趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「すぐそこにある希望」村上龍

2009年03月31日 | 
久々の村上龍さんです。
『半島を出よ』以来かな。

2005年から2007年にかけてのエッセイ集です。
以前新聞の書評記事を読んで
メモしておいた本です。
図書館で見つけました。

龍さんの本もたくさん読んでいるので
とても読みやすく、
特にエッセイを読むと
その独特の語り口に、
なんだかすぐに顔が浮かんでくるのです。
眉間にしわ寄せた・・・。

NHKの100年インタビューという番組に出演の
宮崎駿さんを観たばかりだったので
そのお話の重なるところの多さに、びっくりでした。

特に印象の深いところ
龍さんの‘文脈を超えたコミュニケーション’という所を
読んでるうちに
インタビューに答える宮崎さんと
インタビュアーのアナウンサーとの間にある溝は
まさにこの文脈の違いなのでは、と思い当たったのです。

同じバックグラウンドを持たないと
同じ‘文脈’では語れない。
なるほど、その通りだ、と画面を見ながら思いました。

これからは、この‘文脈を超えたコミュニケーション’というものが
必須となるだろう、と龍さんは書いています。
そのために磨く、‘言葉’。
示唆に富む、非常に面白いエッセイだと思いました。

小説の構想は色々あるそうで
今後の新刊が楽しみ楽しみ!!

ドラマ「黒部の太陽」

2009年03月30日 | テレビ
フジテレビ開局50周年記念番組
『黒部の太陽』を録画して観ました。

「黒部ダム」、「黒四ダム」という言葉に
小学生の時社会科で習ったなぁ、と思い出しました。
行った事はないですが
秋になると紅葉のバスツアーの広告をたくさん目にします。

このドラマ、二日間に分けてやった長編です。
ちょうど読んでいた小説が
『オリンピックの身代金』で昭和30年代の話だったので
重なる部分が多くあり
感慨深く観ることができて良かったと思いました。

何かを成し遂げていく人というのは
本当に心の底から真っ向勝負していける
熱い気持ちを持ち続ける人なのだと思いました。

その熱い男を演じたのが主演香取慎吾です。
前半は、どうかな、と思っていましたが
さすが総長香取くん、立派に親方を務めていました。

トンネル工事最前線で身体を張り
過酷な労働に耐える人たち。
あまりの過酷さに、
逃げ出す人を責める気持ちなんておきないのです。

それぞれの立場の人間が
それぞれできうる限りの力を合わせ
度重なる困難にぶつかりながら
工事を仕上げていく様は圧巻です。

就活中の娘も一緒に観たのですが
ホワイトカラーとブルーカラーの話をしながら
社会や会社の仕組みを知るのに
役立ったようです。

この秋は、是非とも「黒部ダム」に出かけてみたいと思いました。。


「オリンピックの身代金」奥田英朗

2009年03月27日 | 
奥田英朗の久々の、500ページを超す長編
「オリンピックの身代金」を読みました。
奥田作品も図書館で人気で
なかなか順番が回って来ないですね~

「イン・ザ・プール」の伊良部先生の面白さに誘われ
奥田作品を次々読んでしまい、いつしか
新刊が出るのを心待ちにするようになりました。

前作の短編集「家日和」もとても良かったですが
この新作の長編もとても読み応えがありました。
東京オリンピック開催の年昭和39年の東京が舞台です。

戦後日本の高度成長期の象徴ともいえる東京オリンピック、
そのオリンピックを人質に国から身代金8千万円をとろうとする
東大大学院生島崎。
その島崎の東大時代の同級生で警察官僚の息子須賀。
島崎を追う落合刑事をはじめとする警視庁の刑事たち。
事件にかかわっていくをそれぞれが
それぞれの立場で日付を追って語る形をとっています。

将来が約束された島崎が、なぜ犯罪に手を染めたのか。
そこに至るまでの丁寧な描写がいいと思いました。
島崎という人となり、
人間像がこまやかに書き込まれているので
違和感なくいつの間にか受け入れてしまっています。

そして、大都市東京へ急速に変貌していく様子や
地方の農村部の救いのない貧しさ。
読みながら、つい北京オリンピックを思い出してしまいました。
もしかしたら、中国も似たような感じではなかったかと。

