A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

大きなステージでのビッグバンドのライブもいいが、客席が近い小さなクラブでのライブも一段と・・

2014-06-07 | MY FAVORITE ALBUM
Basie At Birdland / The Count Basie Orchestra

昔から実力者と活躍しながら、活動の拠点をサンフランシスコに置いていたこともあり、ジャズ界全体の最盛期には表立ってはあまり活躍しなかったが、何枚かのアルバムを残し、ヨーロッパに渡ったポニーポインデスター。その代表的なアルバムはこの前紹介した”PONY’S EXPRESS”

ところが、彼の実力を早くから見抜いていた作曲家がいた。ベイシーオーケストラの作編曲で有名なニール・ヘフティーだ。1951年にこのポインデスターに捧げた”リトルポニー“という曲を作り、ベイシーオーケストラが演奏している。
このポインデクスターのニックネームも”little Pony”という。どちらが先は分からないいが、このリトルポニーという曲はベイシーオーケストラでも定番になっている一曲だ。1951年の初演でフィ-チャーされたのは、テナーのワーデルグレイ。



ポピュラーになってその後のベイシーだけでなく、他のグループでも演奏されることは多い。
ベイシーの後継バンドともいえるナットピアースとフラーキャップのジャガーノーツでも演奏しているし、そのまた流れを組む日本のジャガーノーツも。




ベイシーのライブ物といえば、このバードランドでのライブアルバムを外す訳にはいかない。このアルバムの一曲目がそのリトルポ二―で始まる。
この、ライブにも参加しているジョンヘンドリックスも、ランバート・ヘンドリックス&ロスのスタート時にこの曲をレパートリーに加えている

ベイシーオーケストラのライブ物はニューポートをはじめてとした大きなステージでの演奏が有名だが、いわゆる小振りのクラブでの演奏はこのバードランドでのライブが代表格。お馴染みのベイシーナンバーの定番が次々と登場するが会場の雰囲気と実にマッチして、いつも以上のノリを聴かせてくれる。

このバードランドのオーナーであったモーリス・レヴィーは、1957年にルーレットレーベルを興す。この当時のバードランドはニューヨークの中でもジャズ通りともいわれた52丁目にあって、そこの出演したミュージシャンはジャズの歴史そのものだ。そして、それまでにもこのバードランドでのライブアルバムというのは数多くあった。
レヴィーが自分でルーレットレーベルを作ってからは、バードランドオールスターを編成しそのアルバムを作り、このバードランドでのライブアルバムを数多く制作した。

人気のベイシーオーケストラは、全米どころか世界中をツアーしていたが、ニューヨークでの本拠地はこのバードランド、そしてルーレットレーベルの看板オーケストラでもあった。
という訳なので、ベイシーのこのバードランドでのライブというのは、いつもやり慣れたホームグラウンドのライブ、それ故のリラックス感とスイング感は格別だ。巨人ファンがやはり巨人戦を観るなら後楽園での観戦が一番というのと相通じるものがある。
このアルバムも “Basie is Back Home” とサブタイトルがついている。

ルーレット時代のカウントベイシーというのは第2の黄金期といわれているオールスターメンバーだが、それでもその間若干のメンバーチェンジがあった。この年の初めにはジョーニューマン、アルグレイ、ビリーミッチェルという重鎮が抜けたが、この録音が行われた6月までには、そのひび割れも完璧に穴埋めされ、完璧な状態でのライブであった。
この録音は3本のマイクで録られたそうだ。それ故、会場の話し声なども生々しいが、特にベイシーのソロの時に目立つ。ホールではなくクラブとはいえ、日本のライブでは考えられない騒々しさだ。これも観客と一体となったアメリカンスタイルのステージだともいえるが、雰囲気はより伝わってくる

