goo blog サービス終了のお知らせ 

のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

少年ラジオ/2006年クリスマス公演(Gキャスト)

2006年11月04日 21時58分30秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 震災で親をなくした浮浪児ラジオは、スリをしながら
 その日暮らしを続けている。ある日、ひょんなことから
 財閥のお嬢様、美汐さんと知り合ったラジオは
 彼女が巻き込まれた数奇な運命から、そして彼女が
 味わっている孤独から、彼女を救い出す決意をする。

■感想 ☆☆☆☆☆
 待ちに待っていたキャラメルボックスクリスマス公演です。
 今年は福岡強化年間ということで、2回目の舞台。
 色々と忙しく日々を過ごしていたので、
 せっかくの2回目の公演に行けないのではないかと
 やきもきしていましたが、執念で観劇いたしました。

 ぽこりん、いつも付き合ってくれてありがとう☆

 クリスマスという季節柄、でしょうか。
 キャラメルらしいどたばたは盛り込みつつも
 しっとりとした優しい作品に仕上がっていました。
 人が人を思う気持ちの優しさ、強さが
 じんじんとしみわたってくる作品です。

 キャラメルの作品はどれも「性善説」に基づいています。
 人間に対して希望を抱いているのです。
 世の中、哀しいニュースで溢れ返っている。
 信じられないようなひどい事件を起こす人もいる。
 それでも、人間の持つ優しさを信じている。
 人間の持つ優しさが一番強いこと、その優しさが
 周囲の人を巻き込み、世界を変えることを確信している。
 それがキャラメルボックスの舞台です。

 そういう優しさと強さが
 私の心の中にたっぷりと注入された作品でした。

 そして、兄弟の絆、肉親の絆のあったかさ
 兄弟として生まれたことの意味を問いかけられた
 作品でもありました。
 生まれたときから一緒に過ごし、一緒に笑い
 一緒に泣き、一緒に怒ることのできる存在。
 無条件で友達になれる存在。
 何も理由がなくても一緒に過ごすのを許される存在。
 そんな神様からのギフト。
 それが家族や兄弟の絆なんだな、
 いるだけで素敵な存在なんだな、と素直に思えました。

 見終わった後、あったかい気持ちになること
 間違いなしの作品です。これからキャラメルは神戸、
 そして東京に移動し、クリスマスまで公演を続けます。
 お近くの方はぜひ!
 優しい気持ちを味わいに行かれてください。

 さて、今回はなんとっ!1列目でしたっ!一番前っ!
 みんなが近い、近い。役者さんの細かい演技も
 じっくりと見ることができました。至福の2時間。
 こんな表情をしてたのね、こんなに細かく演技してたのね
 と幸せをかみしめながら見てました。
 生の演技をこんなにも近くで見ることができるとはっ。
 すごいっ。すごいっ!今年はついてますっ。

 衣装も細かいところまではっきり見えます。
 今回は大正時代が舞台とあって、みんなの衣装もクラシカル。
 品があって、とってもかわいいのです。
 特にヒロイン、美汐さんのワンピースと帽子の組み合わせは
 とってもキュート。岡内さんにとってもお似合いでした。
 そして、スリ仲間、夏ちゃんの袴姿もキュート。
 今までどちらかというとボーイッシュな役が多かった
 實川貴美子さんが長い髪で女の子らしさ全開!です。
 そのあまりの別嬪さんぶりに、彼女が舞台に出るたびに
 彼女中心で舞台を見てしまいました。
 また、かわいいのにふてぶてしい表情が似合うのです。
 素敵☆

 本日はグリーンキャストの面々の登場。
 新人、小林千恵さんは今回もちびっ子でした。
 やはり似合います。ちびっこにぴったり。
 昨年新人の小多田さんはすっかりキャラメルの人でした。
 あくの強い顔をしてるので、
 どんな役もこなせそう。次も楽しみです。
 そして、今回の発見はアナウンサー役の多田直人さん!!
 いやー、今まで見逃してました。
 かっこいいです。かわいいです。
 また注目したい人が増えて、幸せが増えました。

