趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『怒り 上・下』 吉田修一

2014年03月10日 | 
先週珍しく風邪をひいてしまい、静かに過ごしていました。
花粉症なんだか、鼻かぜなんだかよく分かりませんが、
右手にティッシュの箱を抱えて、片方にごみ袋を提げて部屋をウロウロしていました。

せっかくゆっくり読書、と思っていたのに、
読んだ本が、ハードで・・・・・。

吉田修一さんの新刊、『怒り』上下巻読みました~


八王子で起きたある惨殺事件の犯人・山神一也は、逃亡を続ける。
顔を整形して逃げ続ける様子は、現実に起きた事件を想起します。
その山神を追う刑事と、
国内の全く別の三か所に、ふらりと登場する3人の若い男と関わることになった、
三つの家族や人間たちの物語なのです。

3人の男の、直人、田代、田中は、実に訳ありで、怪しい感じが付きまとうのです。
こんな風に前歴不詳の人が目の前に現れたら?なんて思いながら読んでいました。

犯罪にかかわっていなくても、人には話したくない過去やトラブルから
逃げてくるというのも、十分に考えられることですよね。
そうして口を閉ざす人や、経歴を詐称する人をどこまで受け入れることができるのか。

目の前の相手をどこまで信じることができるかのか、
様々なトラブルや不幸が、疑うに足る理由をいくつも作り出してくれる・・・。
信じる、ということの切なさがこみ上げてくる物語でした。

気持ちを揺さぶられて、一気に読んでしまいました。
おすすめしま~す。。




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