趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

10周年!

2011年06月30日 | 日々のこと
今日6月30日は、建て替え新築した我が家に入居した日です。
ちょうど、10年経ちました!
あぁ、もう10年が過ぎたなんて早すぎます^^;
なんだかこの10年はとりわけ駆け足だったような・・・。

我が家が無事建て替えできたのは、一人の設計士さんと出会えたからです。
お陰でとても住み心地のいい建物になりました。

その設計士Aさんとの出会いやいきさつを過去に記事にしていました。
設計士さんのこと→こちら
設計士さんのこと2→こちら
設計士さんのこと3→こちら
設計士さんのこと4→こちら
設計士さんのこと5→こちら

入居したとき中学生と小学生だった子どもたちは、
建て替えしたばかりの家がうれしくて、毎日のように友だちを連れてきていました。
狭くても自分だけの部屋ができ、それぞれの部屋で寝るように初めてなったのです。

親たちの勝手な思いが詰まって出来上がった我が家は、
子ども達にはおおむね好評だったかな。
その2人の子どもたちも設計当時の予想通り、今家を出ています。

さて、ここらで人生は折り返し地点です。
駆け抜ける必要はもう無いですね~
少しずつ少しずつ、夫婦2人の、またどんな風に生きていきたいか
考えていかねばなりません。
いつ何が起こるかわかりませんが、とりあえず老後は長くなっています。
思いのほか長くなった余生を、どんな風に生きていきたいか。
道はまだまだ長いのですね・・・・。。

『オーダーメイド殺人クラブ 』 辻村深月

2011年06月29日 | 
辻村深月さんの新刊読みました~
読もうと決めている本についてはなるべく知らずに読みたい方です。
なので、内容について全く知らずに読み始めました。

手に取ったときの本の重さや装丁や題名から、
何となく若い世代の話かなと思いました。
そしてその想像は、当たりでした。



中学2年生の小林アンと、同級生の徳川勝利の物語。
2人の通う地方の中学校生活は、
およそ全国の中学生に通じるありふれたモノだろうと思います。

そこに描かれる学校生活の描写が、とてもリアルで迫力があります。
先ずはそこが一番大事な設定なのだと思うのです。
思春期の危うさ、とか
中二病、だとか
それらの実態の見えなさに対抗するかのように、
実に現実的に描かれていて、説得力があるのです。

リア充、とか
昆虫系男子、とか
クラス内ヒエラルキー、とか
見慣れない単語が登場するけれども、
そこに描かれるあの頃の、
‘怒り’や‘憤り’や‘直情さ’や‘あいまいさ’などなど
かつて中学生だった自分が顔を見せるのです。

自分自身忘れていた記憶が次々蘇り、
何だか夢中になって読んでしまいました。
ああ、こんな風に自意識過剰だったよなぁ・・・。

そして忘れていたエピソードを思い出すうちに、
ああ、もしかしてこうだったのかもしれないと、
初めて思い至った事を見つけました。
当時の友人達の顔が蘇り、ああ、会いたいな、会って話したいな、と
心から思いました。

こんな風に主人公達に共感ができる人にとって、
この本は素晴らしくステキです。
物語終盤、私は涙が止まりませんでした。

でも、もしかすると読み手によって感想が分かれそうだとも思います。
リアル中高生や、
かつて感受性が強くて悩んだ人や
自らの自意識に縛られ苦しんだ人に、とってもオススメです。。

ドラマ「マルモのおきて」

2011年06月28日 | テレビ
今期のドラマは子ども関係が目立ちましたね~
もう終わってしまった物もありますが・・・。

高齢出産や不妊治療の問題を取り上げた物から、
離婚した夫婦の子育てや難病などなどと、
家族の問題が多かった気がします。

そんな中の「マルモのおきて」ですが、
このドラマ「仁-JIN-2」と同じ時間帯なのでW録画にしたのですが、
上手く録れなくて初回から幾つか観られなかったのです。
それでも録画を諦めなかったのは・・・・



双子ちゃん役の芦田愛菜ちゃん、鈴木福くんがかわいいのはもちろんですが、
主演の阿部サダヲさんのファンだったからです。

阿部サダヲさんは不思議な雰囲気をお持ちですよね。
ハチャメチャな役を熱演するかと思えば、
無口で不気味な脇役をしたり、
けっして美男でないのに、クールにきめていたり。

