「幻の二条城」、といっても信長が足利義昭のために造営した城の
ことではありません。(場所は烏丸丸太町。70日で完成させたそうです。)
私にとっての、幻なのです。これだけ長いこと京都に暮らしていながら、一度
も見学したことがない。学生時代に一度だけ機会はあったんですけどネ。
当時、友人のS君に二条城へ連れていって欲しい、と頼まれ引き受けたん
です。(彼は車を所有していなかったもんで)
S君は美術美学史を選考しており、なんらかの課題で二条城を見学する必要
が生じたワケです。で、彼を乗せて二条城のガレージに着いてS君はいいました。
「ちょっと待っててくれるか?そのへんで落ちてる入場券の端切れひろってくるでぇ」
(彼は福井県出身で、でぇ、というのは福井弁です。今もこんな喋り口調です)
え、見学せんのんかいナ。ま、そやな、タダで済むならそれにこしたことはない、
とワタクシも納得、せっかくの機会はこうして幻と化したのであります。
その二条城も昨日の日曜日は行楽日よりに恵まれ、大勢の観光客がおしよせた
と思います。しかし長い年月を経て、アチコチ傷みがきているようですナ。
堀川通りからチラリと見ただけでも、こんな具合です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/cf/e0b7ebec0192ecdab2f11dd692d76f8e.jpg)
そこで、京都市は100億円の予算を組んで、一大改修工事に踏みきったそうです。
工期は20年。なんでまたこの不景気に、と思ったら案の定、予算の捻出に大苦戦。
そこで、市民や観光客から一万円以上の寄付をしてくれた人を「一日城主」に認定。
一年間入場無料などの特典で寄付を募っています。
でも、ちょっと待てよ・・。私みたいに生涯一度も入城したことのない京都市民もけっこ
ういますョ。それを一年間無料といわれて、なんもオトク感がないんですけど。
USJやディズニーランドならともかく・・・・。
京都には世界に名だたる大企業も何社かあります。大震災による不況から寄付が
思うように集まらない、という現状もあるでしょうね。
でも、二条城ができたのは徳川幕府が京都を威嚇監視するための意味もありました。
いわば江戸のための城ですわナ。イニシエから京に存在する社寺仏閣ならともかく、
「江戸さんが勝手に建てたお城に、なんでウチがぎょうさん寄付しなあきまへんの?」
なんて大企業のオーナーも密かに思っているかも知れませんナ。
因みに二条城とよばれるようになったのは昭和14年に市に下賜されてからで、それ
までは二条離宮とよばれていたそうです。
皇室と関わりの深い神泉苑の敷地をごっそり拝借したもんだから、市民の反感を緩和
するために、離宮なんて優しげな名称にしたんでしょうかね?
まぁ、来年から工事は始まるそうですが、どうなることやら・・・・・・。