‘格差’といえばもしかすると今よりもっと
過酷な‘格差’がまかり通っていた時代。
いろいろなことを本当に考えさせられた本だと思いました。。






本屋さんで

2009年03月25日 | 日々のこと
連休を利用してスキーに出かけたのに
雪が無い!!
スキーは早々に諦めて
都内で買い物して帰って来ました。

ついでにジュンク堂で本を購入!
子ども達のは気軽に買えても
自分用は久々のことです。

学生時代は文庫本を買い、読んでいたのですが
たまるたまるたまる・・・
結婚する時に随分処分して気に入っているものだけ
持ってきたのですが
家を新築する際の引越しの大変さに辟易して
本を買うのはなるべくやめようと心に決めました。

それから自分用の本は
図書館で借りて読むことにしたのです。
そのうち図書館の蔵書検索が
インターネットでできるようになり
予約して借りることを覚え
話題の新刊本も追っかけて読めるようになって来ました。

もともと気に入った作家の本を
飽きるまで読みつくしていく読書スタイルでしたので
最新刊を旬のうちに読むことなんて
以前は無かったことです。

芥川賞などの受賞作品も
文庫になってから、という感じでしたので
今回本屋さんで正面に並んでいる
『悼む人』や『利休にたずねよ』などを見て
わぁ~もう読んだ読んだ、良かった良かった、なんて
言ってる自分が嘘のようです。

今回私が購入した本は・・・
内田樹『知に働けば蔵が建つ』
百田尚樹『BOX!』
石田依良『40―翼ふたたび 』

早く早くどれも読みたいのに
図書館で予約した本が手元に3冊も!!
読みたい本にこんなに囲まれているって
とっても幸せなはずなのに
昔のように早く読めないし
時間はないし
すぐ眠くなるし
・・・・・
なんだかこれってストレス???

拝啓山田太一様

2009年03月24日 | つぶやき
毎週放映を楽しみにしていた
ドラマ『ありふれた奇跡』が終了してしまいました。
エンドマークは必ず来ることは分かっていても
寂しい気持ちでいっぱいです。

一つ山田様にお願いがあるのです。
ドラマを作るやり方を
脚本の書き方を
いい仕事の仕方を
若い人たちに教えて育てて欲しいのです。
ドラマの作り方、という基本的なことを。

若いいい俳優さんたちが
だんだんといい顔になっていくような、
若い人たちが
世の中捨てたモンじゃないと思うような、
そんな仕事の仕方を。

久しぶりに‘恋をする’という気持ちを
思い出させてくれました。
若い人が奇跡としか言いようの無い出会いを経て
ありふれた家族や日常の中で
その気持ちを暖めていく。

こんな風に人と出会い
人を思い
一つ一つ手を携えて乗り越えていくような
そんなつながりを持って欲しいと
心から思いました。

娘と息子が、こんな風に結婚していくといいな、
と心から思いました。
山田太一様、ステキなドラマをありがとう!!

映画「アフタースクール」

2009年03月23日 | 映画
本当はこの映画、映画館で観たのですが
帰省中の子ども達がレンタルしてきたので
また一緒に観てしまいました。

『母校の中学校で働く、人の良い教師・神野のもとに
かつての同級生だと名乗る怪しい探偵が訪ねてくる。
探偵は、神野の親友で同じく同級生で
現在は一流企業に勤めるサラリーマン・木村の行方を追っていた。
心ならずも神野は木村探しに巻き込まれてしまう――

人を疑うことを知らない男と人の裏側ばかり見てきた男。
ちぐはぐコンビの捜索活動から、
神野の知らなかった友人・木村の一面が次々と明らかになり
物語は思いもよらぬ方向へと転がりだす!』
(公式HPより)

どこから見ても人の良い、母校で教師をしている神野に大泉洋。
胡散臭い探偵役に、佐々木蔵之助。
行方不明のサラリーマン木村に堺雅人。
それぞれのキャラクターの絶妙さと
手の込んだ物語にすっかり引き込まれてしまいます。

何度観ても面白い、という映画だと思いました。

アンダーグランドに生きる佐々木蔵之助が
まっとうを絵に描いた大泉洋に毒づく場面があるのですが
言い返さない大泉にじれったい気持ちを覚えるのですが
最後になって佐々木に言い放つ言葉がいいのです!