今回はホントに子育て頑張るパパをステキに演じてらっしゃいます。
芦田愛菜ちゃんと鈴木福くんと一緒にいると
ほのぼのしていてホントの家族のようです。
そして、さりげなく教えてくれます。
親になるのに、大切なものが何かってこと、
家族って、血のつながりが大事なわけではないんだな、てことを。

子ども達への対応に悩みながらマルモがつぶやく
「本当にこれでいいのかな」という言葉に
かつて子育て真っ最中だった頃を思い出しました。
いつもいつも自分自身に問いかけていた言葉でした。



来週はいよいよ最終回ですね~
もうあのダンスが観られなくなるなんて、寂しいなぁ・・・。。

見守る

2011年06月27日 | 子育て
週末から今日にかけて、続けて‘お母さん’でした。
大学4年生の息子の所に自転車を届け、帰ってきたら娘が来たのです。
娘は社会人2年生です。

土曜日に息子のアルバイト先でちょっとしたイベントがあり、
「来れば~」のお誘いにいそいそ出かけてしまいました^^;
店頭での珈琲試飲会でキーボードを弾くというのです。

息子は確かにピアノを習っていましたが、
おちゃらけくんでちっとも真面目に練習しませんでした。
そんな彼をあたたか~く見守ってレッスンして下さった先生のお陰で
ピアノというものをキライにならずにすんだようです。

借りてきたキーボードで毎晩頑張って練習したとのこと、
なんとかクラリネットの伴奏ができた様子にほっとしました。

職場の皆さんも和気藹々と雰囲気が良くて、
息子がいい環境でアルバイトしていることが分かり、安心しました。

娘は・・・・しゃべるしゃべるしゃべる・・・・・
日々仕事が忙しいようで、あれこれあれこれ職場の話が尽きません。
就職説明会で就活生相手に話をしたとか、
つっこんだ質問にタジタジとなったとか、
ついこの前リクルートスーツでその辺ウロウロしていたのに・・・。
月日の経つのはホントに早いです!

息子にしろ娘にしろそれぞれの生活ぶりを聞きながら、
ちょっとした迷いごとや思案ごとなど、ちりばめられていた事を感じました。
それらをすくい取る事できたかな。
気持ちが落ち着く事できたかな。
欲しかった言葉をかけられたかな。
ハハの仕事が完全に「見守る」ことだけになってしまいました。。



「最終講義」内田樹@文学界4月号

2011年06月24日 | 内田樹
図書館の雑誌コーナーの棚を眺めていたら、
「文学界 2011年 04月号」の背表紙に‘「最終講義」内田樹’の文字が・・・
わぉ~と手に取り、早速借りてきました~



今年春に退職される事は、内田先生のブログでアナウンスされてましたし、
多忙ゆえ、退職を心待ちにされている様子も日々のブログに書かれていました。
ですから退職後はもう少しお暇になるのかと思っていたのですが・・・。
お忙しいのは相変わらずのご様子ですね^^;


そういえば、『最終講義』なる本も既に上梓されていました~
いろいろな講演が収録されているそうです。

 1月22日最終講義。
 21年間勤めた神戸女学院大学へのお別れと、感謝のご挨拶をする。
 別に「講義」というほど肩肘張ったものではないのだけれど、
 それを聴くために、わざわざ遠方から岡田山まで来てくださっている人がいるので、
 ある程度はまとまりのある話をしなければいけない。
 愛神愛隣、リベラルアーツ、ヴォーリズの学舎
 という三題噺をすることに前夜明け方ベッドの中で決める。
内田先生ブログより

内容はまさに書かれている通りでした。
でも、そのお題に入る前の(長い)マクラの部分がとてもとても印象深いです。
それは全編を通しての人が学び成長していくという、
真の教育というものを体現なさったようなものでした。

てらいなくご自身の道のりを語られる言葉に、
ああ、人というのはこうして成長していくものなのだと、
そして一つ一つの出来事が見えるもの見えないもの全てが
重なり合って道につながるのだと、
意味の無い経験や出来事など決して無いのだと教えていただいた気がします。。

クルム伊達公子VSビーナス・ウィリアムズ

2011年06月23日 | テニス
ウィンブルドンはNHKの深夜に放送しているので、
録画予約して寝るのですが・・・・・

昨晩は11時半のニュースの速報で、第一セットを取った映像が流れたのです!!
えぇ??!!
思わず大きな声で叫んでしまいました!!!



