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「五人組帳前書」

(年賀状用写真で撮ってきた「鼻崎の大スギ」)

   メタボなる 我が腹上に 住み着きし 帯状疱疹 はびこりており

二日目、医者の言う通り、痛みが烈しくなってきた。しかし、痛み止めはしばらく飲まないことにした。痛みの程を経験して置くのも悪くないと思ったからだ。薬はとりあえず5日間あるが、そこまで行けば良くも悪くも先が見えてくるのだろうが、今は五里霧中で、やせ我慢の日が続く。

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帯状疱疹は一時忘れて、古文書の話をしよう。午後、「みんくる」で「古文書に親しむ」講座へ出かけた。先月から今月にかけて「五人組帳前書」を読んだ。江戸時代、向こう三軒両隣の5軒を一組に、連帯責任を持たせる領民の統治方法が取られた。その五人組帳の前書きに五人組の規則のようなものが付いていた。おそらく役所からのお達しの文であったのだろう。以下へ書き下し文を示す。

五人組帳前書
一 前々より公儀度々出し候御法度書き趣、いよいよ以って堅く相守り御制法の儀、相背かざる様に、村中小百姓下々まで申し付くべき事
一 五人組の儀、町場は家並、在郷は最寄次第、五軒づつ組合子ども、並び下人、店貸、借地の者に至るまで、悪事仕らざる様に、組中油断無く詮議せしむべき、もし徒ら者これ有り、名主の申し付けをも用いざる候は、これを訴うべき事
一 隔年、宗門改帳三月までの内、指し出すべく候、もし御法度の宗門の者これ有らば、さっそく申し出ずべく候、切支丹宗門の儀、御高札の旨相守り、宗門帳の通り、人別入念相改むべく、宗門帳済み候うて後、召し抱え候下人など、寺請状別紙取置くべき事
一 五人組宗門帳に押し候外に、印判拵え置き申すまじく候、もし子細候うて印判替え候わば、名主、長百姓は役所まで相断わるべし、その外の百姓は名主、長百姓へ断わるべし、名を改め候わば、さっそく断り致し、五人組宗門帳へも改め候名を記すべき事
一 切支丹ころび候もの、並び類族これ有らば、別帳にこれを記し、切支丹奉行所へ差し出し置き候ことに候間、たとえ他村より縁組などにて、当村へ右の族(やから)来たり候は、さっそく注進すべき事
一 田畑並び山林など、永代売買御停止に候、もし質物に書き入れ候は、十ヶ年を限り質手形に名主、長百姓加判仕りたるべく候、田畑質に入れ、金銀借り置き、田畑をば金主に作らさせ候て、御年貢は地主より出し候儀、仕りべからず候、総じて証文あやしき文言これ有らば、出入に成り候とき、訴訟取り上げず、かつまた証人並び名主印形、取り申すべき事
 附(つけたり)、名主組頭へ加判頼み候わば、その様子承り、届けさっそく致し、加判遣わすべく候事
一 衣服道具または門、橋などは、はづし金物類、出所知らず売物、一切買い取りまじく候、右の品々質にも取らず、または預り置くべからず、出所知り候物にても請人これ無く候わば、質にも取りまじく候事
一 すべて家業を第一に相勤めるべし、百姓に似合わざる遊芸を好み、あるいは悪心を以って公事たくみをいたし、非公事をすゝめ、偽りを以って害をなすもの、または不孝の輩あらば、隠し置かず申し出るべし、何事によらず神水を呑み、誓詞を書き、申し合わせ、一味同心いたし、徒党がましき儀仕るべからざる事
一 盗賊悪党人これ有るは、訴人仕るべく、褒美取らすべし、その上あだをなさざる様に申し付くべき事
一 百姓衣類の儀、結構なるものを着るべからず、名主は妻子とも、■(注1)、紬、木綿これを着るべし、平百姓は木綿の外はこれを着るべからず、綸子、紗、綾、縮緬の類、襟、帯などにも致すまじく候、然れども平百姓にても、身体(代)よろしきものは、手代方まで断りを立て、差図を請け、■(注1)紬着るべき事
 附、男女ともに乗物に乗るべからず、惣じて屋作りなど目立ち候普請、奢りがましき義仕りまじく事

■(注1)は「指」の手偏を糸偏に変えた文字で、「きぬ」と読む。絹のくず糸で織った、安価な絹織物らしい。

五人組制度による領民管理の一端が知れて面白い。座ってパソコンに向かうのがきついので、長い時間座れないので、こんなところで終る。
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