‘学校なんて関係ないんだ。
 おまえの人生つまらなくしてるのは、おまえ自身なんだよ’

あ~名言だと思いました。。

映画「ミス・ポター」

2009年03月19日 | 映画
ムービープラスで放映していた「ミス・ポター」を観ました。
公開当時、気になっていながら見逃していた映画です。

この映画は、童話「ピーターラビットのおはなし」の著者、
ビアトリクス・ポターの半生を語る映画です。

『時は1902年、新世紀になってもヴィクトリア朝の封建的な空気が漂うイギリス。
ポターのような上流階級の女性が仕事を持つことなどあり得ない時代だ。
しかし彼女の夢は、
幼い頃に湖水地方で出逢った大好きな動物たちの絵に物語を添えて、
絵本として世に出すこと。
親がすすめる縁談を断り、アーティストとして生きることを目指しているのだ。
ついに出版を引き受ける会社が現れ、
ピーターラビットと仲間たちの物語は、たちまちベストセラーとなる。』
(公式HPより)

彼女の描く絵が途中で動き出したり、
お話をしたり、
でもけしてうるさくない、控えめな演出で
ピーターラビットの世界が垣間見られて楽しかったです。

主演は、大好きな女優レネー・ゼルウィガー。
彼女の優しい笑顔はステキですね~
素直な明るさ、
控えめな佇まいが見事に生かされた、いい映画だと思いました。

また、もう一つの大きな見どころは、
イングランドの湖水地方での撮影が実現したという素晴らしい風景です。
ポターが購入して農場を営み、
遺言でナショナル・トラストに寄付したこの地は、
今もピーターラビットの物語の舞台として知られ、
世界中から観光客が訪れる人気スポットなのだそうです。

原作者のステキな半生を知ることで
また一段とピーターラビットたちの物語が
心躍るものとなる気がします。。


「だりや荘」井上荒野

2009年03月18日 | 
また、借りてきてしまいました。
未読の著作を見つけると、思わず手を伸ばしてしまうのです。
きっと題材は同じなのだろう、と分かっていても。

これもホントに面白かったですよ~
井上荒野マイベスト3に入るかな。
すっかり、囚われ人となりました。
今回も掻き立てられ
気持ちの深いところに入り込み
感情が波打ちます。

本当に井上さんという作家は、不思議な魅力に満ちています。
基本的には変わりの無いシュチエーションで
あれこれ入替えて試してみているように感じます。
そして、上手いな、と思います。
小説の名手だと。

多くのレビューに‘どろどろした’という形容がなされています。
でも、私はその言葉に戸惑いを受けました。
むしろ、逆なのではと。

まだまだ井上さんの旅は続きそう・・・



「リアル」井上雄彦

2009年03月17日 | 
毎年一冊秋頃刊行されるマンガ「リアル」。
第8巻が出たことを知らず、
お正月泊まったペンションに置いてあるのを見て
忘れていたことに気づきました。

井上雄彦さんは、
言わずと知れた名作「スラムダンク」を描かれた漫画家です。
「スラムダンク」にすっかり魅せられ
後を追うようにその作品を読んでいます。

この「リアル」もバスケットボールのお話。
「スラムダンク」と違うのは
バスケをする人たちが、車椅子に乗っていること。

新刊が出るのを毎年楽しみにしていたのに・・・
忘れるとは・・・
こんなところにも老いの陰・・・

本屋さんに出かけるという娘に買ってきてもらい
昨日ようやく8巻を読みました。
良かったですよ~

井上さんの絵は、ほんとうに‘リアル’で
そのまま本の中から飛び出してくるような錯覚を覚えます。
どうしてこんなにすごい物語が紡ぎ出せるのか
とてもとても不思議です。
読み進むうちに
次第に背中がピシッと伸びてくるような
熱い感動が走るのです。

井上雄彦さん、スゴスギ!!
今年は絶対、忘れないぞ!!!!