15年ぶりに立つセンターコート、どんな事を胸に思ったのかな。
チャレンジャーとして行くのだから、と謙虚に笑っていた伊達選手。
チャレンジャーどころではない、あなたはビーナスと互角に戦っていました!!



試合を見ていて思いました。
伊達選手のライジング、つまり打ち返すタイミングが早いのです。
この速さに、おそらくビーナスは戸惑ったと思います。

それにしても、この試合の伊達選手のネットプレイは完璧でした!!
まるでお手本を見るように、ローボレー、アングルボレーが決まります。

「今年、1番のいいプレーができました。
 そして楽しかったです。」
そう、ご自身のブログで仰っています。
本当にコートを無心で駆ける姿に、胸が熱くなりました。
知らず知らずのうちに、握ったこぶしを振り上げていました!!


残念ながら7-6、3-6、6-8で惜しくもウィリアムズに敗れてしまいました。
でも、試合後インタビューに
「こんな風にボールを打つ選手とは対戦したことがない。
 これほど変化のあるプレーをする選手は今はほとんどいない」と、ウィリアムズは驚嘆したそうです。

クルム伊達公子選手、激闘お疲れ様でした。
本当に素晴らしい試合を、ありがとう!!!

ウィンブルドン2011

2011年06月22日 | テニス
2011年のグランドスラム、ウィンブルドンがイギリス・ロンドンで開幕しました~
大会初日の第1回戦に登場したクルム伊達公子選手が、勝ち上がりました!!

相手は、地元イギリスの若手で推薦枠での出場のK・オブライエン選手25歳でした。
「ファーストセットは久々のいいプレーでした。いつ以来だろう???」と
クルム伊達選手の弁。
かかった時間も17分と、あっという間でした。

セカンドセットはキープキープのキープ合戦でしたね~
何度もチャンスがありながら、次第に調子を上げてくるオブライエン選手に
ハラハラする場面もありました。
それに声援の大きい事!!
さすが地元選手ですよね~

クルム伊達選手はサービスのスタイルが少し変わったと思いました。
右手を大きく引かずに、身体使って打っていくのです。
このサービスがいいところに決まっていたのも勝因かな。
相手選手がリターンにてこずっていましたね。


ウィンブルドンで15年ぶりに勝利を挙げたクルム伊達公子選手。
先ずは、おめでとうございます!!

次は大会第3日(6月22日)に行われる女子シングルス2回戦で、
同大会で5度の優勝経験があるビーナス・ウイリアムズ選手との対戦です。


ウイリアムズ姉妹は、今大会揃って出場していますね~
この2人はとにかく強い!!
圧倒的なパワーで、まさにパワーテニスの代表格です。
サービスは200キロを超えます^^;

「スピードとパワーで勝負したところでかなうわけはないので
自分の出来ること、やらなければならないことを整理してコートに向かいます。」
と、クルム伊達公子選手がブログに書いてらっしゃいます。
初めてのビーナス・ウイリアムズ選手との戦い・・・
しかもセンターコートだそうです!!
かつて、グラフと準決勝を戦って以来の事ですね~
是非力を出し切って戦って欲しいと思います。

応援しなくちゃ!ですね!!

『この女』 森絵都

2011年06月21日 | 
久しぶりの森絵都さんの新刊本、読みました!

