趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

東北旅行記 7

2014年08月29日 | 旅行記
気仙沼港に降り立ったとき、活気のある所だなという印象があります。
津波と火災で大変だったというお話でしたが、復興していく地元のエネルギーが感じられました。

港近くに、復興屋台村や、おさかな市場などなど、建物が建っているからかもしれません。
俳優の渡辺謙さんが建てられたという、‘K-port’というカフェもありました。

おさかな市場や気仙沼復興商店街の南町紫市場にも寄り、
お土産たくさん買ってきました。

びゅうバスの旅程はこれでおしまいで、あとは終点一ノ関駅へ。

ホテルにチェックインして、夕食を食べに街に出ました。
あらかじめ下調べをしておいたお店を訪ねてみました。

蔵元レストラン せきのいち です。

造り酒屋さんが経営する、郷土料理が中心のレストランなのです。

郷土料理とお酒、なんて旅行者にはぴったりですよね。
一ノ関駅からちょっと歩きますが、老若男女のお客さんでにぎわっていました。



一ノ関の郷土料理ハレの日は「もち」だそうで、もちの種類もたくさんありました。
おもちに色々なものをからめたり、まぶしたりして食べるようです。
おもちが美味しいのです。


一ノ関の郷土料理、日常食は「はっと」料理だそうです。
「はっと」とは、小麦粉を練ってゆでたものです。
すいとんを連想しますが、もう少し平べったい感じに伸ばして鍋に入れていました。


お腹もいっぱいになり、ほろ酔い気分でホテルに帰りました。
ああ、一ノ関は岩手県なのですね~

次は、最終日です。。

東北旅行記 6

2014年08月28日 | 旅行記
被災地を訪ねるといっても、その多くはバスの車窓から眺めるものでした。

その中には、繰り返しニュースの映像に流れた「南三陸町の防災庁舎」がありました。

赤い鉄骨だけを残す3階の建物。
防災対策庁舎は、津波の激しさと被害の大きさを物語る施設として、
繰り返し報道されてきました。
ですから、何度も目にしていると思ってきました。

確かに、周りに何も無い平地に、ポツンと残る赤い鉄骨はすぐに目につきます。
ああ、これがあの建物か・・・と思いました。
献花台には、多くの花やお供え物が見えました。

でも、実際の実物を目の前にした時、本当に言葉も無かったです。
もうすでに3年の月日が経っての旅行者が、何を言う言葉があるのか。

町では、このまま震災遺構として残すか、撤去するか議論されているとのことでした。

この場所からほど近くに、南三陸町の結婚式場「高野会館」があります。

海岸に近く、津波は最上階の4階まで押し寄せたが、
当時集会を開いていた地元のお年寄りら約330人は屋上などに避難し、全員救助されたそうです。
その道路をはさんで後ろ側に立っていた「公立志津川病院」は被害が大きく、
すでに解体されていました。

ほんの少しの何かの違いで、その後の運命が大きく変わってしまう実情をお聞きし、
実際に目で見ることで、ああ、本当に人知の及ばない天変地異だったのだと思いました。

「高野会館」の所有者が、過酷な被害を伝える「震災遺構」として
施設を残すことを決められたと、説明がありました。

つづきます。。

『ナイト&シャドウ』 柳 広司

2014年08月25日 | 
柳広司さんの新刊、『ナイト&シャドウ』読みました~

題名も表紙の感じも、何となく『ジョーカー・ゲーム』を彷彿とさせます。


続編?かと思いましたが、違いました。

知力、体力、先読み能力―すべてが一級のエリートSP・首藤武紀が、主人公。
彼は、合衆国シークレットサービスで“異例の研修”を受けるため、単身アメリカへ。

柳広司さんらしいエンタメに徹した面白さです。
何といっても主人公の首藤が、超カッコいい。
こんなにエリートなら、研修の必要なし、って感じです。

シークレットサービスの由来や、その背景、日本とアメリカの違いなどなど、
興味深く読みました。

そして、‘テロ’という意味も。
もしかしたら、表ざたにはならない事件は実際に起きているのかも、と思ってしまいました。
それくらい、闇にまぎれた向こう側は、暗い・・・・・。

