趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『藁にもすがる獣たち』 曽根圭介

2011年09月09日 | 
曽根圭介さんの新刊、読みました~
曽根さんは、『図地反転』という作品がとても面白かった事を覚えています。



大金の入った忘れ物のバッグを、ネコババしようとする初老の男、
赤松寛治・59歳。

暴力団に2000万円もの借金をして、返済に窮する悪徳刑事、
江波戸良介・38歳。

FXで失敗した借金を返すために、デリヘルで働く主婦、
庄田美奈・32歳。

この3人の物語によって構成されています。
3人とも、にっちもさっちもいかなくなる状況へと進み、
それこそ藁にもすがるという、題名の通り獣に変身していくのです。

読んでいて、それぞれの状況に段々と気が滅入ってきます。
身から出たさび、と言ってしまえばそれまでですが、
最初のボタンの掛け違いは一体何だったんだと思わずにはおれません。

読みながら、奥田英朗さんの『無理』を思い出しました。
状況の逼迫感は同じだと思います。

いわゆる普通の暮らしというものと、何が違っているのだろう・・・。
カードが揃えば誰にでも起こりうる事なのだろうか??

日常生活の小さな事柄の積み重ねが、その人の道を作ると思っているのですが、
そこで、何を選ぶか、どうすることを選択するかで
人と人とは大きく違っていくのではないかと、
瑣末な出来事や何気ないやり取りの中での、選択・・・
その選び方にこそ、その人が表れていくのではないかと思いました。。


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