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道聴塗説 その四 3

(家の裏の厳しい環境で花開いたフキノトウ)

夕方、WH氏が見えた。久し振りで話が弾む。果樹園で採れた「はるみ」を頂いた。「はるみ」は「ぽんかん」と「きよみ」の交配種で果樹試験場興津支場で育成されたみかんである。一つ頂いたが、さわやかな甘さで普通のミカンのように皮がむけ、薄皮のままで食べられるほど、薄皮が薄く柔らかい。「はるみ」の苗を買ってきて植えてみようかとも思う。

Wさんから。掛軸の解読を頼まれた。また、古い手紙の解読もあわせて6通ほど頼まれた。掛軸は訳なく解読出来たが、手紙は解読が難しいので、時間が掛かるだろうと思う。解読の結果は後日。

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「道聴塗説 その四」の解読を続ける。

若し、この死の縁、身に備えたらば、更に逃るゝこと有るべからず。若し、怨敵のために害せられば、その一刹那に凡夫として思う処、怨結の外、何ぞ他念あらん。(これ自力称名の機に、疑う処をそのまゝに、出して、とかく本願の御約束を信ぜよと勧め給う。これ即ち、悪機(悪人)の悪を恐れて往生を疑うものには、その悪業に貪着せず願い、かの不思議にて往生する旨を示し給うと同じきなり。)
※ 怨敵(おんてき)- 恨みのある敵。あだかたき。
※ 怨結(おんけつ)- あだ、うらみを結ぶ心。


また寝死に於いては、本心、息の絶ゆる際(きわ)を知らざる上は、臨終を期する先途、既に虚しく成りぬべし。如何してか、念仏せん。(この人も他力によらば、その期に念仏せざらんや。これ自力称名の人なる故に、かくは仰せられたり。若しくは、他力にても念仏すと。いわば仏智の不思議を、凡情にて抑えたるに似たり。)
※ 寝死(ねじに)- 眠っているうちに死ぬこと。
※ 先途(せんど)- 勝敗・運命などの大事な分かれ目。
※ 凡情(ぼんじょう)- 凡人の抱くようなつまらない感情。


また、先の殺害の機、怨念のほか、他あるべからざる上は、念仏するに、暇(いとま)あるべからず。終焉を期(ご)するに、先途、またこれも虚し。(このまた凡情の疑團なり。かく凡機には念仏に暇あらずと思えども、他力の信心を得たる人は、思いの外に臨終正念なり。)
※ 疑團(ぎだん)- 胸につかえている疑い。疑心のしこり。
※ 臨終正念(りんじゅうしょうねん)- 臨終に際して、一心に仏を念ずること。特に阿弥陀仏を念じて極楽往生を願うこと。


仮令(たとい)かくの如き、あの死の縁に遇わん機(人)、日頃の所存に違いせば、往生すべからずと、皆な思えり。(かの自力の称名を励んで、臨終の時、初めて蓮台にあなうら(足裏)を結ばんと期するを、日々の所存とは仰せられたり。)
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