ミスター・ムーンライト/2001年夏公演

2006年09月01日 20時58分02秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 図書館で司書をしている鹿島(上川隆也)は作家志望。
 徹夜で小説を執筆したのが原因で朝から体調がすぐれず
 早退するが、眠りについた鹿島は知らぬ間に大学時代の友人
 結城(大内厚雄)宅に上がり込む。なぜか、言葉も女性らしく
 なっている。驚く結城の妻・都(岡田さつき)に、自分は
 半年前に交通事故で亡くなった結城の妹・かすみ(前田綾)だと
 告げる。結城は事故当時、車を運転していた古河(佐藤仁志)に
 復讐しようとしていた。それを止めるために、かすみの霊は
 鹿島の身体を借りたのだ。満月の夜、鹿島はかすみの想いを
 抱いて走りだした。

■感想 ☆☆☆☆☆
 ・・・すみません。最近、昼の生活を投げ出して
 キャラメルボックスDVDの世界にはまりつつあります。
 一度、はまるとなかなか抜け出せない性分なんです。
 好きな食べ物は朝・昼・おやつ・晩とひたすら食べ続ける性分です。

 というわけで、昨晩はミスター・ムーンライト。
 最初の最初にキャラメルボックスにはまった一番の理由
 上川さん主演の舞台です。この舞台での上川さんも
 テレビとはまったく異なる方向にはじけてます。
 舞台をはしりまわり、捨て身でマイケル・ジャクソンの
 物まねをし、女性へのなりきりぶりも見事。
 とにかく楽しそう。

 しかし、「楽しそう」「面白い」「笑った」という感想では
 終わらないのがキャラメルボックスの舞台。
 クライマックスは怒涛のように私たちに訴えかけ
 「生きること」「死者を弔うこと」「死んだ人を思うこと」
 について、考えさせてくれます。上川さんも前半とは
 まったく異なるテンションでシリアスに、そして熱く
 私たちに語りかけてくれます。

 妹の死を受けれられず、忘れられない結城。

 「俺はかすみ(妹)を守りたかっただけなんだ」

  彼女の死を納得できない結城は、
 なぜ、妹を守れなかったんだと自分責め、自分を責めるあまり
 死んだ妹のために何かしてあげたいと彼女の死の原因となった
 妹の同級生を憎む結城。
 その彼の気持ちが大内さんの熱演もあって、
 痛いほど伝わってきます。
 そして、だからこそ、鹿島の訴えも
 鹿島に乗り移ったかすみの訴えも。

 「死んだ人は生き返らないんだ!」
  大切な人の分まで生きていくことが大事なんだ!」
 「私はお兄ちゃんの妹として生きて幸せだったの。」
  だから、お兄ちゃんはお兄ちゃんの人生を生きて。」

 とにかく涙なしには見られません。 

 そして、上川さんの演技力、表現力のすごさに
 圧倒される舞台もあります。
 キャラメルボックスでは役者さんがマイクを使いません。
 だから、一番後ろの観客席にも聞えるように
 人によってはどうしても、どなるような発声になってしまいます。
 上川さんは観客席の後ろまでちゃんと聞えているにも関わらず
 「ささやき声」なのです。「話し声」なのです。
 表情だけで今、女性を演じているのか、男性を演じているのか
 そこまで分かるのです。とにかくすごい。

 もっと早くにキャラメルボックスを知りたかった。
 そして、キャラメルで演じている上川さんを
 もっともっと見たかったなー、といつも思います。 

ブラック・フラッグ・ブルース/2004年夏公演

2006年08月30日 23時29分59秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 人類が火星まで居住地を広げた時代。
 最先端の科学が瀕死の重傷を負った女性を助けた。
 彼女の名はマリナ(岡田さつき)。しかし、彼女は
 もう元の彼女ではない。宇宙船に体ごと組み込まれ、
 コンピュータを凌ぐ処理能力を与えられて生まれ変わったのだ。
 その日はマリナの所属する会社の入社試験の最終審査。
 マリナの宇宙船にも、3人の受験生が乗り込んできた。
 その中には、マリナの娘・砂記(岡内美喜子)の姿もあった。
 娘との再会を喜ぶマリナ。しかし、宇宙船は、正体不明の
 海賊(前田綾、畑中智行)に乗っ取られてしまう。