気軽にエンタメ楽しみたい方に、おすすめしま~す。。

東北旅行記 5

2014年08月22日 | 旅行記
南三陸さんさん商店街を出発する頃、雨が降って来ました。
天気予報は雨でしたので、雨具の準備は万全でした。

バスには震災の語り部の方も一緒に乗り込まれました。
60歳代と思しき男性の方でした。
ご自身の被災の様子から、ご家族の事、娘婿さんを津波で亡くされたこと、
その後の生活についてなど、朴訥にぽつりぽつりとお話してくださいました。

3年の月日が経ち、バスの車窓から見える海岸の風景も一様に静かで、
更地になり、草が生えている様子は、まるで草原のように見えるのです。

造成が進んでいるところは、盛り土され、台形の台地がどこまでも続いているように見えました。
この盛り土のための土が足りないのだと、お話がありました。

復旧が進んでいないものに、鉄道があります。
道路が、線路と並行して走っていたかと思うと、ぶつっと線路が断ち切られています。
そういった所を何ヶ所か目にしました。

気仙沼市にあるリアス・アーク美術館です。
とても印象的な形の建物です。

この美術館は、高台にあり津波の被害はなかったけれども、地震で展示室の天井が落下し、
内壁にもゆがみや亀裂が生じるなど施設の被害は大きかったそうです。

再開後の新たな常設展示で「東日本大震災の記録と津波の災害史」の展示が、
全国美術館会議の助成により設けられたそうです。

同館学芸員が震災直後から市内をくまなく歩いて撮影した被災状況の写真約3万点、
収集した被災物約250点、新聞や過去の津波を記した歴史資料から、
約500点を選んで展示されているとのことでした。




展示されている多くの写真や被災物の数々にも圧倒されますが、
それらに添えられている、文章が特に印象深く残っています。

学芸員の方々が、採集した際に感じたこと、想像したことを記した100字ほどの文章
なのですが、それがどれも素晴らしいのです。
見学の時間ぎりぎりまで、繰り返し読んできました。

気仙沼を訪れる機会がありましたら、
ぜひこの「リアス・アーク美術館」に行かれることをおすすめします。

つづきま~す。。

東北旅行記 4

2014年08月21日 | 旅行記
だいぶ間が開いてしまいましたが、東北旅行記3の続きです。

7月20日日曜日は、仙台駅から出発する‘びゅうバス’「南三陸・気仙沼復興応援号」に
乗り込みました。
今回の旅行の一番の目的が、東日本大震災の被災地を回る、ということでした。
旅程を考えていた夫くんが、びゅうバスの復興応援号を見つけたのでした。

本当はもっと早く、2年前からそんな旅行の相談していたのですが、
実家の父の具合が悪くなり、それどころではなくなってしまったのです。

びゅうバスは、時間通り出発し、南三陸町さんさん商店街へ。



プレハブの仮設の商店が、全部で32店舗もある大きな商店街です。
飲食店から、食品・生鮮・お菓子やお土産物・衣料から文具・理美容から電気屋さんまで
本当にここに来れば何でもそろうという感じです。



ちょうどお昼ご飯に、弁慶寿司さんへ。



キラキラ丼の名前がついているように、色々な種類の海鮮丼が名物です。
とても美味しく、うれしい昼食となりました。

のりとかわかめとか、海産物の大好きな私は、あれこれお土産買い込みました~


バスに乗り込み、気仙沼へ。
つづきま~す。。






映画「思い出のマーニー」

2014年08月20日 | 映画
お盆休みから、ちょっとブログおさぼりしてしまいました。
一度さぼると、ずるずると続いてしまいますね~

さて、ジブリ映画の最新作を観てきました!
私自身は、ジブリのファンというわけではなくて、宮崎駿という人のファンなのです。
なので他の人の監督された作品は、映画館に見に行くことはほとんどなかったのです。

今回公開を知ってから、さてどうしようかな?と考えていました。
今作品の監督の米林宏昌さんのことは、NHKの番組を見て注目していました。
応援したい気持ちがあったのです。



多感な少女の、説明のつかないもどかしさや、旨くいかない日々のうつろいに、
心を塞いで、心を閉ざし、自己顕示欲の塊となった頭をうつむかせる・・・。
そんな少女達のための物語。

