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A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ベテランブルース歌手の復活は、名プロデューサーとアレンジャーのお蔭・・

2015-01-11 | PEPPER ADAMS
Every Day I Have The Blues / Jimmy Rushing

ジャズを聴く時の楽しみのひとつは演奏する曲のバリエーションの豊富さだ。POPS系は常に新しいオリジナルが求められるし、クラシックは過去の作曲家の作品の再演だし・・。
ジャズの場合は、もちろんオリジナル曲も楽しみだが、昔から演奏されているスタンダードでも、演奏者の解釈で全く違う曲想にも変わってしまうのも楽しみ。ビッグバンド好きとしては、何もアドリブだけではなく、アレンジも妙による変化も含めて。
もう一つはブルースの存在だ。ジャズとブルースは切っても切れない関係。アルバムでもライブでも、ブルースの曲が登場すると何故かジャズを聴いているという感じがして嬉しくなるものだ。

巨漢のブルース歌手ジミーラッシング。ベイシーオーケストラの専属歌手として有名になった。ベイシーの専属歌手というとジョーウイリアムスが有名だが、これはお馴染みベイシーの第2期の黄金時代の話。初期のベイシーというと、このジミーラッシングになる。
1936年からベイシーがオーケストラを解散する1950年まで専属歌手を務めた。当時の歌はあまり多くは聴いた事が無いが、有名なデッカ時代の録音だけでも、多くの曲で彼の歌を聴ける。

元々ブルース歌手として活躍していたのでブルースはお手の物だが、このベイシーオーケストラではスタンダード曲も歌っている。ベイシーと共にニューヨークに出てくるとラッシングのブルースも泥臭いブルースから、都会的なブルースに更に変っていった。
ベイシーを辞めた後も、他のバンドに加わってゲスト出演したり、ベイシーオーケストラ出身のメンバーや、ズートシムスやアルコーンのグループと一緒に行動し、歌手生活を続けていた。

1967年1月、久々に自らのリーダーアルバムのレコーディングを行った。プロデューサーはボブシール。あのインパルスレーベルの黄金期のプロデューサーだが、そのシールが同じABC傘下にブルースに特化した別レーベルBlueswayを立上げ、そこでこのアルバムEvery Day I Have The Bluesが誕生した。

ここでは、もちろん全曲ブルース、ブルース歌手のラッシングとしてのリステージアルバムとなった。この時ラッシングは66歳、声の衰えはあるものの元気に歌いきっているが、流石シールのプロデュース、ラッシングを支えるバッキングも色々と考えられたものとなっている。

まずは、バックのアレンジを担当したのがオリバーネルソン。その頃のネルソンは本体のインパルスの自分のアルバムだけでなく数々のアルバムのアレンジャーとして大忙しであった。
ネルソンは、有名なアルバム「ブルースの真実」そしてその続編を残したように、「ブルース」に関して何か自分自身の想い入れもあったようだ。アンサンブルにはブルース特有のコテコテサウンドではなくスマートなネルソン節を感じる。リズムに、ジャズ畑のジョージデュビビエ、グラディーテイトを起用している効果も大きい。ピアノのハンクジョーンズは多くの曲でピアノではなくオルガンを弾いているがこれも珍しい。

ブルースは誰か掛け合いの相方がいた方がいい。今回の相手は最初のベイシーオーケストラ時代のメンバーでもあったトロンボーンのディッキーウェルズ。トランペットのクラークテリーもお仲間だった。そしてブルースには欠かせないギターだが、これは奏者不明となっている。

1月9日にこのメンバーで8曲の録音が行われた。そして翌日の10日に追加で一曲Evil Bluesの録音が行われたが、メンバーが一部入れ替わる。ギターがケニーバレルに、オルガンにシャーリースコット。それにペッパーアダムスが新たに加わる。

ペッパーアダムスのメモには、当日の事は「オリバーネルソンのセッション、そして録音場所の住所だけ」が記されていたという。ネルソンから急にお呼びが掛かったのかもしれないが、何故この曲だけが別扱いになったのか、そしてアダムスが参加したのかの真相は分からない。確かにアンサンブルは厚みが増したが。

このCDには、インパルスから再リリースされたものだが、もう一枚のアルバムLivin' The Bluesが一緒にカップリングされている。
こちらも同じブルースウェイのアルバム。翌年1968年の録音だが、こちらの相方はテナーのバディーテイトが務める。テイトも昔の仲間、そしてテイトの音色も呼吸もピッタリ合ってラッシングを支える。このアルバムのアレンジャーは明記されていないが、同じような編成でもネルソンのサウンドとは異なる。

そして、もう一つの特筆すべきはピアノのデイブフリッシュバーク。自分はコンコルドのアルバムや、CTIのカエルのアルバムしか知らなかったが、実は白人ブルース弾きのピアニストとしてラッシングもお気に入りだったそうだ。今ではプレーヤーとしてより、作曲家、作詞家としての方が有名だが、この人も才能豊かで何が本業か分からない人だ。

このレコーディングセッションに一曲だけに参加したアダムスの、サドメルでの活動が本格化しビレッジバンガードでのレギュラーライブ以外での演奏も多い中でのスタジオワークの一コマである。ボビーハケットのバックのオーケストラの仕事があるかと思えば、こんなセッションもあった。スタジオミュージシャンとして大変なことでもあり、楽しい点でもあっただろう。

このアルバムも、アダムスのお蔭で聴く事になったが、LP2枚分ブルース漬けとなるのも初体験。だが、ブルースは何故か聴き続けても苦にならないし、結果的に楽しめたアルバムだ。

1. Berkeley Campus Blues    Bob Thiele / George David Weiss 3:06
2. Keep the Faith, Baby         Shirley Scott / Rick Ward 2:48
3. You Can't Run Around       Count Basie / Jimmy Rushing 4:04
4. Blues in the Dark         Count Basie / Jimmy Rushing 3:45
5. Baby, Don't Tell on Me  Count Basie / Jimmy Rushing / Lester Young 2:40
6. Every Day I Have the Blues             Memphis Slim 2:52
7. I Left My Baby     Count Basie / Andy Gibson / Jimmy Rushing 4:28
8. Undecided Blues                 Jimmy Rushing 5:18
9. Evil Blues   Count Basie / Harry "Sweets" Edison / Jimmy Rushing 2:58
10. Sent for You Yesterday (And Here You Come Today) Count Basie / Eddie Durham / 4:14
11. Bad Loser                   Rose Marie McCoy 4:20
12. Sonny Boy Blues            Bob Thiele / George David Weiss 4:47
13. We Remember Prez                    Dicky Wells 4:57
14. Cryin' Blues             Bob Thiele / George David Weiss 4:40
15. Take Me Back, Baby             Count Basie / Tab Smith 6:13
16. Tell Me I'm Not Too Late              Rose Marie McCoy 7:38


Jimmy Rushing (vol)

#1〜9
Dicky Wells (tb)
Clark Terry (tp)
Bob Ashton (ts)
Pepper Adams (bs) #9
Hank Jones (p,org)
Shirley Scott (org) #9
Unknow    (g)
Kenny Burrell (g) #9
George Duvivier (b)
Grady Tate (ds)
Oliver Nelson (arr.)

Recorded at Capital Studio, New York, January 9 & 10,, 1967

#10〜16
Buddy Tate (ts)
Dicky Wells (tb)
Wally Richardson (g)
Hugh McCracken (g)
Dave Frishberg (p)
Bob Bushnell (eb)
Joseph "Kaiser" Marshall (ds)

Recorded at Capital Studio, New York, 1968

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