■感想 ☆☆☆☆
 見返しすぎ、と自分でも思いながら、キャラメル作品を
 見続けています。
 この作品は生まれて初めて生で見たキャラメル作品。
 テレビで見るのと、舞台で見るのとではやはり全く違う
 と心から思いました。前説もカーテンコールも思う存分
 楽しめて大満足の作品です。
 というわけで、DVDが発売されたとき、喜びいさんで買いました。
 この作品、ダブルキャストで上演されていて
 私は岡田さんがヒロインを演じるマーズキャストを見ました。
 DVD購入は小川さん(一昨年退団。残念すぎるっ!)ヒロインの
 ヴィーナスキャストを購入しようかとも思いましたが
 結局はおっかーさんの船長目当てに同じものを購入。
 いずれ、ヴィーナスキャストも手に入れるつもりですけどね。

 こちらも何度見ても楽しめます。
 感動モノ、というよりは明るく楽しく元気よく!
 夏だし、はじけて楽しもうぜ!という感じの舞台です。
 みんなが舞台上をこれでもかっというぐらい走り回ります。
 迫力満点の舞台。

 しかし、根底にあるのは親子の愛情だったり
 仲間との友情だったり、夫婦の情愛だったりします。
 そして、大好きな人との絆。

 ドタバタした展開に続くおっかーさん演じる船長の
 愛の告白シーンは、キャラメルの中でも最も好きな場面です。
 てれやで、意地っ張りの船長がやっとの思いで言葉にする
 気持ちは、やはり素直ではなくって、
 だからこそ信頼できてあったかい。
 そんな告白をする船長をおっかーさんが見事に演じています。 

 何度も見ているのに、またもやにやにやしながら
 食い入るように見ちゃいました。
 岡田さつきさんの美しさにもほれぼれしちゃいます。

サンタクロースが歌ってくれた/97年クリスマス公演

2006年08月29日 21時48分47秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 宝石「ラインの雫」は載く!
 怪盗黒トカゲの挑戦状を迎え撃つのは、若き日の
 芥川龍之介と江戸川乱歩。異色の大正ロマン推理活劇。
 ・・・になるはずだった映画。
 ところが、大失敗作となってしまい、映画館はがらがら。
 イブの夜、たったひとりしか観客がいない映画館で
 なんと犯人は隙をついて、映画の中から現代に逃げ出してしまった!
 犯人を追って、登場人物たちも現代の東京に飛び出してくる。

■感想 ☆☆☆☆☆
 キャラメルと初めて出あったのはこの作品だった。
 深夜、NHKを見ていると始まった舞台。
 そこにいつもとまったく違う上川さんがいた。
 ハイテンションでエネルギッシュに舞台の上をかけまわり
 高速突込みを繰り返す上川さん。いつもの演技との違いに
 唖然とし、キャラメルの舞台の世界にひっぱりこまれた。
 そのときの舞台で、上川氏に負けないくらいハイテンションで
 ぼけ倒し、つっこまれていたのが西川さんと近江谷さんの
 二人だった。この三人の絶妙の間の会話で舞台に笑いが起きた。

 そして、クライマックス。
 今まで笑わせ続けられた舞台上で、一転して繰り広げられる
 シリアスな表情の上川さんの演技。彼の渾身の演技に
 舞台にも関わらず、彼のほほを流れる涙に胸を打たれた。

 偶然、録っていたこの舞台のビデオは今も繰り返し、見る。
 何度も同じところで笑い、何度も同じところで考えさせられ
 そして、何度も同じところで涙する。
 クリスマスに起こる奇跡。
 映画の中の世界と現実世界を結ぶありえない一本の糸がつながる瞬間。
 現代の女性たちと過去の芥川さんが交流を持つ瞬間。
 キャラメルボックスがこだわり続けるファンタジー。
 そして、キャラメルボックスが表現し続ける友情と人間同士の愛情。
 それらがたくさん詰まった作品。
 そしてこの作品を見て以来、キャラメルボックスに
 はまった私にとっては今も忘れられない特別な作品だ。
 NHKさん、ありがとう。と今も思ってます。