阪神淡路大震災前夜、神戸と大阪を舞台に繰り広げられる冒険恋愛小説。
3年ぶり、著者の新境地を開く渾身の長篇書き下ろし。




なるほどコピーにある通り、3年ぶりの書き下ろしなんだ・・・。
森絵都さんと言えば本の情報が無くても、
そのお名前だけで図書館予約をしてしまう作家の一人です。

そしてまたちょうど本が手元に来た時「週刊ブックレビュー」に登場されて、
新刊についてお話されたのを観ての読書となりました。
ラッキー♪

最初は「一人の女を描きたい」という気持ちがあったそうです。
有島武郎『或る女』など、男性作家が描くヒロインが好き。
だから「小説内の小説」という形式で「男性になり代わり、ヒロインを描こう」
と著者の言葉です。

複線となるのはその時代背景。
阪神淡路大震災の年は、ひとつの分岐点なのではと仰っています。
なるほど・・・・・・。

楽しみに読み始めたのですが、どうもリズムが合わない・・・。
読み進むのに意外と時間がかかってしまいました。
多分、この本の「小説内の小説」の形式が私には合わなかったようです。

でも一つ思ったことは、「この女」というよりも
むしろ小説の中の書き手である男、「この男」の物語だったように思いました。。




六月大歌舞伎

2011年06月20日 | 日々のこと
公演間近のチケット割引の案内がe+から届いたので、
18日土曜日の「六月大歌舞伎 夜の部」に行く事にしたのです。
歌舞伎座は改装中ですので、会場は新橋演舞場です。



本格的な歌舞伎鑑賞は、夫くんは初めてで、
私は結婚前に観たきり、初めてのようなものです。
演舞場も初で何だかとても楽しみな夜となりました。



一、吹雪峠(ふぶきとうげ)

二、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

三、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)
  かさね

とりわけ二幕目の「夏祭浪花鑑」の

一寸徳兵衛役の仁左衛門さん、団七九郎兵衛役の吉右衛門さん、がステキでした!!

音声ガイドをしっかり借りて鑑賞したので、内容はよく分かりました。
説明が無いと全く分からない場面もあり、借りてよかったと思いました。
歌舞伎はひいきの役者さんや、好きな歌舞伎の演目を楽しむ物なのかなと
ちょっと雰囲気味あわせてもらった気がしています。

母がよく伯母と共に歌舞伎を観に出かけていました。
二人揃って和服でいそいそ出かけていた事を思い出します。
もう少し和服姿が多いかと思っていましたが、意外と少なかったです。
最も雨が降りそうなお天気でしたし、開演の頃ちょうど降ってきました。

幕間に食べるお弁当を考えたり、飲み物を買ったり、売店冷やかしたり、
なかなか楽しい一時を過ごせて良かったです。。



『パラドックス13』 東野圭吾

2011年06月17日 | 
「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。
 これはそういうお話です」 東野圭吾



3月13日13時13分13秒、
ブラックホールの影響でP-13と呼ばれる現象が発生することへの対策が
政府の間で極秘に進められていた。
学者や政府関係者ですら、具体的にどういう現象が発生し、
どういう影響を受けるのか全く未知の世界だ。

運命の13秒。人々はどこへ消えたのか?

13時13分、突如、想像を絶する過酷な世界が出現した。
陥没する道路。炎を上げる車両。崩れ落ちるビルディング。
破壊されていく東京に残されたのはわずか13人。

表紙に象徴されるように、段々段々黒く、訳の分からない怖いものが
忍び寄るという感じでしょうか。
SF・パニック映画を観るような・・・・。

残された13人が出会い、サバイバルをかけて協力したり、離反者が出たり。
当然のように、力の弱い者、心の弱い者から命の危機が訪れる。
どうなっていくのか先が全く見えない恐怖。
その絶望は、あまりに深くて思わず現実の大災害に思いを馳せてしまう・・・。

頼みの綱、頼りになるのは人間の‘思い’なのだ。
倫理や志や信義というものかもしれないけれど、
訳の分からぬ極限状態の中で、人は何を考え、何を思うのか。

怖くて辛い読書であったけれど、冒頭の著者の言葉が胸に響きます。
こんな風に書ききった東野圭吾さんの底力を見せられた気がしています。。





映画「クレアモントホテル」

2011年06月16日 | 映画
ミニシアターに変身した地元映画館に
遅れて上映が決まった映画「クレアモントホテル」観てきました~
もう少し早く上映してくれると、ホントにうれしいのですが・・・。
映画の情報忘れてしまいそうなので^^;