「少女」湊かなえ

2009年03月16日 | 
湊かなえさん、といえば「告白」が話題でしたよね~
ですが、その「告白」は図書館の予約が殺到していて
順番が回ってきそうにありません。

ほとぼり冷めるまで
気長に待つことに決めたところでした。
そのうち最新刊が入荷して
こちらの予約はすんなりでしたので
先に「少女」の方を読むことにしました。

読んではいない「告白」でしたが
新聞や書店で随分取り上げられていて
‘衝撃の’とか‘読後感が’とか書評があふれていたので
この本も暗く、重いのかなと警戒していました。

主人公の少女二人の
それぞれ独白の形で話は進みます。
二人の少女の性格の違い、
タイプの違い
感じ方の違いがよくわかる構成で
読みやすいと思いました。
相手の気持ちを図れない稚拙な感じも
きっと現実こんな風にすれ違うよな、と
納得してしまいます。

だから、二人をつなぐ
‘ヨルの綱渡り’の文章は全文読んでみたかったな、
と思いました。

人間関係が予想外なところで密につながっていて
思わず、まさに‘ありふれた奇跡’です。
これもか~と現実も確かに
小説よりずっとベタな所がたくさんあったりしますが。

ますます話題作「告白」が読んでみたくなりました。。



スキーに行きたいのに

2009年03月13日 | つぶやき
暖冬なのですね~
ここ何年も豪雪地帯といわれていた地域の
降雪量の少なさにびっくりです。

現実的にスキー場の閉鎖もありましたし、
リフトの一部だけ運行、という年もありました。

スキー場の経営が行き詰まり
倒産したりして経営が変わって
スキー場の名前がころころ変わっているところもあります。

でも、一番痛いのは雪が降らないことにつきます。
スキーヤー&ボーダーは、
ひたすらコンディションのいい雪を求めて出かけていくのですから。

毎週末、スキー場の天気予報と首っ引きな夫くん、
今週末も雨模様で、残念がっています。

世の中早くも桜前線に期待が集まる中
わざわざ寒さを求めるなんて
やっぱり白い目で観られてしまいますよね~

今後はさらに雪が減りそうな気配に
更なる北への移動が必要になりそうな予感がします。。

NHK「スポーツ大陸」

2009年03月12日 | テレビ
貫き通した美学 体操 冨田洋之さんの回を観ました。

この番組、アスリートの姿を丁寧に追っていて
なかなか好きな番組です。
ナビゲーションは藤原竜也くん。

ご本人もインタビューに答える形で登場します。
どのアスリートも
見終わる頃にはすっかりファンとなり
その後の活躍を気にしながら応援する事となります。

冨田選手は、小学生の頃近所の体操教室に
友達と通い始たことがきっかけで
体操を始められたそうです。
しかも、そんなにやりたかったわけでなく
サボったりして、あまり熱心ではなかったと
笑って話されていました。

しかも、小さい頃から才能を開花させ、というのではなく
監督から怒られてばかりの不器用な少年だったようです。
そんな冨田選手は、美しい体操を目指していくきっかけとなる
外国の選手の演技に魅せられるのです。(名前は失念)

『そんな冨田が、低迷していた日本体操復活の立役者になる。
2004年のアテネ五輪では鉄棒の最終演技者として、
あの“栄光の架け橋”を描いて28年ぶりの団体金メダルをもたらし、
翌2005年の世界選手権では個人総合で頂点に立った。

ところが2006年に採点ルールが変更。
技の完成度より技の難度に高得点が与えられるようになったのだ。
「体操は曲芸ではない」。
苦しんだ末、冨田はそれでも「美しい体操」を追求する道を選ぶ。』
(番宣より)

朴訥に、言葉少なく話される様子は
普通の平凡な若者にしか見えません。
気負った感じも無く
どんな横顔を見ても
強い闘志や負けず嫌いはかけらも見えないのです。

でも、敗れた北京オリンピックでの演技も
どれも美しく気高く、ステキでした。
それは、メダルを超えて
国を超えて
人々の胸に刻まれたのだと思いました。

引退会見、見たことを思い出しました。
とてもすっきりと
また淡々と話されていました。
冨田さん、本当にお疲れ様でした。。

アサーション

2009年03月11日 | つぶやき
アサーションを日本語に訳すと「主張」という意味だそうです。
ネットサーフィンしていて
偶然目にした、私の知らない言葉でした。
何だろう、と記事を読み進めてびっくりしたのです。
以下、アサーションについての説明を抜粋します。

『「主張」と言っても、自分の意見や要望を無理やり押し通すとか、
  相手が同意するまで説得するとか、自分の言いたいことだけを言って
  相手を自分の思い通りに動かそうとすることではありません。
  そんなふうに、自分勝手で攻撃的なものでも、策略的なものでもないのです。

