インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

盗癖お断り

2008-04-28 00:42:06 | 生活・慣習
残念なことだが、インド人には手癖の悪い人が多い。手癖とはつまり、
盗み癖、のこと。この二十年間、わが安宿を通り過ぎた使用人は数知れ
ないが、そのうちの数名は盗癖のある人で、判明した時点で即クビ、お
引取り願ったものである。幸いにも、これまでお客さんである旅行者に
被害が及ぶことはなかったが、私自身室内を彼らに掃除させていると
き、携帯電話(写真は現在私が使っているモトローラ社の折込みタイプ)
を二度も盗まれたことがあった。

                    

あまりにも見えすいた手口というか、事後チェックしたらすぐわかって
しまうのに、誘惑のままつい手を出してしまう心境がわからない。その
二度とも、夫がきつく問い詰めて一応戻ってきたことは戻ってきたが。
そのたびに私自身、うーん、いかん、こりゃ気を引き締めなくてはと、
おのれの無警戒ぶりを大いに反省させられたものだった。使用人に掃除
させるときは、貴重品を室内に置かないこと、金庫の鍵は持ち出すこ
と、これはインド在留者の常識。

というわけで、うちのホテルでは、客室の掃除は自己申告制となってお
り、必ず部屋の主が監視の下に行うようにしているのである。

使用人ばかりではない。

うちの息子など、ダージリンの寄宿舎時代、お金は無論、所持品まで何
度持って行かれたことか。衣類などの小物から始まって、MP3プレー
ヤーまで。本当に残念なことだが、子供や少年にわりと手癖の悪い連中
が多いのだ。まあ、うちの子も警戒が足りなかったというか、寄宿舎生
活を始めたばかりで勝手がよくわからなかったせいもある。そこをうま
く付け込まれたわけである。それにしても、同級生に盗人が混じってい
るというのは、なんとなく後味の悪いものである。これに懲りて、現在
大学生の息子は、ルームメートでも決して警戒を怠らず、所持品・金品
を厳重に管理するようになったことはいうまでもない(友人にまで、心
を許せないとはなんと哀しいことか! ああ、しかし、ここはインド、
なのである。これがまさしく、インドの苛酷な現実)。

                           

インドでは、他人を信用しないというのがある意味、鉄則ともなってい
る。それは親戚であろうと、同じこと。というわけで、暮らし始めた当
初は、不信感に陥り、地元民にも長いこと心を開けなかった(ホテル街
だけに、向こう三軒両隣商売敵、実際のところ社交辞令程度の付き合い
で親密な交流はほとんどなかったが)。

腹に一物というか、外見は愛想よくても、裏で何を考えているのかわか
らない不気味さがある。日本とは両極端なくらい価値観の違う異国人ゆ
え、それもしかたなかったと思うが、今では、経験からだいぶ寛容に対
処できるようになった。が、やはり面識のない人への警戒は怠れない。

          

カルカッタではよく、使用人が雇い主を殺害した上、金品を持ち去る事
件が発生している。身元のしっかりした人を厳選することが肝要なこと
はいうまでもなく、うちではなるたけ、田舎の素朴な青年を雇うように
している。

そういえば、ヨガセンターでも一度、ジムメートが携帯電話を盗まれた
ことがあったっけ。バスルームの脱衣所に携帯を仕舞い込んだバッグを
置いておいて、見事やられたのだ。これなど、現地女性といえども、如
実に警戒を怠った自業自得といえよう。
これだけ携帯が普及していると、持ってない人はつい所有欲を刺激さ
れ、悪いことと知っていて目の前にあるとつと手を出したくなってしま
うのだと思うが、この事件後、息子にはジムには絶対携帯を持っていか
ないようにと口を酸っぱくして言い聞かせたことはいうまでもない。

治安のよろしくないインドでは、盗難事件も頻発。ほかのホテルでのこ
とだが、貴重品一切合財持っていかれた哀れな旅行者がいた。TCは再発
行できるからなんとでもなるが、身分を証明するパスポートが盗まれる
と、本当に大変。列車強盗も多く、睡眠薬盗難の手口はごくポピュラー
(親しく口をきいてくる人には注意を払い、飲み物など勧められても絶
対手を出さないことである)。

                

当ホテルにも、列車盗難にあって、貴重品を奪われ、ほうほうの体でた
どり着いた旅行者がいた(ちなみに、日本大使館では一時的に現金も貸
してくれる)。盗難にあった人のショックは測り知れず、インドへの悪
感情が募るあまり、旅を続ける気力を阻喪してしまうほど。もしこれが
自分だったと思うと、やはり再発行不能の現金を大量に盗まれたなら、
相当ショックで、しばらく落ち込みから立ち直れないかもしれない。
(所変わるが、タイ在住の友人は、いかさま賭博で年月かけて大事にた
めた旅行資金250万円!全額、持っていかれた)。

                      

インドをこれから旅する人はくれぐれもご用心を!


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