スキップ/2004年冬公演

2006年08月29日 21時39分55秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 高校2年の一ノ瀬真理子(岡内美喜子)は、雨で運動会が
 中止になった日、自宅でレコードを聴きながら、
 ついうたた寝をしてしまう。
 目が覚めてみると、そこは知らない家。鏡に映った顔は、
 すっかり中年女性の顔。彼女は、42歳の高校教師
 「桜木真理子」(坂口理恵)になっていた。
 うたた寝の間に、25年という時を、「スキップ」して
 しまったのだ。初めて対面する夫と娘。近づいてくる新学期。
 真理子は自分の置かれた状況にとまどいながらも、
 42歳の女性としていきていく決心をする。

■感想 ☆☆☆☆☆
 大好きな北村薫さんの中でも最も好きな作品「スキップ」を
 キャラメルボックスが舞台化すると聞いたとき、
 神戸まで見に行こうか、真剣に悩んだ。結局、日程があわずに
 諦めたけれど日程さえあっていれば、絶対に見に行った。
 それぐらいわくわくした。

 しかし、DVDが発売されたときはほんの少し、
 購入をためらった。もしかして好きな作品なだけに
 がっかりするかもしれない。
 どんなにキャラメルボックスがすきでも、舞台と小説は
 まったく手法が異なる。2時間ですべてを収めようとするのには
 無理があるのかもしれない。
 キャラメルボックスでがっかりしたくない。

 そんな不安はまったくの杞憂だった。
 読む度に泣いてしまう小説は、何度見ても泣ける舞台になっていた。
 原作を大切にしていることが分かる舞台だった。

 昼寝から起きると、42歳になっていた17歳の真理子。
 戸惑いながらも現実から逃げずに正面から立ち向かう真理子。
 娘と向き合い、夫と歩み寄り、そして生徒たちに真摯に訴え
 かける。毅然としていようと、自分を奮い立たせながらも
 突然自分に重ねられた年齢に、女性として傷つき、
 親の死など容赦ない環境の変化に人として涙する。
 それでも真理子は逃げない。
 「嫌だからやってやろう」
 そう自分にはっぱをかけ、前に進む。
 必死に「今」を見つめる真理子と接し、徐々に変化していく
 真理子の家族と生徒たち。

 現実に存在している42歳の真理子と、真理子の身体の中に
 ワープしてきた17歳の真理子を坂口さんと岡内さんという
 ふたりの女優に演じさせて、表現させる手法が彼女の
 内面の葛藤を分かり易くしていて、彼女の切ない思いが
 ダイレクトに伝わってきた。
 また、真理子が高校の先生なので、登場人物が実に多い。
 生徒たちの役を一人で何人分も演じさせる。
 それなのに観客を混乱させることなく、話は進められていく。
 また、真理子の戸惑いや悲しみや
 現代への好奇心や興味など独白部分も複数の役者によって、
 交互に語られていく。
 朗読劇に近いスタイルなのは、きっと成井さんが原作者
 北村さんの言葉の使い方を大切にしたいと思ったからだろう。
 
 最後は17歳の真理子と42歳の真理子が舞台の中央に立ち
 しっかりと前を見つめて明日への決意を交互に、
 そして一緒に述べる場面で幕を閉じる。
 「昨日と言う日があったらしい」
 「明日という日があるらしい」
 「だが、私には今がある」

 北村薫さんの中でも最も北村さんらしい優しさが詰まった
 小説をここまでキャラメルらしさ全開の前向きな舞台に
 仕上げたキャラメルボックスの皆さんに感動。
 本当に何度見ても泣けます。

だけど、ほらごらん(劇団太陽族)

2006年07月25日 23時01分15秒 | 舞台(キャラメルボックス)
尊敬する先輩であるrainbowさんに
無料で舞台をみませんか?というご案内をいただき
喜んでご一緒させていただきました。

お誘いいただいたのは劇団太陽族の舞台。
名前は聞いたことがあるものの
劇団の詳細はまったく知らないままの鑑賞です。

オウム真理教事件、神戸児童連続殺害事件など、社会で起こる
事件や現象をモチーフに取りながら、人と人との関係性に
重点をおいた普遍性のあるドラマ作りに定評がある劇団。
・・・らしいです。

