秀明記(syuumeiki)

着物デザイナーが日々感じたこと、
全国旅(催事)で出会った人たちとのエピソードなど・・・
つれずれなるままに。

雨ですナ・・・。(着物話その31)

2006年12月09日 08時52分23秒 | 着物話
風和利さんのブログ見てたら、山梨ではすでに雪降ったみたいですね。

今日の作品は「たれもの」(正絹)の訪問着です。


上前と袖に、蝋纈染めで花を描いてみました。

蝋纈染めはご存知だと思いますが、蝋(パラフィン蝋、木蝋、白蝋)で
防染(色が入らないよう、フタをすると思ってください。)して染める技法です。

蝋を溶かす匂いが結構強いので、苦手な人もいるでしょうね。

↑右手に見える鍋で蝋を溶かしています。

日本に現存するもっとも古い「ろう染め」は奈良時代に製作されて、正倉院に
残っている天平染織だといわれています。

これは三纈(さんけち)の一つ、纈(ろうけち)の技法で染めたものです。
他の二つは、きょうけち(板締め)、こうけち(しぼり)です。

ハイ、そこ!居眠りしてたらあかんぞ。ここ試験に出すゾ!なんてね。
ちょっと退屈な話になりましたな。もう少しご辛抱。

この「ろうけつ染め」も一時期途絶えていたらしく、現在の蝋纈は明治末期から
大正にかけて復活さてたものらしいです。

途絶えた理由は平安貴族が織物嗜好になったこと、平安時代中期に中国
からの蜜蝋の輸入が止まったため、と、いわれてますナ。

連綿と続いている染め技法も、途絶えたり、復活したり、(なかには息絶えた
ままの技法もあるでしょう。)して今に至っているわけです。

今みたいに、精密分析が出来ない時代に、一度途絶えた技法を復元するのは
大変なことだったと思えます。

現在では分析もかなり綿密にできるようになったけど、今度はそれを
復元する職人の手が居なくなりつつあります。

淘汰されるものは仕方無い、といってしまえばそれまでですが・・・。

また、硬めの話になってしまった、と反省しつつ本日はこれまで、デス。