りざたされている。
本選挙中も、元夫の政敵に頼まれてキャンペーン活動を繰り広げた。
チャンダー氏は酒と女にだらしなかったと言われ、フィザさんいわく、
交際を尊重しない汚職政治家に今後、女性がだまされることないよう、
警告を発したいとか。
まこと、女の恨みは深い!
固い復讐を誓った元妻の雪辱の報酬戦、果たしてなるか?

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ベンガル湾季節便り/浜の打ち上げ花火

2009-05-12 00:40:31 | 季節・自然
ついに当オリッサ州の熱中症による死者は150名を越えた。
過去熱波で当州では200名近い人が亡くなったことがあるが、それを上回
るワースト・ヒートウエーヴになるかもしれない。

                     

内陸部の原住民地域、サンバルプルなど、46度以上ととうとうインド一
の高温地方と化してしまった。タール砂漠のあるラジャスタン州より暑
いなんて、ほんとどうなってんじゃい。
オリッサ州都ブバネシュワールも近年、インドで有数の高温都市と化し
つつあるのだ。

当分この熱波が納まる兆しはないとかで、当地プリーをはじめとする海
岸地帯は今日になって心持ち和らいだように思えたが、夜になるとむん
むん熱帯夜。

       

浜に早めに夕涼みに出ると、今日の海は昨日と打って変わって、穏やか
だった。波が立たないため、遠目には東から西まで壮大な海原一帯が望
める。
満月から三日たつと、ここまで引き海になるのである。

                                 

それでも、沖では時折中程度の波がパーンと弾けるが、足浸しにもって
こい。引き潮になると、大勢の人が生ぬるいうしおに下肢を浸して楽し
む。
とくにミッドサマーの現在は、涼をとるに最適。前方まで進んで腰まで
浸している人もいる。
この時期の海水浴はリフレッシュ、ひとときの清涼感をもたらしてくれ
る。

            

西の空は淡いオレンジに染まり、時々刻々と色合いを増し、あえかな藤
色の薄闇に沈んでいった。夕日は顔を見せなかったが、ほのかに色づい
た美しい黄昏だった。

踵を返しかけた私の耳をいきなりつんざく爆音が上がり、つと夕空を仰
ぐと花火が見事に咲き誇っていた。
金や銀の粉がちかちかと降ってくる美しさに思わず、見とれる。
背後のファイブスターホテルで行われている披露宴を祝う、打ち上げ花
火らしい。
インドでは結婚式ともなると、必ず華麗に花火を打ち上げるのが習性。
婚礼シーズンになると、パンパン夜じゅう爆音が轟くことになる。

宵空に咲き誇る見事な大輪の花、夏に花火とは乙なもの、ふと郷里福井
の花火祭りを思い出した。ただで、こんな華麗な花火を拝めるとはラッ
キー!
四発堪能して、戻ったが、路上でも、椰子の樹越しにオレンジの光の花
が咲いて、思わずまた空を仰いでいた。

                      
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