  相手がどんな返事をするかは、相手が考えて決めることで、相手の領域。
  相手の返事を自分の思い通りに強要するなんてできません。

  自分にできることは、自分の言いたいことを相手に伝えるということだけ。

  つまり、「アサーション」というのは、
  自分の感じていることや気持ち、考えていることなどを、
  自分も相手も共に大切にする関係の中で、誠実に率直に伝えていくこと。』


これってまさに、家族を作るうえで私自身が目指していたものなのです。
自分自身もそのように相手と接したい
また自分の気持ちや考えというものを伝えたい
そして、そのことに耳を傾け受け入れてもらう、
そういう風でありたいと願ってきました。
こんな風にコミュニケーションが取れるといいな、と。

アサーションには、以下の5点が大切なようです。

1.自分の正直な気持ちに気づく
 
2.自分の正直な気持ちを大切にし、ごまかしたり否定したりしない
 
3.自分も相手も対等な関係であることをしっかりおさえておく
 相手と向き合うときには、自分も相手も尊重します。
 つまり、相手を見下したり、自分を卑下したりしないで対等に接します。

4.伝えたいことを屈折させずに表現する
 人に自分の気持ちや要求を伝えるときには、どなったり、弁解したり、
 遠回しに言ったりしないで、率直に表現することが大切です。

5.表現したことについて、自分を責めたり不愉快になったりしない

ずっと自分自身の気持ちというものに
随分鈍感であったように思うのです。
自分の気持ちや感じていることが
よく分からずにいると
他人の気持ちにも鈍感になるような気がします。
そこから少しずつ少しずつ
伝えることができるようになってきたかな、と
思う今日この頃です。。




上條さなえさん

2009年03月10日 | テレビ
NHKの『わたしが子どもだった頃』という番組の
上條さなえさんの回を観ました。
児童文学作家、ということぐらいしか知らずに観ました。

この番組は、ご本人もインタビューを受けながら登場されますが
間に、その方の子ども時代の様子がドラマで再現されるのです。

衝撃でした。
食事をしながら、録画したものをのんきに観始めたのですが
箸を持つ手が止まってしまいました。

ご自身の辛い体験を本にして出版された際の
新聞のインタビュー記事を見つけたので
以下、そのまま、転載させていただきます。


不動産業をしていた父が事業に失敗して一家は離散。
父と東京・池袋の簡易宿泊街で暮らした。
酒浸りの父に代わってパチンコでかせいで夕食にありつく毎日。
高度経済成長期の昭和35年のころの、
学校に行けなかった1年間をつづった自伝『10歳の放浪記』(講談社)を出版した。

 編集者に執筆を勧められた10年前は、
「秘密の過去を思い出すのがつらくて書けなかった」。
その後、母は他界、一人娘も社会人に。
児童文学作家の傍ら、児童館長や埼玉県教育委員長などを務め、
いじめなどの問題に直面し、執筆を決意した。
「今はつらくても、希望を捨てないで生きてほしい」と、
涙を流しながら書いた。もらい泣きしてしまう脚色のない文章だ。

ホームレスに終止符を打ち、児童養護施設に向かう電車の中で、
あんパンと取り換えて愛妻弁当を食べさせてくれた先生がいた。
「私が立ち直れたのは、優しい大人たちとの出会いがあったから」。
子どもの自殺が相次ぐ。
「親や周りの大人が、死の誘惑から子どもをしっかり守っていきましょう」。
パチンコで鍛えた右手で、いじめからの再生をテーマに新作を執筆中だ。
(文化部 鳥居晴美)
(2006年12月14日 読売新聞より)


「火天の城」山本兼一

2009年03月09日 | 
直木賞受賞作の「利休にたずねよ」がとても良かったので
早速、図書館で別の著作を探してみました。

この「火天の城」もとても面白かったです。
時代小説は随分ご無沙汰なのですが
再熱しそうです。

物語は、信長の安土城築城のお話。
主人公は熱田神宮の宮大工から信長に取り立てられた
安土城築城の総棟梁です。

破天荒な信長の命に沿うため集められ
命がけで挑む日本一の匠たち。
そのどの匠も
自分の腕に目利きに誇りを持ち
その気概がぶつかり合う様子は心沸き立ちます。

築城の困難な様子は
戦国版‘プロジェクトX’といった感じで
面白く一気に読めます。

この作品も直木賞の最終候補に残ったとのこと。
うなずける、骨太の作品です。。