A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

お目当てのライブ自体は期待はずれであったが、思わぬ収穫が・・・

2015-01-08 | MY FAVORITE ALBUM
Blueprint / Lauren Sevian

最初にお断りしておく。今日の主役Lauren Sevianが期待外れであった訳ではないので誤解のないように。

昨年の暮れも押し迫って、丁度クリスマス時期に、カウントベイシーとディーディーブリッジウォーターの共演ライブがあった。それぞれ昨年来日したばかりであったが、その時のライブがどちらも想像以上に良かったので、「その2人の共演という事であれば、新たな収穫が得られるのでは?」と期待して出掛けてしまった。

会場のブルーノートのプログラムは、通常1部、2部の構成で入れ替え制。それぞれが実質1時間半である。出演するミュージシャンにもよるが、この1部、2部のプログラムが違う場合もあれば、全く同じ場合もある。これは行ってみなければ分からない。

大物2人のジョイントあるいはゲスト出演というのは、集客効果を狙ってか最近よく行われる。特に、ビッグバンドだとボーカルとのセットが多い。その前に行われたボブミンツァーとニューヨークボイセズもそうだった。ビッグバンドだけだと集客が難しいのか?

さて、今回のベイシーとブリッジウォーターであるが、実際のステージは最初にベイシーオーケストラだけが登場してベイシーナンバーを数曲。クリスマスということもあり、最近は指揮に徹しているリーダーのスコッティーバーンハートがトランペットでウィンターワンダーランドを披露。余興と言えばそれまでだが、あまり盛り上がりもせず、すぐにブリッジウォーターの登場となった。

彼女の歌だけでなくステージ上のアクションやトークの素晴らしさは前回も体験済み。ベイシーオーケストラをバックに快調に飛ばすがどうもしっくりこない。彼女も自ら紹介していたが、この時使用していたアレンジは、彼女の前夫のセシルブリッジウォーターやスライドハンプトンの作品とのこと。今回、特に彼女とベイシー向けにアレンジしたものではなさそうだ。当然と言えば当然だが、であれば特にベイシーオーケストラである必要は無かったのでは?思ってしまう。

過去にベイシーオーケストラをバックにした名歌手のアルバムはシナトラやジョーウリアムス、を筆頭にエラやサミーデイビスなど数多くある。アレンジは誰であっても、どれもベイシーオーケストラのサウンドの良さに、歌手の持ち味を上手く重ね合わせたアルバムになっている。共演だからと言って、勝手にベイシーサウンドをバックにしたブリッジウォーターの歌を期待した自分が間違いだったといえばそれまでだが。

さらに、所詮1時間半のステージに無理矢理2人を詰め込む企画も如何なものか?と思ってしまう。2人の単独のステージが良かっただけに、余計に感じてしまうのかもしれないが、今回はベイシーオーケストラの良さを感じるシーンが殆どなかった。
その昔、ネームバリューのある大物をひたすら集めて、手抜きコンサートをやられていた時代もあったが、その再来を危惧してしまう。

さて、あまり満足できなかったライブであったが、ひとつの収穫はベイシーオーケストラのバリトン奏者だった。ベイシーオーケストラのメンバーは最近固定しているが、唯一来日の度に替わるのが、このバリトンの椅子だった。
今回のバリトンは金髪の美女。それだけでまずは気になった。このようなステージだったので、もちろん彼女のプレーがどのような物なのかを確認する場面も無かったが、気になったので家に帰って忘れないうちに早速調べた。

最新情報に疎い自分にとって、最近の若いミュージシャンは、何かきっかけが無いとなかなか知る機会がない。世間ではそれなりに名が通っていても最新事情には浦島太郎で、普段から「誰、それは?」を連発している自分にとっては、Lauren Sevianという名前はもちろん初耳であった。

最近便利なのは、彼女のBioもすぐにネットで調べられること。調べてみると、ニューヨークのビッグバンド界ではなかなか積極的に活動しているのが分かる。ベイシーだけでなく、ミンガスビッグバンドでも活躍しているし、スイング系のバンドにも参加している。ミンガスビッグバンドでは、アルバムになったメンバーにも入っていたとは気が付かなかった。

ビッグバンドだけでなく、コンボでの活動も行っていて、自分のグループも持っているという。その中で見つけたリーダーアルバムがこれだ。バリトンを手にする美女。昔のようにジャケ買をしていれば、間違いなく手にしたとは思うが、最近のネットのショッピングでは、お勧めにも出てきたこともないアルバムだ。

早速買い求めたアルバムが到着したので聴いてみると、実に新鮮だ。コルトレーンが好きということもあり、プレーはモーダルだが実に綺麗な音色で流暢なフレーズを吹く。バリトンの場合は、豪快をアピールすると音が汚くなったり、図体が大きいせいかフレーズ作りがたどたどしくなりがちだが、彼女の場合はどちらもクリア。あまり女性らしさは感じないが端正な音色だ。自分としては、ペッパーアダムスの孫弟子とも思うが、彼女自身は、セシルペインの影響を一番受けているとのことで、ペインに捧げた曲も作っている。

プレーぶりはこちらで↓ まずは圧倒される。



いずれにしても、道でちょっと見かけた女性といきなりデートしたような物。それも最先端のファッションに身を固めた姿で。彼女の魅力はこの一枚では分からない。もう少し付き合ってみると、もっと違った側面や良さが分かるかもしれない。まずは合格点、少し追いかけてみようと思う。

こんなファンクもやっているようなので、



期待したベイシー&ブリッジウォーターは期待外れだったが、彼女と出会えたのが大成果。やはりライブで実物に接すると何か収穫があるものだ。

1. Bluepoint
2. Elusive Illusion
3. Not So Softyly
4. One For C.Payne
5. Gesture Of No Fear
6. True
7. For Mr. Stubb
8. Outline
9. Intepid Traveler
10. The Free Effect

Lauren Sevian (bs)
George Colligan (p)
Boris Kozlov (b)
Johnathan Blake (ds)

Special Guest Mike DiRubbo (as)
Recorded by Reed Taylor at Lofish Studio, New York, December 10, 2007


Blueprint
Lauren Sevian
CD Baby

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