A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

昔の珍しいライブレコーディングが発掘されてくるが、このミンガスのグループにアダムスも・・

2014-07-18 | PEPPER ADAMS
The Complete 1961-1962 Birdland Broadcasts / Charles Mingus & The Jazz Workshop All Stars

ニューヨークの名門ジャズクラブBirdlandが生まれたのは1949年12月、自分が生まれた年である。場所は1678 Broadway、ジャズのメッカであった52nd streetのすぐ北。1965年店を閉めるまでの間、古くは店の名前の由来となったチャーリーパーカーを始めとして、多くの有名ジャズミュージシャンが出演した。



ジャズメッセンジャーズの54年のライブ録音が有名だが、ここでのライブ録音が他にも多く残されている。レギュラーグループ以外にもMonday Nightのジャムセッションやバードランドオールスターズなども生まれた。ビッグバンドではメイナードファーガソンのドリームバンドもここで生まれたし、カウントベイシーがニューヨークで拠点にしていたのもこのバードランド。先日紹介したこのバードランドのライブはその店内の熱気を伝えてくれる。座席数は400、今も残る名門Village Vanguardに較べるとかなり大きな店構えだったようだ。

実は、このバードランドのオーナーMorris Levyは有名なマフィアのエンタメ部門を指揮っていた人物、このバードランドを舞台にしっかり金儲けの構造を作っていった。
時はまさにバップ、ハードバップの全盛期。まずは、このクラブに出演するミュージシャンを売り込むためにラジオ放送を始めた、さらに彼らの演奏をレコードにするためにルーストレーベルを買収し、新たにルーレットレーベルを作った。まさに、コンテンツビジネスのはしりのマルティメディア展開である。

カウントベイシーは、このルーレットレーベルの看板スターだったが、それはギャンブル好きのベイシーの借金のかたにレコーディングを重ねたためとも言われている。さらに、ジョージシアリングの作った名曲ララバイオブバードランドでひと儲けすると、著作権ビジネスにも興味を持ち、ミュージシャンの権利を徐々に召上げていった。

当然、マフィアとなると麻薬ビジネスも商売の内。ミュージシャンに麻薬漬けにしていったのも実は彼らの仲間だったのかもしれない。ジャズの興隆に一役買った人物も裏から見るとこれが実態だったようだ。

さて、このバードランドにはチャーリーミンガスも良く出演していた。ミンガスがワークショップを主催していた時、そのお披露目の場がバードランドあった。当然、ラジオ放送もありその模様が残されている。

ジャズファンにも色々いるが、このラジオ放送をせっせとエアチェックしていたのはBoris Roseというマニア。時には、ラジオに飽き足らずクラブに直接出向いた事もあったそうだ。テープレコーダーが世に出る前は、カッティンマシーンでディスクを作り、テープレコーダーを手に入れてからは、自宅で休むことなく何台ものレコーダーを操っていたとか。2010年に亡くなったが、そのテープの山はブロンクスの自宅の作業場に残されている。陽の目を見たのはまだ一部、娘のエレーヌが引き継いだが貴重なジャズの歴史の遺産となっている。



ミンガスのバードランドの1961年と1962年の演奏はCD3枚組に収められている。時期によってメンバーは替わっていくいが、常に変わらないのはミンガスワールド。
ペッパーアダムスが登場するのは62年10月19日と26日の録音。この前の5月のセッションには秋吉敏子が参加しているが、9月にはバードランド以外でアダムスは敏子と一緒にプレーをしている。メンバーが常に入れ替わっていたという事になる。

10月はラジオ放送があった日以外もミンガスのグループでバードランドに出続けていたが、実はその最中の12日にあのタウンホールコンサートが開かれた。この後、11月もミンガスグループと行動を共にしており、この間のアダムスはミンガス漬けとなっていた。

2日間の演奏を比較すると同じ曲もあるが、両方の演奏を較べるとソロオーダーを含めて内容は微妙に違う。Eat That Chikenはバンドのテーマソングで毎回登場するが、これも微妙に違いがあるのが面白い。The Searchはどう聴いてもメロディーも原曲I Can’t Get Startedだが、きっと回を重ねるにしたがって曲も変化していったのだろう。

今までに世に出ていたアルバムの行間を、新たに発掘されるプライベート録音が埋めることにより、その当時のミュージシャンの全貌が徐々に明らかになってくる。一時ヨーロッパのテレビ局の映像や音源が多く世に出た。そして、モンタレージャズフェスティバルのライブ音源も、宝の山は他にも多くありそうなので今後も楽しみだ。

アダムスのソロも聴けるMonk, Bunk and Vice Versa



<Disc1>
1. Mouroog
2. Ecclusiastics
3. Hog Callin’ Blues
4. Dead Air wit Symphony Sid
5. Take The A Train
6. Fables of Faubus
7. Eat That Chicken
8. Monk, Funk Or Vice Versa
9. Oh, Lord, Don’t Let them Frop It On Themselves,Coz They made It
10. Eat That Chicken

1-3 October 21,1961
Chaeles Mingus (p)
Jimmy Knepper (tb)
Yusef Lateef (fl)
Rahsaan Roland Kirk (ts,mazello,stritch)
Doug Watkins (b9
Dannie Richmond (ds)

4-7 March 24,1962
Charles Mingus (b)
Richard Williams (tp)
Booker Ervin (ts)
Charles McPherson (as)
Jaki Byard (p)
Danny Richmond (ds)

8-10 March 31, 1962
Charles Mingus (b)
Booker Ervin (ts)
Richard Williams (tp)
Charles McPherson (as)
Toshiko Akiyoshi (p9
Danny Richmond (ds)

<Disc2>
1. Eat That Chicken
2. Reets And I
3. Monk,Funk Or Vice Versa
4. Devil Woman
5. Eat That Chicken
6. Introduition by Symphony
7. Peggy’s Blue Skylight
8. Ysabel’s Table Dance
9. Eat That Chicken

1-5 May 5,1962
Charles Mingus (b,p)
Booker Ervin (ts)
Richard Williams (tp)
Charles McPherson (as)
Toshiko Akiyoshi (p)
Herman Wright (b)
Henry Grimes (b)
Danie Richmond (ds)

6-12 May 12, 1962
Charles Mingus (b)
Richard Williams (tp)
Booker Ervin (ts)
Charles McPherson (as)
Toshiko Akiyoshi (p)
Henry Grimes (b)

<Disc3>
1. The Search(I Can’t Get Started)
2. Monk,Funk Or Vice Versa
3. Please Do7nt Come Back From the Moon
4. Eat That Chicken
5. Eat That Chicken
6. Monk,Funk Or Vice Versa
7. O.P.
8. The Search(I Can’t Get Started)

1-4 October 19,1962
Charles Mingus (b)
Edward Armour (tp)
Don Butterfield (tuba)
Charles McPherson (as)
Pepper Adams (bs)
Jaki Byard (p)
Danny Richmond (ds)

5-8 October 26, 1962
Charles Mingus (b)
Edward Armour (tp)
Don Butterfield (tuba)
Charles McPherson (as)
Pepper Adams (bs)
Jaki Byard (p)
Danny Richmond (ds)




Complete 1961-62 Birdland Broadcasts
Charles Mingus
Rare Live Recordings
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