英国ロンドンの街角に、あわただしい時代から取り残されたようなホテルがある。
ホテルの名は、クレアモント。
長期滞在型のこのホテルには、人生の終点に近付いた人々が
引き寄せられるようにやって来る。
彼らはそれぞれに孤独ながらも、ユーモアやウィットを忘れない。
パルフリー夫人もその一人だった。
ホテルの住人達の関心は、誰が訪問してくるかということ。
しかし、夫人の所に娘も孫も訪ねてくることはない。
ある日、小説家志望の青年と出会った夫人は、彼に孫のふりをしてもらう事に・・・。


サラ・パルフリー(ジョーン・プロウライト)とルードヴィック・メイヤー(ルパート・フレンド)

イギリスのお金持ちの老人は、人生の最後にこうした長期滞在型のホテルに
住んだりするのですね~
日本にもあるのでしょうか??
身の回りにお金持ちがいないので分かりませんが・・・。

パルフリー夫人は、最愛の夫を亡くして独りになってしまったときに
娘から自立して生きる事を選び、このホテルに住むようになります。

自立する、ってどう生きる事なのかな。
頼ったり、泣き言を言わないって事なのかな。
お金の心配をさせないって事なのかな。
家族といってもそれぞれに生活や事情があるだろう。

やる事があり、忙しくしている時には感じなかった寂しさに気づいたとき
人はどうすればいいのだろう。
やることを失くして、有り余る時間だけが目の前にあったら
孤独に打ちのめされてしまう事だろう。
映画を観ながら、ずっとそんな事を考えていました。



そんな中出会う好青年ルードヴィックとの楽しい時間。
人はやはり人との関わりの中に生きるしかないのですよね。

一つ言える事は、年をとってもしゃんとしていないといけないな、ということです。
そうしないと、家族はもちろん、他人とだって関わりあっていけません。
生きている事を寿んでくれる人がいることが、幸せなのですね。。

「非現実的な夢想家として」

2011年06月15日 | 村上春樹
作家の村上春樹さんが、9日スペインのカタルーニャ国際賞授賞されました。
おめでとうございます!!

そしてその授賞式で配布された受賞スピーチ原稿がネットで公開されていて、
全文読むことができました。
(私は「毎日JP」で読みました)

そのスピーチは、「非現実的な夢想家として」と題されて
3月11日の震災と福島原発事故について話されました。

大きな戸惑いの中にあり、語る言葉を失って
どのように、どんな切り口であの震災について語るのか、
村上春樹さんでなくてもとても注目してしまいます。

読んで一番強く感じた事は、‘王道’ということ。
どこにも逃げず、隠れもせず、強がりもせず、はかなみもせず、
平易な言葉で、分かりやすくそして尚且つ力強い言葉で語ってくれました。

私も、「非現実的な夢想家として」生きる事を学びたいです。
迷いや戸惑いは消せなくても、言葉はつないでいかねばなりません。
声を上げ、メッセージを発信する事で前に向く事ができる・・・。

心にわきあがる疑問や戸惑いを言葉にして、
たとえ拙い表現であったとしてもその言葉に責任を持ち、
自分の心を受け止める・・・。
ああ、もう人任せにしていてはいけないのだな。

まっすぐな心のメッセージが、スペインから届いた気がしています。。

『いねむり先生』 伊集院 静

2011年06月13日 | 
伊集院静さん、このところ続けて新刊を出されていますね。
書店にも並んで平積みになっていました~

この『いねむり先生』は、新聞広告を見てすぐに読みたいと思いました。
何故なら、この「いねむり先生」こと色川武大さんの大ファンだったからです。



伊集院さんが色川武大さんと知り合ったのは、亡くなる2年あまり前だそうです。
2人で全国の競輪場を巡る「旅打ち」に出かけるなど、親しく過ごす。
今回の作品は、その実体験を基にした自伝的小説です。

主人公サブローは、女優だった妻の死後、
アルコール依存、ギャンブルに溺れ、神経を病んでしまう。
ぼろぼろな生活をしている時、
心配した友人が色川武大を紹介する所から物語りは始まるのです。

「作中のほとんどの出来事は事実だが、」と著者ご本人の弁です。
なるほど登場人物の数々は、イニシャルであったり、伏字であったり。
誰の事か想像するのも楽しい事かもしれません。

