万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌3064 人皆の2876

2019年01月16日 | 万葉短歌

2019-0116-man3064
万葉短歌3064 人皆の2876

人皆の 笠に縫ふといふ 有馬菅
ありて後にも 逢はむとぞ思ふ  

2876     万葉短歌3064 ShuF655 2019-0116-man3064

ひとみなの かさにぬふといふ ありますげ
  ありてのちにも あはむとぞおもふ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第101首。男。
【訓注】人皆(ひとみな)。有馬菅(ありますげ=有間菅)[兵庫県神戸市北区有馬町は当時、菅の名産地。11-2757在間菅]。


万葉短歌3063 浅茅原2875

2019年01月15日 | 万葉短歌

2019-0115-man3063
万葉短歌3063 浅茅原2875

浅茅原 小野に標結ふ 空言も
逢はむと聞こせ 恋のなぐさに  

2875     万葉短歌3063 ShuF655 2019-0115-man3063

あさぢはら をのにしめゆふ むなことも
  あはむときこせ こひのなぐさに
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第100首。女。左注(読下し)に、<或本の歌には「来むと知らせし 君をし待たむ」といふ。また、柿本朝臣人麻呂が歌集に見ゆ。然れども落句(らくく)少しく異なれり。>
【訓注】空言(むなこと)[「空しく思われる言葉。実のない言葉。」 20-4465(長歌)牟奈許等母(むなことも)]。なぐさ(名種)[下記注]。
【編者注-なぐさ】慰。[名](動詞<和(な)ぐ>の終止形+接尾語<さ>)心を慰めるもの。〔『詳説古語辞典』〕


万葉短歌3062 忘れ草2874

2019年01月14日 | 万葉短歌

2019-0114-man3062
万葉短歌3062 忘れ草2874

忘れ草 垣もしみみに 植ゑたれど
醜の醜草 なほ恋ひにけり  

2874     万葉短歌3062 ShuF651 2019-0114-man3062

わすれぐさ かきもしみみに うゑたれど
  しこのしこくさ なほこひにけり
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第99首。女。
【訓注】忘れ草(わすれぐさ=萱草)。しみみに(繁森)[2018-0220-man2748、2016-0605-man2124各注参照]。醜の醜草(しこのしこくさ=鬼之志許草)[02-0117鬼乃益卜雄(しこのますらを)、04-0727鬼乃志許草(しこのしこくさ)、13-3270鬼之四忌手乎(しこのしこてを)、20-4373之許乃美多弖等(しこのみたてと)]。


万葉短歌3061 暁の2873

2019年01月13日 | 万葉短歌

2019-0113-man3061
万葉短歌3061 暁の2873

暁の 目覚まし草と これをだに
見つついまして 我れを偲はせ  

2873     万葉短歌3061 ShuF650 2019-0113-man3061

あかときの めさましくさと これをだに
  みつついまして われをしのはせ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第98首。女。
【訓注】暁(あかとき=五更)[2014-1108-man1545注参照。下記注]。目覚まし草(めさましくさ=目不酔草)[忘れ草か]。我れ(われ=吾)。
【編者注-あかとき】02-0105鶏鳴、06-1000暁、-1062(長歌)暁、07-1263暁、08-1507暁、-1545五更、-1605暁、09-1729暁、10-2182暁、-2213五更、-2269暁、-2306暁、11-2664暁、-2800旭時、12-3003五更、-3035暁、-3061五更、15-3627(長歌)安香等吉、-3641安可等伎、-3665安可等吉、17-3945阿加登吉、18-4084安可登吉、19-4166(長歌)暁、-4171暁、-4181暁、20-4384阿加等伎。


万葉短歌3060 忘れ草2872

2019年01月12日 | 万葉短歌

2019-0112-man3060
万葉短歌3060 忘れ草2872

忘れ草 我が紐に付く 時となく
思ひわたれば 生けりともなし  

2872     万葉短歌3060 ShuF650 2019-0112-man3060

わすれぐさ わがひもにつく ときとなく
  おもひわたれば いけりともなし
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第97首。女。
【訓注】忘れ草(わすれぐさ=萱草)[下記注]。我が紐に付く(わがひもにつく=吾紐尓著)[「この<紐>は<下紐>。04-0727参照。<付く>は他動態動詞下二段の終止形]。
【依拠本注-忘れ草】萱草(かんぞう)。夏から秋にかけて黄赤色の花をつけるユリ科の多年草。中国で愁いを忘れる草と信じられていた。集中にも用例多数。着物の下紐に付けると効果が高いとされていたらしい。
【編者注-わすれぐさ】03-0334萱草、04-0727萱草、11-2475恋忘草(こひわすれぐさ)、12-3060萱草、-3062萱草。


