のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

十首目:きりぎりす・・・

2008年06月22日 01時38分27秒 | 百人一首
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
  衣かたしき ひとりかも寝む

■のりぞう的解釈
 こおろぎが鳴いているのが切なく聞こえてくる。
 霜が降るほど寒いこんな晩に、鳴いているこおろぎの声を
 聴きながら、ひとりで寝ているんだよ。
 こんなに切ないことはないよ。いとしいあの人に会いたいのに。

  注:文法書などまったく調べてません。
    のりぞうはこういう意味だと思ってます。
    という解釈ですので、十中八九間違ってるところや
    浅いところがあると思います。信じ過ぎませんように。

■ひとことふたことみこと
 百人一首について、最後に書いたのは2007年4月でした。
 一年以上経つなんて。時の流れというものは早いもんだ。
 見事、復活を果たした漫画家、末次由紀さんの新連載が
 百人一首をテーマとしたもので、少し興奮しております。
 ずっと、ずっと、百人一首をしたいなぁ、と思っていたけれど
 一緒に遊んでくれる友達がいるはずもなく。
 ずっと諦めていたのです。しかし、この漫画のおかげで
 妹が「久々に百人一首したいかも・・・。」と言ってくれました!
 わーい!!夏の帰省時には必ずや百人一首で遊ぶぞー!!

 というわけでひさびさの百人一首ネタ。
 この歌はワタクシが初めて「十八番にする!」と決めた札です。
 百人一首を覚えよう!と思い立ち、一首目から覚え始めたものの
 10首を覚えた辺りで飽きてしまったのです。
 最初から覚えていくことに。地道な努力が最大の苦手分野なのです。
 えーい!!こんなもん覚えてられるかー!!
 最後じゃ、最後じゃー!!
 と、ページをぱらぱらとめくっていたら、
 「きりぎりす」が目に飛び込んできました。
 変わった歌だなぁ、と目を引き、「きりぎりす」のインパクトに
 よし、これだと札を取りやすそう!これを覚えて「十八番」に
 しよう!これは一番に取れるようになろう!そう決意したのです。

 インパクトだけで選んだ歌で、意味も何も確認しなかったので
 ずっと、冬眠できなかったキリギリスの歌だと思ってました。
 小さい頃から、イソップとかグリムだとかの童話に慣れ親しんで
 きたもので、きりぎりすと聞いたら連想されるのは
 「アリとキリギリス」でしかないわけです。
 で、衣がないだとか寒いだとか言ってるので
 てっきり冬の貧乏な生活を嘆く歌かと・・・。
 (って、意味を調べてなかったので、言葉の感じで
  そういう意味だと思い込んでいたのです。
  辞書をひくって大事だよねー。)

 随分、後になってから恋の歌だったことを知って
 びっくりしました。でも、最初の思い込みとは恐ろしいもので
 未だに私がこの歌を口ずさみながら想像するのは
 積雪の中、わらぶきの一軒家。
 その中でおちぶれて、緑の体が若干くろずんでいるきりぎりすです。

 ・・・大体、この歌の中の「きりぎりす」は今の時代では
 「きりぎりす」ですらないのに。こおろぎなのに。

 あ。末次由紀さんの新作は「ちはやふる」です。
 競技カルタの面白さが伝わってくる良作ですが、
 百人一首について、まったく知らなくても面白いと思える
 ストーリーです。ぜひぜひ!

地下鉄(メトロ)に乗って/2006年日本

2008年06月22日 01時11分18秒 | 映画鑑賞
20.地下鉄(メトロ)に乗って/2006年日本
■出演
 堤真一、大沢たかお、常盤貴子、岡本綾
■ストーリ
 衣料品の営業マンの長谷部(堤真一)は、地下鉄の駅で
 父(大沢たかお)が倒れたという伝言を聞く。彼は地下道を
 歩きながら、暴君の父と口論して家を飛び出し、帰らぬ人と
 なった兄のことを思い出していた。そのとき、彼の前を亡き兄に
 似た人影がよぎる。必死で追いかけて行くとそこは、
 オリンピック景気に沸く昭和39年の東京だった。

■感想 ☆☆
 旅行中にテレビ放映されていたため、妹と一緒に鑑賞。
 見終わった後、妹とふたりで「ひどいねぇ。」と言い合いました。
 ひどい。ひどすぎる。

 映画自体は、というよりも役者さんはどなたも素敵でした。
 主要キャスト陣が「演技派」ばかりで熱演。
 特に、主人公がいろんな年代にタイムスリップするために
 タイムスリップをするたびに、いろんな年代の父親を演じていた
 大沢さんの見事さが目立ちました。姉妹二人で映画世界に入り込み
 息をころして彼の運命を見守りました。

 じゃあ、何がひどかったかって、ストーリーの救いのなさ。
 誰も救われない。
 誰も幸せになれない。
 どこまでも救いのないストーリーで、見終わった後、ひさびさに
 ずしんと落ち込みました。ずしんと落ち込んだ後、妹と一緒に
 怒っていました。

 面白かったのよ。
 映画の世界にひきこまれたのよ。
 役者さんもみな素敵だったのよ。
 だからこそ、この展開は悲しすぎる。
 せめて、一筋でもいいから「光」がほしい。

 どの登場人物も切ないお話でした。
 横暴だった父親に反発し続けている主人公も。
 戦争を体験したせいで「横暴」と見える方法でしか
 子ども達に愛情を示せなかった父親も。
 父親の本心を分かっていたのに、
 その姿をうまく息子達に伝えられないでいた母親も。
 何より、親子二代で妻子ある人を好きになってしまった
 常盤貴子と岡本綾が切なくて、切なくて。
 岡本綾さんの透き通るような美しさは、ほのかに「影」を感じさせて、
 この役にとても似合っていました。
 守ってあげたい気持ちにさせてくれるヒロイン。
 対照的に常盤さんは、強く明るくたくましく
 自分の足で立ってのける女性を力強く演じていて
 家族の前で虚勢をはっていた大沢さん演じる父親が
 彼女を必要としてしまうのも
 彼女の前でだけは弱音を吐き出せるのにも
 心から納得できました。

 なのに。この残念な気持ち。
 たしか原作も読んでるはずなんだよね。
 原作はどんな終わり方だったっけ。と思いながら
 感想を読み返したところ、原作の終わり方にも
 納得していなかったみたい。
 なるほど。こういうお話なのね。