A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

腰の重い人を動かすには、こちらが出向かなければならないことも・・・・

2014-12-23 | CONCORD
Indian Summer / The Fraser Macpherson Quartet

ジャズファンというものは、日頃ジャズを楽しんでいる中で、ファンである故の熱い想いが生じることがある。此のミュージシャンのアルバムは全部揃えてみようとか、あのアルバムを何とか手に入れたいとか。あるいは、アルバムだけでは満足できずに、なんとかライブを聴いてみたいものだとか・・・。

普通のジャズファンだとここまでだが、プロデューサー業をしていると想いはさらに広がる。この2人の共演をさせたいとか、この曲をやってもらいたいとか。そして、まだ知られていないミュージシャンを世に出すのに一役買うのも夢の一つだろう。

コンコルドのオーナーであったカールジェファーソンはベテランジャズプレーヤーの復活を多く手がけたと同時に新人の発掘も行った。レーベルを設立して10年近く、多くの夢を実現してきたが、まだ「この人」をと、密かにアルバム制作に想いを馳せていたミュージシャンは多くいたであろう。

その一人が、このアルバムの主役Fraser Macphersonであった。

カナダ出身のジャズミュージシャンは何人もいる。有名どころではオスカーピーターソンであり、メイナードファーガソンであるが、2人とも若い頃からすでにアメリカで活躍していた。改めてカナダといわれても、ピンとこないものがある。

ところがカナダ国内で活動しているミュージシャンは、なかなか聴く機会もないので名前すら知らない。このマクファーソンは、カナダといっても東海岸バンクーバーを拠点としていたモダンスイング系のサックス奏者。カナダの中でもローカルで活動していた一人だ。クラリネットやフルートも吹くマルチプレーヤーだが、レスター系のサックスのプレースタイルは、まさにジェファーソンの好みにピッタリであった。

早速、マクファーソンは地元のマイナーレーベルで出したことのあるアルバムを、Concordのカタログに載せた。それが、前作”Fraser Macpherson Live at The Planetarium”であった。ドラムレスのギターとベースのトリオ。実にいい雰囲気の演奏だ。当然、新たな録音のラブコールを送り続けていたようだが、なかなか実現には至らなかった。

そのアルバムの録音から5年経って、北村英治のアルバムにひょっこり登場した。ちょうどコンコルドジャズフェスティバルが行われた直後のセッション、プレーザーもフェスティバルに出演するためにシスコへ来ていたのかもしれない。しかし、ここでもフレーザーのアルバムは作られなかった。

それから3年、ジェファーソンもなかなか実現しないセッションに痺れを切らせたのかもしれない。なかなか来れないのであれば、こちらから乗り込むと腹を決めたのか、フレーザーの地元バンクーバーに自ら乗り込むこととなった。ただし、メンバーの人選や曲の選定はフレーザーにお任せという前提で。

メンバーには、プレーザーとは長年コンビを組んでいるギターのオリバーギャノンがまずは参加した。前作のアルバムでも一緒にやっているが、バックにソロにフレーザーのテナーにはピッタリ呼吸が合う。ギター好きのジェファーソンにとっても、この2人が一緒にプレーするには願ったり叶ったりであった。

そして、ドラムは地元のメンバーではなく、ジェファーソンの片腕でもあるジェイクハナが参加する。ハナも是非一緒にプレーしたかったテナー奏者だったということで、遠くシカゴから一夜のセッションのために駆けつけた。もう一人、ベースはフレーザーが東海岸に行く時はいつも一緒にプレーしていたスティーブウォーレスが参加することに。このウォーレスは、Concordで同じくカナダのエドビケットのアルバムを作った時に参加している。

ハナを除けばフレーザーは勝手知ったメンバーということもあったのだろう、録音は9曲中5曲をファーストテイクで、4時間ほどですべての録音を終えた。アルバムはリカードボサノバで軽快に始まるが、まるでレギュラーグループのような一体感と気楽な感じが漂う好演が続く。ジェファーソンが思い描いていたイメージとまさにピッタリであったと思う。

翌年のコンコルドジャズフェスティバルにはこのフレーザーもエドピケット共々参加し、コンコルドにもアルバムをさらに残すことに。

自分の好みのプレーヤーというのは、アルバムが作られていなくても世の中には沢山いるのだ。自分もいつかどこかで出会うことを願って探索を続けることにしよう。

1. Recado Bossa Nova 
2, As Long as I Live 
3. Sophisticated Lady 
4. 'S Wonderful
5. 'Deed I Do 
6. Indian Summer
7. All My Life 
8. Just My Luck 
9. Long Ago (And Far Away) 

Fraser Macpherson (ts)
Oliver Gannon (g)
Steve Wallace (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Engineer : Roger Monk
Recorded at The Little Mountain Sound Studios, Vancouver, British Columbia, Canada June 1983
Originally released on Concord CJ-224

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