万葉短歌3059 百に千に2871

2019年01月11日 | 万葉短歌

2019-0111-man3059
万葉短歌3059 百に千に2871

百に千に 人は言ふとも 月草の
うつろふ心 我れ持ためやも  

2871     万葉短歌3059 ShuF650 2019-0111-man3059

ももにちに ひとはいふとも つきくさの
  うつろふこころ われもためやも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第96首。女。
【訓注】百に千に(ももにちに=百尓千尓)。月草(つきくさ)。移ろふ心(うつろふこころ=移情)。


万葉短歌3058 うちひさす2870

2019年01月10日 | 万葉短歌

2019-0110-man3058
万葉短歌3058 うちひさす2870

うちひさす 宮にはあれど 月草の
うつろふ心 我が思はなくに  

2870     万葉短歌3058 ShuF650 2019-0110-man3058

うちひさす みやにはあれど つきくさの
  うつろふこころ わがおもはなくに
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第95首。女。
【訓注】うちひさす(内日刺)[03-0460(長歌)内日指 京思美弥尓(うちひさす みやこしみみに)、04-0532打日指 宮尓行児乎(うちひさす みやにゆくこを)、07-1280撃日刺 宮路行丹(うちひさす みやぢをいくに)、など]。月草(鴨頭草)[下記注]。うつろふ心(うつろふこころ=移情)。我が(わが=吾)。
【編者注-つきくさ】04-0583月草、07-1255月草、-1339鴨頭草、-1351月草、10-2281鴨頭草、-2291鴨頭草、11-2756月草、12-3058鴨頭草、-3059月草。


万葉短歌3057 浅茅原2869

2019年01月09日 | 万葉短歌

2019-0109-man3057
万葉短歌3057 浅茅原2869

浅茅原 茅生に足踏み 心ぐみ
我が思ふ子らが 家のあたり見つ   

2869     万葉短歌3057 ShuF650 2019-0109-man3057

あさぢはら ちふにあしふみ こころぐみ
  あがおもふこらが いへのあたりみつ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第94首。男。左注(読下し)に、<一には「妹(いも)が 家のあたり見つ」といふ>。
【訓注】茅生(ちふ)。心ぐみ(ここごぐみ=意具美)[「心に痛みを覚えて晴々としない意の形容詞<心ぐし>(04-0735)のミ語法」]。我が(あが=吾)。家のあたり(いへのあたり=家当)。


万葉短歌3056 妹が門2868

2019年01月08日 | 万葉短歌

2019-0108-man3056
万葉短歌3056 妹が門2868

妹が門 行き過ぎかねて 草結ぶ
風吹き解くな またかへり見む   

2868     万葉短歌3056 ShuF645 2019-0108-man3056

いもがかど ゆきすぎかねて くさむすぶ
  かぜふきとくな またかへりみむ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第93首。男。左注(読下し)に、<一には「直(ただ)に逢ふまでに」といふ>。
【訓注】風吹き解くな(かぜふきとくな=風吹解勿)。
【類想歌】02-0141  磐白乃 浜松之枝乎 引結 真幸有者 亦還見武  有間皇子
              (いはしろの はままつがえを ひきむすび まさきくあらば またかへりみむ)


万葉短歌3055 山菅の2867

2019年01月07日 | 万葉短歌

2019-0107-man3055
万葉短歌3055 山菅の2867

山菅の やまずて君を 思へかも
我が心どの このころはなき  

2867     万葉短歌3055 ShuF645 2019-0107-man3055

やますげの やまずてきみを おもへかも
  あがこころどの このころはなき
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第92首。女。
【訓注】山菅(やますげ。[下記注])。君(きみ=公)。我が心ど(あがこころど=吾心神)[「心の鋭さ、気力」。下記注]。このころ(頃)。
【編者注-やますが・やますげ】両訓の異同については、編者注は保留とする。
【編者注-こころど】03-0457心神毛奈思(こころどもなし)、-0471情神毛奈思(こころどもなし)、11-2525吾情利乃(あがこころどの)、12-3055吾心神之(あがこころどの)、13-3275情利文梨(こころどもなし)、17-3972許己呂度母奈思(こころどもなし)、19-4173吾情度乃(あがこころどの)。