今回の舞台のキーワードは
 「指定管理者制度」
 「介護」
 「人の営み」
 「どう生きるか」

指定管理者制度とは、2003年に改正された地方自治法で
民間の事業者が公の施設を管理運営できるようになった
というもの。・・・らしいです。

今回の舞台でいただいたご挨拶に書いてあった
以下のような文章が印象的でした。

-------------------------------------------------------
この制度によって、施設そのものの運営がよくなれば
問題はないのですが、事業の継続性が断ち切られ、
多くの現場は混乱の中で右往左往しているのが現状のようです。
福祉もまた、この制度の枠外ではありません。
おまけに介護保険の見直しもあって、介護福祉に携わる
ケアマネージャやヘルパーたちは悲鳴を上げています。

  中略

以上、蛇足ながら新作を作るきっかけや想いなどを
記してみました。しかし、演劇は芸術であり娯楽なんです。
-----------------------------------------------------

まさしくこの挨拶に書かれていることを
ずんと突きつけられ、深く深く考えさせられた舞台でした。

舞台はあるデイケアセンター。
そこの職員を中心に、指定管理者制度によって
このデイケアセンターに移動になった職員二名と
デイケアセンターにショートステイ中のノブさん
掃除スタッフとして施設から働きに来ている
知的障害者の野間さんが遭遇した
「七夕まつり」の不思議な奇跡を描いています。

起こった奇跡はファンタジー色が強く
「ありえないこと」ではありますが、それを取り巻く環境は重く
とてつもなく現実的で、そのあまりの重さに
ファンタジーも力技で納得させられてしまいます。

見終わった後、一緒に見たrainbowさんと交わした会話は

「こんな伝え方があるんだよね。」

というものでした。
メッセージ性が強い舞台です。
そして、私たちが知っておかねばならない問題を
中心に据えた舞台です。

劇中、ノブさんがみんなに訴えます。

「50年後の自分なんて想像したことないだろ?
 見えないふりをしてるだろ?」

まさしく私は普段考えたことのない問題でした。
そのことに対して考えるきっかけを与える
「舞台」というツールの使い方に感動した夕方でした。

劇団員の合唱
「こんな時代に誰がした」という歌詞の重みに
涙腺を刺激され、そして、野間さんがラストに訴えた言葉

「ノブさん、世界は夜です。
 朝だけど、夜ですっ。」

に対するノブさんの返答にまた目頭が熱くなりました。
私たちひとりひとりがこういった問題をきちんと捉え、
考えていかなければならないのだ、という訴えを
投げかけるだけではなく、こんな時代でも希望を失わずに
生きていこうという願い、生きていくのだという想いが
伝わってくる舞台でした。

「だけど、ほらごらん。
 空には星が光ってる・・・。」

また福岡に来たら、ぜひ見に行きたい。
そう思わせてくれる舞台に感謝。
そして出逢わせてくださったrainbowさんにも感謝です。

ミス・ダンデライオン /2006年春公演

2006年04月02日 23時30分28秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 2010年8月、鈴谷樹里(すずたにじゅり:岡田さつき)は
 19年前に飛ぶ。19年前に病気で亡くなった
 ヒー兄ちゃん(青木洋:岡田達也)を救うために。
 彼の病気を治す特効薬を持って。

■感想 ☆☆☆☆☆☆
 二本立てのハーフタイムシアター。
 岡田達也さんが出演しているから、という理由だけではなく
 純粋にこちらの作品のほうが私の好みだった。
 舞台ならではの伏線の練られ方も話の筋もこちらが断然好み。

 とはいえ、やはり
 「岡田達也ファンにはたまらない作品」(by岡田さつきさん)
 であるのは確か。DVD化を切望。

 ネタバレはお許しください。
 私は「待つ男性」「誰かを一途に思い続ける男性」に弱い。
 だからかもしれない。
 未来へ戻っていった樹里を7年間、待ち続けた
 ヒー兄ちゃんにしびれた。

 もっとも樹里がひとりで過ごした時間よりはるかに短い。
 そのうえ、ヒー兄ちゃんには
 「待っていれば必ず樹里に再会できる」
 という希望がある。それでも7年という月日は長い。
 待ち続けている間に思い返せる
 「ヒー兄ちゃんが好きになった」樹里との思い出は
 たったの三日間分。それっぽっち。