私は、競輪選手の名前以外は皆分かってしまいました。
何故かと言うと・・・・

数年前にあるミュージシャンの特別番組を放送したときに
色川武大さんの画像が出てきたのです。
それは交流のある人々を紹介する場面でした。
そこに、伊集院静さんも登場されていたのです。
そこに登場された人たちがそのまま物語にも顔を見せているのです。
どの人たちもこの「いねむり先生」が大好きな様子でした。
この本は伊集院さんの「いねむり先生」へのオマージュだと思います。

“大きな存在”との交流の中で、再生を果たしていく伊集院さん。
著者の抱える心の闇の深さにも言葉を失います。
人は本当に表面的なものでは分かりませんね・・・。

久しぶりに色川武大さんの著作を読み直したくてたまらなくなりました。。

ドラマ「おひさま」

2011年06月10日 | テレビ
NHKの連続テレビ小説「おひさま」観ています~
主演の井上真央ちゃんが‘太陽の陽子さん’を好演されています。

昭和初期からの物語は、多くのお年寄り達の思い出を蘇らせるかな。
そしてそれはきっと、被災地での多くの心労を癒しているのでは、と思います。

主人公の陽子が、何事にも懸命に向かっていく素直な姿がとてもいいです。
真央ちゃんの熱演のたまものかな。
そんな陽子を支える人々・・・・。
父親役の寺脇康文さんもやさしく包み込むような愛情を感じます。
嫁ぐ娘に、思わず自分の方から「長い間ありがとう」と言う姿に
ステキな父親を感じました。

2人のお兄ちゃん、とりわけ私は次男坊の茂樹兄さんがお気に入りです♪
でも、茂樹兄さんは戦地から果たして帰って来れるかな・・・・。

今週は陽子の婚礼がメインのお話です。
白無垢姿が美しくて・・・。
お相手の丸山和成を演じる高良健吾くんもステキですね~
真面目で実直な青年を好演していると思いました。

でも、結婚式の翌日に出征していく姿に涙があふれてしまいました。
‘兵隊さんのお陰です・・・’と子ども達と陽子が歌う・・・。
本当に今の日本は、こうした無名の人々のお陰で成り立っているんだと
改めて感じてしまいました。
そっと見守る蕎麦屋の丸山の父と母。

母親役の樋口可南子さんもステキです。
さばけた肝っ玉母さんぶりが、とてもよくお似合いで意外でした!!
樋口さんは年齢が上るにつれ、どんどんステキになりますね~

物語は中盤にさしかかった辺りかな。
陽子先生の教え子達の年齢がちょうど両親たちの頃かなと思うので
きっと毎朝昔の話で盛り上がっているのではないかと思っています。。

『一升桝の度量』 池波正太郎

2011年06月09日 | 
池波正太郎さんのお名前は、懐かしい記憶の中にあります。
学生時代、歴史・時代小説にどっぷり浸かっていた時に盛んに手にしました。
今回図書館の新着本にあったので、懐かしくなり借りてきました~



帯には、‘通俗は尊い’ 
    埋もれていたエッセイを再発掘!
    よみがえる江戸の男の粋
    没後20+1周年記念出版

池波さんは亡くなられて21年にもなるのですね。
雑誌や新聞、公演プログラムなどに掲載され、
これまで単行本に未収録だったものを中心にまとめて書籍化されたそうです。

書かれた物によって、内容が大きく4つに分類されて章立てされています。
私は最初の、「Ⅰ 歳月を書く」という章が一番気に入りました。
主に歴史上の人物や時代小説について書かれたエッセイです。

幕末や明治維新のあたりなど、馴染みの傑物が多く登場して
小説には無い楽しみをもらいました。
何より、題名の由来となった、
「一升ますには一升しか入らぬ」がいいです。
書かれたのは昭和51年とあるのですが、
現実の日本の状況をよく言い表していて興味深いです。

池波さんが小説をお書きになる前に戯曲を書かれていたとは知りませんでした。
新国劇に深く関わったことが、「Ⅲ 劇場のにおい」の章に書かれています。

とても読みやすい文章で、あっという間に読めてしまいました。
また、池波さんの時代小説がたまらなく読みたくなってしまいました。。