万葉短歌3054 相思はず2866

2019年01月06日 | 万葉短歌

2019-0106-man3054
万葉短歌3054 相思はず2866

相思はず あるものをかも 菅の根の
ねもころごろに 我が思へるらむ  

2866     万葉短歌3054 ShuF645 2019-0106-man3054

あひおもはず あるものをかも すがのねの
  ねもころごろに あがおもへるらむ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第91首。男。
【訓注】ねもころごろに(懃懇)[「ねもころに」の重畳表現。下記注]。我が(あが=吾)。
【編者注-ねもこのごろに】12-2857菅根之 惻隠々々(すがのねの ねもころごろに)、13-3284菅根之 根毛一伏三向凝呂尓(すがのねの ねもころごろに)、20-4454須我乃根能 袮母許呂其呂尓(すがのねの ねもころごろに)。


万葉短歌3053 あしひきの2865

2019年01月05日 | 万葉短歌

2019-0105-man3053
万葉短歌3053 あしひきの2865

あしひきの 山菅の根の ねもころに
やまず思はば 妹に逢はむかも  

2865     万葉短歌3053 ShuF644 2019-0105-man3053

あしひきの やますがのねの ねもころに
  やまずおもはば いもにあはむかも
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第90首。男。
【訓注】あしひきの(足桧木之)。ねもころに(懃)。


万葉短歌3052 かきつはた2864

2019年01月04日 | 万葉短歌

2019-0104-man3052
万葉短歌3052 かきつはた2864

かきつはた 佐紀沢に生ふる 菅の根の
絶ゆとや君が 見えぬこのころ  

2864     万葉短歌3052 ShuF644 2019-0104-man3052

かきつはた さきさはにおふる すがのねの
  たゆとやきみが みえぬこのころ
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第89首。女。
【訓注】かきつはた(垣津旗)[下記注]。佐紀沢に(さきさはに=開沢)[「平城京の北の水上(みずかみ)池周辺の湿地帯か。」ほかに 04-0675咲沢、07-1346生沢]。このころ(頃者)[下記注]。
【編者注-かきつはた】07-1345垣津幡、-1361垣津幡、10-1986垣津幡、11-2521垣幡、-2818垣津旗、-3052垣津旗、17-3921加吉都播多。現代語の表記は、杜若・燕子花・かきつばた。
【編者注-頃者(このころ)】04-0713、08-1603、10-1889、-2335、11-2745(ころ)、12-3022(~の)、-3052、-3055(~は)、16-3859。


万葉短歌3051 あしひきの2863

2019年01月03日 | 万葉短歌

2019-0103-man3051
万葉短歌3051 あしひきの2863

あしひきの 山菅の根の ねもころに
我れはぞ恋ふる 君が姿に  

2863     万葉短歌3051 ShuF644 2019-0103-man3051

あしひきの やますがのねの ねもころに
  あれはぞこふる きみがすがたに
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第88首。女。左注(読下し)に、<或本の歌には「我(あ)が思ふ人を 見むよしもがも」といふ。>
【訓注】あしひきの(足桧之)。ねもころに(懃)。我れは(あれは=我波)。君が姿(きみがすがた=君之光儀)。


万葉短歌3050 春日野に2862

2019年01月02日 | 万葉短歌

2019-0102-man3050
万葉短歌3050 春日野に2862

春日野に 浅茅標結ひ 絶えめやと
我が思ふ人は いや遠長に  

2862     万葉短歌3050 ShuF644 2019-0102-man3050

かすがのに あさぢしめゆひ たえめやと
 あがおもふひとは いやとほながに
=出典未詳。
【編者注】「寄物陳思」(2964-3100、137首)の第87首。男。
【訓注】春日野(かすがの)[表記初出は、03-0372(長歌)に題詞として、-0405に短歌として、-0460に長歌として]。浅茅標結ひ(あさぢしめゆひ=浅茅標結)。我が思ふ人(あがおもふひと=吾念人)。いや遠長に(いやとほながに=弥遠長尓)。