 一方、樹里が過ごした19年間は
 「待とうと思って待った19年」ではなく
 「忘れようと思っても忘れられなかった19年」。
 死んだと思っていたヒー兄ちゃんを
 忘れられずに過ごした19年であり、彼との思い出もたくさんあるのだ。

 そう思うとどちらの「ひとりで過ごした時間」も切ない。
 そして、どちらの「ひとりで過ごした時間」にも
 相手への熱い想いが詰まっていると確信できる。

 ラスト、爽やかに現れるヒー兄ちゃんの姿を見て心から幸せを感じた。
 たった二日で恋に落ち、その二日間の思いを大切にし続けた
 ヒー兄ちゃんの一途さに胸が締め付けられた。
 19年間も彼を思い続けた樹里の一途な想いにも
 胸を締め付けられた。

 やはり「ご都合主義」の展開かもしれない。
 特にヒー兄ちゃんを待ち受けるラストは強引。
 それでも、私はこういうのが「運命」なのだと思う。
 「運命」は少々の「強引」を伴うのだ。

 こちらは前田綾さんのはじけっぷりがピカイチでした。
 彼女のコメディエンヌぶりは見事。
 そして11歳の少女役を見事に演じた29歳の新人さん
 小林千恵さん。今後、どんな役を演じていくのか
 少女以外の役をどんなふうに演じるのか興味津々です。

 なんてね。
 そんなこと考えつつ、私の中ではキャラメルで
 カップルを演じさせたらもっともお似合いのお二人
 W岡田さんの演技に気持ちは集中しっぱなしでしたけどね。
 特に岡田さつきさんの熱演が光った号泣シーンは印象的でした。

あした あなた あいたい /2006年春公演

2006年04月02日 23時04分42秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 2007年12月、布川輝良(ぬのかわあきら:大内厚夫)は
 5年前へ飛ぶ。5年前に取り壊された朝日楼旅館を
 その目で見るために。
 そこで彼は枢月圭(すうげつけい:温井摩耶)に出会った。

■感想 ☆☆☆☆☆
 今回のキャラメルボックスは珍しく恋愛に真正面から
 取り組んだ作品二本。
 びっくりするほど純粋で
 恥かしくなるほどまっすぐな「愛」を描いている。

 クロノス・ジョウンターというタイムマシンの実験のため
 過去にとんだ布川が過去で過ごせる時間は三日。
 その三日間で以前から好きだった建築家の現存する
 最後の建築物を写真に残そうとする布川。
 彼は生真面目な性格で、友人や自分の生活や趣味、
 すべてを犠牲にして亡くなった母親の看病をしていた。

 そんな彼が出逢ってすぐに恋に落ちる圭。
 生真面目で無愛想な彼が出逢ってすぐに
 ものすごく自然に彼女を「圭ちゃん」と呼び始める。
 彼女の好意に甘える。心なしか無愛想な部分が
 どんどんなくなっていく。感情表現が豊かになっていく。

 「好き」だと自覚はしていない。
 自覚する気もない。
 ずっと一緒にいれるわけがない人への思い。

 けれどもふとした言葉や行動は正直で
 人の思いはふたをしていても、蓋をしようと努力をしても
 所詮、無駄なんだなと思った。

 思いは自然に伝わる。
 両想いだとなおさら。
 彼女も彼の言葉や行動に敏感だから。

 「時間がない」ことが彼女たちの思いを
 強くしたかもしれない。
 「時間がない」から、より一層、好きだという気持ちに
 拍車がかかったかもしれない。

 けれども、彼の生真面目な性格が彼の思いに説得力を与える。
 彼女にのみ「与えられた時間」も彼女の行動に説得力を与える。

 だからどんなにご都合主義だといわれようとも
 このどこまでもハッピーな結末を
 あたたかく祝福できる。笑顔で迎えられる。
 やはり恋愛モノは幸福な結末がいい。

 こちらの作品には前作「クロノス」のヒロイン来美子さんも
 登場して、話をきちんと収束に持っていく。
 彼女が生きていること、彼女の蛙のブローチが
 彼女の胸に輝いていることにちょっぴり胸が熱くなった。

 前回の「クロノス」では硬派なボクサーを演じていた
 畑中君のびっくりするほどコミカルな演技にびっくり。
 パンフを見るまで同一人物だと気づきませんでした。
 すごいなぁ。注目したいと思う役者さんがどんどん増えていく。
 それが嬉しいのです。

