秀明記(syuumeiki)

着物デザイナーが日々感じたこと、
全国旅(催事)で出会った人たちとのエピソードなど・・・
つれずれなるままに。

どうする?

2011年08月16日 09時09分35秒 | 着物話

 最近、着物話から遠ざかってますね、という声がチラホラ聞こえてます。
ん~、あまりいい話が耳に入ってこないもんで・・・・・・。

知り合いの悉皆屋がパンクしたとか、蒸し屋が廃業したとか、そんな話ばっか
りですからねぇ。生糸も高騰するいっぽうです。

このままだと、メイドインジャパンの着物は消滅しちゃいますョ、ホンマ。

華道、茶道の文化がある限り大丈夫、なんて言っても、東南アジアで染めた
のを中国で仕立てて、なぁにが日本文化です?

京都の行政もなんとかしようと三年間で3億の予算を組んで、東京にショップ
を出したりしてるけど、ほんの一部の人だけが潤っているだけです。

なんてゴマメの歯軋りみたいなこと言っててもしょうがないんですけどね。

これからまだまだ、倒産、廃業は増えていきそうな気配です。これは染色や
織物だけの世界ではないと思えますけどね。

なんとか出来る要素はまだ少しだけ残されているけど、私が動ける範囲は
ほんの僅かだし・・・・・。いや、こうなったらイチかバチかやってみますか?
(ホンマかいな?)

 

 


祇園祭りかぁ・・・・・。

2011年07月17日 10時12分53秒 | 着物話

 今年の祇園祭は三連休と重なったもんだから、大勢の人たちが
全国からやって来られるんでしょうね。

↑私はTVでチラッと観ておけば充分。これは牛若丸だそうです。 

相方は今年も祇園催事の仕事が入っているので、店は私の一人
営業です。(一人で充分まかなえるのが悲しいゾ・・・・・)

祇園催事、というのは呉服業界の人間以外には聞きなれない言葉
ですよね。別に知ったところでナンの役にも立たないけど、簡単に
説明しますね。

これは各地の呉服販売店が、京都の問屋さんと提携して、お客様を
祇園祭見学にご招待するイベントです。

ホテルの宿泊費、交通費、食事代もすべてタダ。(経費は店と問屋が
折半しますが、これはケースバイケースです。)

お買い上げいただいたお礼、常に店に貢献してもらっている感謝の
意味もありますが、それだけで高い経費は使えませんよね。

当然、販売会がセットになっています。これはお客様もあるていど
了解済みの部分もあったんですけどね。

「一年に一度のことだし、めったに食べられない京料理も食べさして
貰ったことだし、一つくらいはお付き合いしておきましょうかね」

なんて感じで着物や帯の購入(宝飾などもあります)に至る・・・・。

これが今までのパターンでした。今も続いてはいますが、近頃で
はローン規制の締め付けでかなりしんどい状況になっています。

現金でポン、と支払えるお客様を大勢かかえている店は別として、
分割払いが主になっている店はかなり苦しいですョ、これは。

おそらく、そういった店はもう祇園催事は組めないと思えます。

それでは富裕層(なんだかこの言葉には抵抗を感じますけど)
だけで催事が成り立つのか?

ところが、本当のお金持ちは、ツアー的催事には興味を示さない。

そりゃそうですよね。別にこのクソ暑いときに大勢の人々にもまれ
ながら京都の街なんかうろつきたくないですよね。

それでもまだ、祇園催事で動く金額は半端な数字じゃないと思え
ますが、どうなるのでしょうね、この先・・・・。

昨日はM君が祇園祭の帰りに一人で立ち寄ってくれました。

「ホレ、商売繁盛にコレ飾っておけよ」ってチマキ持ってきてくれ
たけど、コレは厄災よけだってば!

 


水引のお話。

2011年06月21日 15時01分14秒 | 着物話

 最近、とんと遠ざかっている「着物話」です。と、いっても今回は小物。
それもずっとくだけた浴衣用の「かんざし」がコレ↓

まだ一般店には流通しておりません。実は今回の新企画の一つなんです。
これはまだ一部で、これからドンドン企画開発されていきます。

だだし、これに関しては協力、という形だもんで、これ以上詳しくのべるわけ
にはいかないんですけどね。これの素材は水引です。

熨斗袋や、結納品以外には目にすることはほとんど無いんですけどね。

水引のもとは、飛鳥時代に中国との貿易に赤白の紐が結ばれたため。

元結を口にくわえて髪を結う折に口紅が染まった。

水糊を引いたので水引、など諸説あるようです。

一番格の高いのは「うく」と呼ばれ、皇室関係のみに用いられます。(色は玉虫色)

