趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『ソロモンの偽証 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ巻』 宮部みゆき

2016年02月26日 | 
この本を読むきっかけとなったのは、映画の方なのです。

昨年ヴェネチア旅行の飛行機の中で、映画「ソロモンの偽証 前編」を見たのです。
あいにく後編は上映の中に無かったので、とても続きが気になったのです。

映画の後編もとっくに公開も終了していたので、
DVDのレンタルでもしようかなと思っていたのです。

そしたら、図書館の書棚に並ぶ宮部みゆきさんの原作を見かけたのです。
早速、借りてきました。


宮部みゆきさんの本は、本当に久しぶりで手に取りました。
デビューされた頃、盛んに読んでいたのですが、
最近はご無沙汰で、この映画を見なければ手に取ることは無かったと思います。

ただ、この本、一冊が厚いのです。
こんなに読めるかな~なんてちょっと心配していましたが、
そんな心配無用でした。

登場人物が多いので、名前を覚えるのに難儀しましたが、
多い分それらの人物の物語があるのだと思いました。

そしてその登場人物たちが交互に語る方法で、物語は進んでいきます。

物語の中心になっていくのが中学生なのだと、何度も思い返していました。
自分自身の中学生の頃を、懸命に思い出しながら。

長い物語、結末を何となく予感していましたが、
緻密に練り上げられたストーリーに感服しました。
長さをモノともせず、駆け抜けるように読ませる力はすごいなぁと思いました。

宮部みゆきさん、さすがです!
面白かったです。。


映画「あん」

2016年02月23日 | 
映画「あん」は、昨年見たものです。
すぐに記事にしないと、いつ行ったのかも忘れてしまいました。

でも、この映画は見たくて見たくてあちこち探していたことを覚えています。
そして地元の映画館で上映が決まった時はうれしくて・・・。

なので是非とも書き留めておきたいと思っていました。



河瀬直美監督、主演の老女に樹木希林。
どら焼き屋の店長に永瀬正敏、店に通う中学生に内田伽羅。
それぞれの事情を抱えながら織りなす人間模様を描いています。

映画はとても静かで、少しずつ少しずつ物語に入っていく感じがしました。
どの人も口数は多くないし、見ていると何となくそれぞれの事情が分かってくるのです。

分かってくると、だんだんだんだん広がる不安な気持ち。
美しく、何度も登場する満開の桜が、暖かさと深い悲しみをたたえているようでした。



原作はドリアン助川作の同名小説です。
映画化するなら希林さんがいいのではと、本を送られたそうです。

物語には大きなテーマがあるのですが、静謐な描き方がとても心に残っています。

希林さんはもちろんの事、永瀬正敏さんもとても良かったです。
中学生役の内田伽羅さんは、希林さんのお孫さん、つまりもっくんの娘さんだそうです!
パパそっくり~♪

映画「ブリッジ・オブ・スパイ」

2016年02月12日 | 映画
今年最初の映画は、スティーブン・スピルバーグ監督、
ジョエル&イーサン・コーエン兄弟脚本の「ブリッジ・オブ・スパイ」です。

昨年からなかなか映画館に行けなくて、やきもきしていました。

公開したばかりの頃は見たい!!と盛り上がっていても、
月日が経つうちにだんだんと気持ちが冷めてきて、
ああ、もうDVDでもいいかなぁ・・・なんて。

この映画も公開終了が近かったので、あきらめかけていたのですが、
昨日祝日で時間ができたので、思い切って行って来ました!

映画は、アメリカとソ連(現ロシア)の冷戦時代、
前代未聞の米ソ囚人交換に挑んだ弁護士の実話なのです。

主人公の弁護士ジェームズ・ドノバンを演じるのは、トム・ハンクス。


マーク・ライランス扮するソ連のスパイ、ルドルフ・アベルを
ドノバンが弁護を引き受ける所から物語は始まるのです。


この二人が、とてもいいのです。
私はマーク・ライランスという俳優さんは知りませんでしたが、
とてもとても印象に深く残りました。

冷戦の象徴のような‘ベルリンの壁’建設中の様子が見られるのですが、
どちらかと云うと、壁崩壊の方が印象に強くて、
建設中のこんな暗い時代がほんの少し前のことなのだと
愕然としてしまいます。



まるで戦争中のような錯覚を起こしてしまう映像ですが、
本当にこの暗い時代ー現代なのですがーをよく表していると思いました。

今現在だって世界のあちこちで紛争が起きていて、
自分たちの身近にないだけの‘壁’や理不尽さに満ちているのだと
少し考えれば分かることなのに・・・。。


『我が家のヒミツ』 奥田英朗

2016年02月09日 | 
この本も昨年読んだものです。

奥田英朗さんの本は久しぶりで、わくわくしながら読んだことを覚えています。



題名からも、装丁からも、奥田ファンならすぐにわかる‘家’シリーズですよね。
そして、その期待を裏切らないほんわかあったかい6篇の短編集です。

奥田さんは、日常生活のちょっとした出来事やエピソードから
お話をつぐむのがとても旨いと思います。

なので、長編小説のピリッとした感じも好きですが、
やはり短編集こそその魅力が爆発する気がするのです。

実は、久しぶりに手に取った奥田さんの本はこれが先ではありませんでした。

『ナオミとカナコ』という長編小説の方だったのです。
現在この本を原作にしたテレビドラマが放送中ですよね。
見ていませんが・・・。

意外なことに、予想に反してこの本があまり好きになれなかったのです。
それはホントに予想外で、自分でもちょっとビックリでした。
今までそんな風には思ったことがなかったので。

なんだかもやもやして、この『我が家のヒミツ』を手に取ったことを覚えています。
私にとっては、こちらの方が好きかな。。

『永い言い訳』 西川美和

2016年02月01日 | 
この本も昨年秋に読んだものです。

西川美和さんは映画監督としての知名度の方が上ですが、
小説もお書きになっていて、
出版されるととても気になる存在です。



表題、作者名の文字はご本人のものです。
細く、そのとがった感じがこの本をよく表しているかもしれません。

読んでいて一番強く思ったことは、やはり映像が浮かんでくる表現だなと。
もっと文章に惹かれているのかと思っていたのですが、
それは違っていました。

突然目の前から家族が亡くなるという状況・・・、
人がこんなにも翻弄されてしまう姿を、主人公とたどる物語でした。

映画が作られているそうで、そちらは配役がとても気になりました。
ふ~んなるほどなぁ・・・。

公開がとても楽しみです。。