大興奮☆Part2

2006年04月02日 22時16分01秒 | 舞台(キャラメルボックス)
待ちに待ったキャラメルボックスの舞台に
行ってまいりました。
もう本当に幸せ幸せな3時間半。
心行くまで楽しみました。

ちなみに夜ちゃんに会ってすぐ懺悔しましたが
昨日は待ちきれずにひとりで初日を堪能してしまいました。
にっこり笑って
 「やっぱりね。そうじゃないかなと思ったんだよね。」
と許してくれた夜ちゃん。いつもながら寛大です。
ていうか、のりぞうの行動なんてお見通しのよう。

初日も見に行くことを決めた途端
緊張して胸がいっぱいになり、
昨日は普段の二分の一ぐらいの食欲に。
まぁ、つまり普通の人並みの食欲になっただけですが。

それぐらい興奮して
とにかく!幸せ!幸せ!な二日間を味わいました。
しかも嬉しいことに、次の福岡公演も決定した模様。
11月2日~5日、場所は天神西鉄ホールだそうです!

きゃっほう!




・・・・興奮しすぎですね。少し反省。
でもね。こんなに興奮するぐらい素敵な舞台でした。
文句なしのハッピーエンド二本立てに
あったかい気持ちをたくさんもらいました。
気持ちを落ち着けてじっくり思い返そうっと。
これからは牛並に舞台の感激を反芻して楽しみます。

クロノス / 2005年クリスマス公演

2006年03月29日 23時23分56秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリ
 過去に向かって、物質を射出する機械、クロノス・ジョウンター。
 吹原和彦(菅野良一)は研究員として、この機械の開発に
 携わっていた。ある日、研究所の近くで、タンクローリーが横転し、
 火災事件が発生。死亡者の中には、吹原が思いを寄せていた
 来美子(岡内美喜子)の名前があった!「事件が起きる直前に行って
 彼女を助けよう!」吹原はクロノス・ジョウンターに飛び乗り、
 自分自身を過去へと射出した!

■感想 ☆☆☆☆
 胸が痛くなるようなラブストーリー。
 自分自身を(自分の人生を)犠牲にしてまで
 彼女を助けたい、生きていて欲しいと願う吹原の気持ちが
 熱くて痛くて苦しくて切なくて、でもやっぱり苦い。

 来美子を助けるためにタイムマシンで過去へ戻る吹原。
 けれども時間流は、もしくは時をつかさどる神は
 簡単に人の運命を変えることを許さず、何度も吹原を
 別の時代に跳ね返す。跳ね返され、戻ってくるたびに
 行く前よりはるか先の未来に戻る吹原。

 一回目の時間飛行から戻ってきたのが7ヵ月後。
 二回目の時間飛行から戻ってくるのは2年後。
 三回目に戻ってくるのは56年後。

 何度も何度も失敗する吹原。
 それでもあきらめようとしない吹原。
 彼女に生きていて欲しい。という思いと
 彼女にただ一目会いたい、という思いに
 自分の人生の全てをゆだねる彼はただただひたすら走り続ける。
 彼女に向かって。

 全身全霊をかけて、という言葉がここまでぴったり来る
 主人公はいないと思う。
 いや、舞台という表現方法が更に「全身全霊をかけた思い」の
 表現に力を貸したのだと思う。
 汗だくになって、ひたすら彼女のもとに向かう吹原の姿も
 叫ぶように彼女を呼び続ける吹原の声も
 すべて「舞台」だからこそ、の真の迫り方なんだと思う。

 ただ、願わくば、思うだけで幸せだと笑う吹原に
 来美子の思いが伝わったところまでを描いて欲しかった。
 吹原と来美子が向かい合って笑顔を交し合う姿も見たかった。
 思うだけで幸せかもしれないけれど
 思いを確かめ合えることはその数倍、数十倍幸せだと思うから。
 その数十倍の幸せを味わったに違いない吹原にも会いたかった。

 たくさんたくさん感動した。
 けれど、決してハッピーエンドではない。
 来美子の気持ちやその後を考えると苦い苦い終わり方だと思う。
 それでも、見終わった後に残っている気持ちは暖かい。