A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

レコメンドはコンピューターから勧められるより人からの方がよい・・・・

2015-01-15 | MY FAVORITE ALBUM
'S Wonderful / Marco Guidolotti Quartet

北海道の地方都市の小さな書店の「一万円選書」なるサービスが話題になっている。
書店の店主が、購入者のプロファイルや読書傾向を一人一人考慮し、お勧めの本を一万円分選んでくれるサービスの様だ。今の時代の流れに逆行する、超アナログで人間的な心の通うサービスだ。注文受付に待ちが生ずる程人気が出るのも頷ける。

街の本屋さんが消えて久しい。学生時代帰りに寄った駅前通りにあった自宅近くの書店が無くなったのはもう何年も前だ。毎日数多く出版される本の中から自分の好みの本を探すのは大変だ。昔は、ぶらりと寄った書店をうろつきながら、どんな本が出ているかを知り、そして話題になっている本の情報は自然と把握していた。その中から実際に手にして目を通すことも。書棚の見回りと立ち読みは、レコードのジャケ買同様、本との出会いの大事な場でもあった。

しかし、最近は昔のように何か面白そうな本を探しに大きな書店をうろつく事も少なくなってしまった。目標が明確であれば、本を買う場合も最近はネットの利用が多くなってしまっている。これもレコード同様、新刊のみならず古本が探しやすくなって便利なのだが、本と出会う機会自体は減ってしまっている。

先日、ベイシーオーケストラのライブを聴きに行ったお蔭で、女性バリトン奏者のLauren Sevianと出会えた。古いアルバムの棚卸と、棚卸ついでに気になった古いアルバムを聴くので手一杯で、なかなか新しいアルバムやミュージシャンを聴く機会は少ない。新しいミュージシャンを知るのはやはりライブが一番だ。
他にもこれはというアルバムはやはり聴いてみたいが、どこから手を付けたらよいのか? 今更手当たり次第に買う気もしないし。

そこで最近役立つのは、同好の士のブログの記事。読者になると大体好みも分かるし、視聴傾向も分かるようになる。その人のお勧めと自分の好みとが合致した場合は聴いてみたくなるものだ。
このアルバムもその一枚。拙ブログの読者になって頂いているルネさんのブログのお勧め盤にあったのが気になっていた。これは一度聴かねばと思い先日入手したが、確かにイメージ通りのなかなかいいアルバムだ。

Marco Guidolotti のカルテットはベイカー&マリガンカルテットのカバーを基本にしているとはいえ、中身はスケールアップした感じで、力強さが全然違う。
元となるマリガンのカルテットもハードバップ物と較べるとちょっと聴いた感じではアレンジは多いし、プレー自体も軽い感じがする。ところが良く聴くとアドリブの自由度も高いし、小さい音と大きな音のメリハリが効いていて、小さい音でも力強さを感じる事もある。2人の掛け合いだけでなくリズムの2人とのコンビネーションの良さも大事な要素だ。

Marco Guidolotti のカルテットもこの良さをもちろん引き継いでいるが、楽器の鳴りも良く、ダイナミックレンジが更に広がった感じだ。小型スピーカーを大型のスピーカーに替えたような感じがするのは録音の良さだけではなさそうだ。
ベイカーは同じバリトンのペッパーアダムスとコンビを組んだ事もある。この2人だったらきっとこんな演奏だったのではないかと勝手に想像してしまう。
曲もマリガンナンバーが多いが自分のオリジナルも含めて、単なるコピーではなくマリガンスタイルをすっかり自分達の物にしているのが素晴らしい。

バリトンファンとしてはまた新たな注目株と出会えたのも嬉しい。
日本にも確かベイカー&マリガンカルテットをカバーしたグループがあったように思う。今度一度ライブを聴いてみようと思う。カバーと言ってもこの位吹っ切れたプレーが聴けると嬉しいのだが。

良いアルバムに出会えたが、やはりコンピューターが選ぶ機械的なお勧めではなく、推薦者の意思が感じられるお勧め盤には間違いが無い。
ジャズの世界も多くのレビュアーがいらっしゃる。一万円選書ならぬ、一万円選アルバムがあってもいいかもしれない。そして、それは昔の評論家達がそうであったように、自分の好みで独断と偏見を持ったお勧めの方がいい。

1.  Reunion        (Gerry Mulligan)
2. ‘S Wonderful      (George Gershwin)
3.  G & C         (Marco Guidolotti)
4.  Four for Three     (Gerry Mulligan)
5.  Orazio         (Marco Guidolotti)
6.  Tea for Two       (Vincent Youmans)
7.  Night Lights      (Gerry Mulligan)
8.  Say Yes, Say No     (Marco Guidolotti)
9.  Nothing like This    (Marco Guidolotti)
10.  Bernie’’s Tune     (Gerry Mulligan)

Marco Guidolotti  (bs)
Francesco Lento  (tp, flh)
Marco Loddo  (b)
Giovanni Campanella (ds)

Recorded at MamoCenter Theater, Rome, on June 23-24, 2014



'S Wonderful
クリエーター情報なし
Tosky Records
コメント (2)
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