こういった翻訳ものの物語集に、どっぷり浸っていた子どもの頃を懐かしく思い出しました。
原作を紹介しているものを見て、ああ、新しい文庫の方だと思いました。

私がさかんに読んでいた頃は、もう少し大きめのハードカバーだったと思います。
このシリーズは特に好きで、検索しながら、ああ、表紙の絵は変わらないのだと、
本当に懐かしさがこみ上げてきました。

主人公の、12歳の少女杏奈がマーニーと出会うことで成長していく姿を描いていく物語。
この杏奈にどれくらい共感できるか、好みが分かれそうです。
現役の12歳の少女に、感想聞きたくなりました。。

『結婚』 橋本治

2014年08月12日 | 
図書館の新刊案内を読んで、すぐに読みたいと思いました。
橋本治さんの本は久しぶりです。

 「相手」はどこにいるんだろう?
 誰もが陥りがちな「誤った結婚観」ー。
 不安とためらい、揺れる心情を、
 冴えわたる筆致で描いた傑作長編小説。(帯より)


主人公は、古谷倫子28歳OL。
「卵子老化って知ってる?」と同僚に問いかけるところから、物語は始まります。

この「卵子の老化」の事を、私も知った時の驚きを覚えていたのです。
35歳を過ぎると急速に妊娠しにくくなるのだと、その原因が、卵子の老化なのだと。

物語に出てくるNHKの番組を私も見た覚えがあります。
見てすぐ、これは娘に知らせておかなくちゃ、と思ったことも。
これでは、結婚なんていつしてもいいなんて言えないなぁと思いました。

だからこそ、それまで結婚に関して無頓着だった倫子が、
急に結婚について考えるようになったわけです。

ところが、28歳の今、倫子には相手がいないのです。
そこでどうするのか、物語が始まるわけです。

ずっと‘婚活’というものに違和感を持っていたのです。
自分の結婚観と大きく違っているような気がして。
でも、うまく説明がつかず、なんだかもやもやっとしたままでした。
その答えが、ちゃんと見つけられました。

是非若い人たちに読んでほしいと思いました。
「結婚は、しようと思えば誰でも簡単にできるもの」では、決してないのだから。。

映画「マダム・イン・ニューヨーク」

2014年08月11日 | 映画
この「マダム・イン・ニューヨーク」という映画は、インド映画です。
テレビや新聞で紹介していたのを見て、興味を持ちました。
最寄りの映画館での上映を知り、とても楽しみにしていたのです。



家族思いの古風な主婦シャシが主人公。
夫と娘から英語が話せないことをバカにされ、悲しみを胸に抱いている。
それが、身内の結婚式でニューヨークに一人で行くこととなり、
新たな世界に踏み出していくことになるのだが・・・。

この主人公シャシを演じる女優さんがとても美しい。

インドで国民的人気を誇る女優のシュリデビさんだそうです。
サリー姿も素敵で、民族衣装を日常着る生活にちょっと憧れてしまいます。

英語のコミュニケーションが不得意な日本人は多いと思うので、
それだけでも共感すると思います。

そして、何より生き方には幾通りもあるのだと、ニューヨークで友達になった多国籍な友達が
シャシに教えてくれるのです。

そうやって女性としての誇りと自信を取り戻していくシャシの姿に、静かに感動しました。
間違いなく見ると元気になる映画です。

おすすめしま~す。。

東北旅行記 3

2014年08月08日 | 旅行記
塩釜港に着いた時はまだ雨は降っていなかったのですが、
お目当てのお寿司屋さんまで歩いて向かう途中、雨が降り出しました。

このお寿司屋さん、一森寿司さんは、震災前は塩釜港近くで営業していたそうですが、
震災後、お店を移転して再建されたそうです。


写真は、特上にぎり。2000円也とリーズナブル♪
美味しかったですよ~

塩釜港は当然ながら、お寿司屋さんが沢山あるのです。
松島からフェリーで塩釜に行ってお寿司を食べようと、当初から計画していました。
あれこれ旅行の計画立てていた夫くん、お寿司屋さんの情報もしっかり検索していたのです。
塩釜神社の向かい側にあり、参拝の帰りにちょうどいい感じです。