「うく」の次に格の高いのが「金銀」で男女を表現しているそうです。

仏事に使用されるのは「黒白」ですが、京都では「黄白」とされています。葬式の
「くじら幕」の色も京都は本来は黒白ではない、ってのも何かの資料で読んだ気
もするんですけど、今、調べるのはメンドーだし、まぁいいか。

しかし「くじら幕」にしろ「水引」にしろ、京都だけ、ってのは、今ではあまり見かけない
ような気がしますね。

よほど古い家格のおうちは知りませんけどね。ウチなんか三代前に京都に流れ
ついた「血統書付き一般庶民」ですから、シキタリにウトイのは仕方ありません。

シキタリはともかく、こういった水引なども、昔に比べると需要は減っているので
しょうね。とくに手のこんだのは職人も高齢化して、引継ぎが難しくなっていると
思えます。これは工芸全般にいえることかも知れませんけど。

でも、こういった形で技術が伝えられていき、そこからまた新しい展望が見られ
るのはヨロコバシイことだと思います。

着物業界はこれからさらに厳しい時代を向かえそうです。私もカンペキに足を
洗うことは無いと思うけど、しばらくは形を変えつつ、生き延びる手段を考えな
ければ、などとツラツラ思うしだいであります。

参考資料 京の儀式作法書  岩上力  光村推古書院


どうなる?伝統工芸。

2010年11月16日 10時09分25秒 | 着物話
近所にお住まいのY子さん、ご主人は着物作家です。義父も12代続く友禅作家で、私もよく
存じあげてます。と、いうか業界で知らない人間はいないと思うけど。

昨日の夕方、一人でご来店。ご主人の工房の仕入れや支払い業務をこなしてはりますが、
飲みながらのお話は、どうしても業界の先行きというか現状の話になっちゃいます。

なんせ、日本だけでなく、世界的にも有名な義父さんですから、ワタクシごときのレベルで
お話するのもおこがましいんですけどね。

息子さん(ようするに旦那さんです)は別会社で製作されていますから、現在の着物業界
の状況は私が思っている感覚に近いものを感じておられると思えます。

戦後、自国の伝統文化をここまで否定してしまった民族は、いったいドコへいくんダロ?

最近では和柄ブームで少し見直されている部分もあるけど、一過性の流行で終わらなければ
いいんですけどね。

↓これは紋紙(摺り友禅に使用)を使った照明器具です。先日リサーチパークで目にとまりました。


こちらは右京図書館(サンサ右京)で展示されていた京友禅の技法やデザインを使った食器。↓
 
伝統工芸の技法は一旦途絶えてしまうと復活さすために大変な労力が必要とされます。

便利さだけを追い求めた結果が今の日本国の現状です。

淘汰されていくのも時代の流れといえばしかたないけど、ニホン人の心のよりどころも
ちっとは残しておかないと寂しいのではないか?と、ワタクシ思いますケド・・・。





墨流し。

2010年08月05日 09時17分17秒 | 着物話
チカゴロ着物業界からすっかり遠のいた感もありますが、完全に足を洗ったワケではありません。

どうしてもお店のほうが中途半端になるから、催事などはなるべくお断りしてますけどね。

来月は長いお付き合いのある問屋さんの仕事を一件だけお受けしたのは、たまには京都以外
の空気を吸ってみたくなったんですよね。

ま、それはともかく。以前に「糸目友禅」と「ロウケツ染め」のお話をしましたが、今回は
「墨流し染め」。
 

 

墨が日本に到来したのは推古天皇(592~628)の頃といわれています。この墨汁を水面に
浮きながし、波紋状の文様を転写するのが「墨流し」です。

もとは貴族たちが色紙や短冊に染着して楽しんでいた遊戯です。三十六歌仙をしたためた
墨流し使用の和紙も残されていますね。

仁平元年(1151)には越前(福井県)武生に伝わり「越前墨流し」として現代に伝承されて
おります。

これはハンカチですが、着尺の場合約15センチ間隔で伸子張りを施し、13~15メーターの
水槽で染付けていきます。


クーラーや扇風機は使用できないので、夏場にはかなりキツイ作業となります。特に今年の
ような酷暑だと地獄ですョ。夕方から作業にかかるなどして何とか凌がれていますけどね。

