A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ギターとバイオリン、グラッペリとラインハルトが生み出した古きヨーロッパジャズの組み合わせだが

2015-01-09 | CONCORD
Stephanova / Stéphane Grappelli & Marc Fosset

デュエットのアルバムというと、昔はビルエバンスのアンダーカレントくらいしか聴かなかった。特にドラムとベースが無い様な演奏は何となくジャズとは言えないような気がしたものだ。

最近は、反対に妙にデュエットに嵌る事が多い。アルバムだけでなくライブでも同様だ。
2人が直接向き合ってお互いを聴き刺激しながら高まっていく様は、聴いている方でも取り込まれていくことがある。大きな編成でのバトル物も考えてみればデュエットの延長のような物だが、純粋デュエットの良さはバラードでのコラボーレーション。アップテンポのバトル物とは違ったインタプレーが楽しめる。また、かえってドラムが居ないデュエットで2人のリズム感がピッタリ合った時の心地よさも格別なものがある。

この、アルバムもギターとバイオリンのデュエットだ。ジャズではなかなか珍しい組み合わせだ。ステファングラッペリはジャンゴラインハルトと組んだフランスホットクラブという五重奏団を組んだ。ギターを含む弦楽器だけのこのサウンドが、グラッペリの原点であり、ヨーロッパジャズの一つの原点でもある。



このバンドが活躍したのは戦前、そして戦後すぐまでの話。ジャズがモダンジャズの世界に転じていく中。グラッペリはジャズに拘らず色々なジャンル、そして色々なプレーヤーと共演するようになった。不思議とだれとやっても、そして何をやっても上手く合わせられるのは、楽器のせいか、演奏のせいか、それとも人柄なのか・・・・?
しかし、ホットファイブで培われたギターと組んだサウンドがグラッペリの原点だと思う。

コンコルドでアルバムを作るようになった時、再びギター2本を加え新ホットファイブ的な編成、そしてサウンドのアルバムを作った。曲はジャズでよく採り上げるスタンダード中心だが、オリジナルやスティービーワンダーの曲なども取り入れて、まさにNew wine in old bottleの上手くいった形となった。コンコルドの、何も新しい事ばかりでなく、昔の良い所を取り戻そうよというコンセプトにピッタリだった。

そのグラッペリが、ここではギターとのDuoにチャレンジしている。相手は、コンコルドでは良きコンビであったマーチンテイラーではなく、新たにフランス出身のマークフォセットを起用した。

マイルスの曲で始まるのも新鮮だが、いきなりエキサイティングなプレーが始まる。デュオ故の緊張感が良い感じだ。ギターも単調なリズムというよりは、いわゆるジャズギターの特徴でもある歯切れの良い変化に富んだリズムで、メロディアスなコードワークも展開する。もちろんそれに乗るグラッペリのバイオリンはいつものように自由奔放、変幻自由。デュオという新たな世界を楽しんでいる。

このアルバムも何故かカナダまで遠征しての録音。その理由は分からないが、前回紹介したFraser Macphersonの録音と一緒に行われたようだ。オーナーのカールジェファーソンもグラッペリの新たな試みのプレーにはご満悦だっただろう。

1. Tune Up                  Miles Davis 2:31
2. Thou Swell       Lorenz Hart / Richard Rodgers 3:06
3. Norwegian Dance            Edvard Grieg 3:45
4. Fulton Street Samba           Marc Fosset 3:30
5. My Foolish Heart     Ned Washington / Victor Young 3:25
6. Lover           Lorenz Hart / Richard Rodgers 3:46
7. The Way You Look Tonight   Dorothy Fields / Jerome Kern 2:35
8. Stephanova                  Marc Fosset 3:14
9. Smoke Rings and Wine   Ralph MacDonald / William Salter 3:54
10. Tangerine          Johnny Mercer / Victor Schertzinger 2:59
11. Waltz for Queenie             Stéphane Grappelli 2:23
12. Sonny Boy    Lew Brown / Buddy DeSylva / Ray Henderson / Al Jolson 3:11

Stéphane Grappelli (violin)
Marc Fosset (g)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Roger Monk
Recorded at The little Mountain Sound Studios, Vancouver, June 1983

Originally released on Concord CJ-225
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