仙石線に乗って仙台に戻り、お土産の下見をして、今晩宿泊のホテルへ。
荷物を置いて、早速街に出かけました。

仙台でのお目当ての一つ、「kazunori ikeda individuel 」へ。
「kazunori ikeda individuel 」は、10年間のパリ滞在を経て、
池田一紀さんが地元仙台で開いたパティスリーです。



パリ滞在中は、池田さんが生涯の師と仰ぐ青木定治さんのお店、
「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」などに勤務されたそうです。
震災を機に日本に帰国され、パリでの経験を活かそうと、
地元仙台でパティスリーを開く決心をされたそうです。



マカロンの美しい事!!
他にもケーキや焼き菓子の類が沢山並べられていて、目移りしちゃいます。

店内にはイートインのコーナーもあり、ケーキやパフェなど食べられるのです。
早速いただいてきましたよ~♪


店内で販売中のマカロンや焼き菓子、アイスクリームでできています。
味のバランスが絶妙で、幸せ気分全開!!

つづきま~す。。





東北旅行記 2

2014年08月04日 | 旅行記
「東北旅行記 1」の続きです。

7月18日金曜日の深夜、新宿から夜行バスに乗り仙台に出発し、
翌朝19日5時55分、無事到着しました。
雨の予報でしたが、路面は濡れていましたが降っていなかったので助かりました。

朝食を簡単に取り、仙台駅からJR仙石線で松島海岸まで。



東日本大震災の影響で仙石線は全面開通されておらず、
松島海岸~矢本駅間でバス代行輸送しているそうです。



駅前を歩いて10分くらいで、景勝地松島がすぐに見えてきました。
曇り空でしたが、雨に降られず良かったです。





名物の笹かまぼこを焼いてアツアツを食べ、ずんだ餅を買い、遊覧船乗り場へ。



この松島湾の遊覧船のコースは、色々あるようですが、
私たちは、塩釜港までのコースを選びました。


湾内には、大小いくつもの島々が見えています。
島の松は、自然のまま手を入れたりしていないそうです。





当然ながら、この松島にも東日本大震災で津波の被害を受けたそうですが、
南三陸や塩釜よりも被害が少なかったのは、湾内の島々のおかげだと、
職員の方の説明がありました。

島民900人全員が助かったというお話も、とても心に残りました。
今も島の高台にある避難所での生活で、特産のカキやワカメの養殖をされているとの事、
お土産に買ってきました~

船は、塩釜港に。



つづきま~す。。

『セラピスト』 最相葉月

2014年08月01日 | 
最相葉月の新刊『セラピスト』を読みました~

最相葉月さんというと、やはり『絶対音感』が思い出されます。
子育て中で、我が子たちもピアノを習っていたりして、とても興味深く読んだ覚えがあります。

その後の作品は、「へ~」と食指が動くものもありましたが、読んでいません。
興味はあっても、フィクションの新刊に追われて、ノンフィクションに手が届かなかったのです。

今回この新刊を予約したのは、題名に惹かれたからです。
心をあつかうもの、何でも興味があるのです。
子育て中に読んでいた本をきっかけにして、心理療法の世界にはすっかりまってしまったのです。
そうしてたどり着いたのが河合隼雄さんでした。
なので、是非読みたいと思ったのです。



著者の中にある、心のケアとか、カウンセリングなどというものへの疑念が出発点だったと、
書かれています。
確かに、うつ病ばやりの今、心療内科は盛況だそうで、
待合室に患者がいっぱい、3分診療も不思議でない、などという現状があるのです。

著者は、関係各所に丁寧に取材を重ね、臨床心理学の大学院に通ったり、
専門の研修機関でも学んでいくのです。
そしてついに「精神医学界のドクターズ・ドクター」とよばれる中井久夫氏を訪れ、
絵画療法の被験者となるのです。

戦後からの日本の心理療法の世界の軌跡が、丹念にひも解かれて、
心理療法を学ぶ人々の勉強になりそうだと思いました。

専門的な内容なのですが、平易な文章で丁寧に解説されているので、
とても読みやすかったです。

読みながら、一番強く思ったのは、
著者は、きっと河合隼雄さんに会って話を聞きたかっただろうな、ということです。
残念ながらお亡くなりになってからの取材開始だったそうなので。

文中に何度も登場する河合隼雄さんの著作や、人となり、講演の様子など、
河合隼雄ファンにはとても面白く興味深かったです。。