墨流しといっても、黒一色だけでは飽きられますから、べレンス、藍蝋、洋紅、鉛白などの
顔料を用いてバリエーションを広げています。

偶発的な文様ですから、図案は無用ですが、訪問着などにする場合は、後から「摺り染め」
や「手描き」で柄をほどこし仕上げます。

なんだか、今回は真面目なブログになってしまったけど、たまにはイイヤネ。

20歳は一生モノ。

2009年12月12日 21時09分51秒 | 着物話
このタイトルは京都の振袖メーカーのキャッチコピー。30歳でも50歳でも
その人にとっては一生モノなんですけど、ナカナカ良くできたコピーだと思います。

今日は土曜日ということもあって振袖のお客様が目立ちましたナ。
(うちのコーナーは振袖は扱ってないから、無関係なんですけどね。)

娘さんのお見立てにお祖母ちゃんや父親が付き添っている姿をみると、
ナルホド、一生に一度のイベントなんだ、と納得できます。

写真はお母さんが着装された振袖に小物を合わせにこられたお嬢さん。
最近は花柄ばかりだけど、こんな古典柄みるとホッとしちゃうオジサンです。




やっぱり着物はいいやねぇ。

2009年11月13日 20時28分47秒 | 着物話
久しぶりの催事、気持ちの切り替えもOK。
睡眠も充分とってるし気力体力とも万全!

今回の帯担当は図案家のY君。(同い年)

最近新しく図案を起こす事もなくなったとか。

近頃ではお寺の天井絵の図案や、輸出用の皮ジャンに竜の
絵を描き込む仕事で糊口をしのいでいるそうです。

廃業、転業を試みるのは簡単だけど、こんなふうに頑張っている
職人もいます。

愚痴こぼしても始まらんし、気張らんと仕方ないわさ。

西陣もタイヘンダ。

2009年09月27日 20時39分27秒 | 着物話
今回の催事でご一緒した帯屋のお父さん。(と、いっても年齢は一回りくらいしか
変わりませんケド)

西陣で生まれ育ったお父さんは、繁栄と衰退を目のあたりにしてきたはります。

ちょっと前まで祇園でブイブイいわしていた機屋の社長が夜逃げなんてザラ。(くらいなら
いいけど・・・・。)

まだ、いい目した人は良いけど、真面目に機織していた職人さんたちは誰も救済
してくれまへん。

織機も今では故障しても西陣では修理できる織機屋が無くて、北陸まで持って
行って修復しなければならない現状だそうです。

「西陣グラフ」も廃刊になったとか・・・。

前原さん、ダム問題もええけど、もうちょっと足元を見たほうがええんとちゃう?

なんて偉そうなこと言える立場でもないんですけどね。

「着物話」のカテゴリー、もっと明るい話題にしたいけど、現場に居るとつい
こんな話になってしまってスンマヘン。

では話題を変えて今夜のワタクシの夕食。

生魚が食べたくて駅中の鮮魚店「大晃」でお買い物。

魚系なら福島駅近辺では一番ですナ。と、いっても比較対象する店がほとんど無い
んですけど。でも8時回ったら鮮魚コーナーがスッカラカンになる「イトーヨーカドー」
より格段によろしいかと思います、私。

今日は鮪の刺身880円が閉店前で半額。京都なら上中トロでとおる品でしたョ。
醤油もしっかり貰って、今夜は大満足!


着物で遊ぼう会。

2009年09月08日 13時19分48秒 | 着物話
「鶏ちゃん」に「女子部」誕生!(女子部というネーミングはイマイチ、という
相方の意見もあるから、正式名はまだ未定ですけどネ)

ナゼかウチの店、女性同士とか、女一人で来店してくださるお客様がけっこう
いてくれはります。

で、これも何かの縁ですから、イベント的集まりを計画できないか?

と、頭をヒネッタ(と、いうほど考えたワケじゃないんですけど)結果、いつも
私や相方が耳にする、

「着物は好きだし、何枚か持っているんだけど、着て行く場所が無いし・・。」
「着付けにイマイチ自信が無い。コーディネイトが分からない」

などなど、というご意見が脳裏をかすめました。

そうだ、相方も私も着物に関しては一応プロなんだし、京都情報にもちっとは通じ
ているんだから、着物でお出かけイベントなんてイインデないかい?

つう事で「着物で遊ぼう会」(仮名称)が発足いたしました。

今のところ、日時や内容は検討中ですが、最初は少人数で、じんわり着物の輪を
広げていくつもりです。

着想後の手入れや洗いなども、知り合いの職人が請け合いますから、安心ですョ。

男子部でゴルフコンペを!という声は常にあるけど、ワタクシ、ゴルフできない
もんネ~。

写真は今春清水で遭遇した「石ちゃん」。いくら参加したい、と言っても、男子
の女装は受付できかねます。あ、でもちょっと面白いかも?