CD盤になって、LPで未収録であった他の曲も収められよりライブの全容が見えるようになった。ルーレットからリプリーズに移籍してからのベイシーオーケストラは、演奏する曲も当時のヒット曲などが多くなったが、ここでは50年代のベイシーオーケストラが十八番としていた曲が並ぶ。メンバーだけでなく選曲もベストオブベイシーだ。
クラブでのライブということもあるのだと思うが、セグエインCなどは、ソロをタップリのロングバージョン。サドメルのライブなどでも良くあったが、ビッグバンドのライブでの盛り上がりは楽しみのひとつだ。
先日紹介した 向井志門のビッグバンドはこんな演奏を目標としているのだろう。

そして、ちょうどこの年、翌月のバードランドはドナルドバード&ペッパーアダムスクインテットのミューヨークでの最後のライブであった。

1. Little Pony         (Neal Hefti) 2:22
2. Basie           (Ernie Wilkins) 3:23
3. Blues Backstage      (Frank Foster) 4:58
4. Blee Blop Blues    (Ahmad Kharab Salim) 2:17
5. Whirly-Bird          (Hefti) 3:59
6. One O'Clock Jump       (Count Basie) 0:55
7. Good Time Blues        (Wilkins) 6:40
8. Segue in C          (Frank Wess) 9:18
9. One O'Clock Jump"       (Basie) 4:41
10. Easin' It"            (Foster) 5:41
11. A Little Temp, Please"       (Hefti) 3:02
12. Corner Pocket      (Freddie Green) 5:07
13. I Needs to Be Bee'd With   (Quincy Jones) 4:23
14. Discommotion         (Foster) 4:16
15. Segue in C         (Wess) 8:11
16. Whirly-Bird         (Hefty) 3:43
17. One O'Clock Jump     (Basie) 1:02

The Count Basie Orchestra

Count Basie (p)
Sonny Cohn (tp)
Thad Jones (tp)
Lennie Johnson (tp)
Snooky Young (tp)
Benny Powell (tb)
Quentin Jackson (tb)
Henry Coker (tb)
Marshall Royal (as,cl)
Frank Wess (ts.as,fl)
Frank Foster (ts)
Budd Johnson (ts)
Charlie Fowlkes (bs)
Freddie Green (g)
Eddie Jones (b)
Sonny Payne (ds)
Jon Hendricks (vol)

Recorded live at Birdland, New York, On June 27 & 28 1961


Basie at Birdland
Count Basie
Blue Note Records

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3 コメント

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存じませんでした (コーラス好き)
2014-06-07 20:22:27
「ところが、彼の実力を早くから見抜いていた作曲家がいた。ベイシーオーケストラの作編曲で有名なニール・ヘフティーだ。1951年にこのポインデスターに捧げた”リトルポニー“という曲を作り、ベイシーオーケストラが演奏している。」

エ~ッ!と驚いております、そうだったのかあと。御紹介のYouTube拝聴しましたがワーデル・グレイの肩の力が抜けたブロウが実に粋でいなせで心地よいです。ビッグバンドの演奏も楽しませて頂きました。ニール・ヘフティから曲を捧げられたなんて名誉なことですよね。しかもポニーの雰囲気がよく出ているというか、やはりポインデクスターのプレイに触発されて書かれた曲なのかなと思います。コーラスずきとしてはもちろんLambert, Hendricks & Rossも大好きでして・・、愉快な史実を教えて下さってありがとうございます。ポニーといえばリー・コニッツ、フィル・ウッズ、レオ・ライト、スティーブ・キューンらと録音した68年のMPS盤『Alto Summit』も圧巻の出来栄えでした。
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ベテランの吹奏の暖かみ (コーラス好き)
2014-06-09 02:52:40
YAN様、たびたび失礼致します。

小生のコメントにつきましてはYAN様の御賢慮で反映の可否をご判断下さいませ。前回のコメントも反映をご容赦願えればと存じます。返信等に貴重なお時間を取らせること全く本意ではなく心苦しいばかりですので。音楽以外のコメントは(空気次第でコメントそのものも)控える所存です。さて、本日はクリフィード・アダムスというトロンボーン奏者の『The Master Power』という作品を入手しました。ジャケに挿まれた小さな紙にサド・メル楽団やエリントン楽団にいた人という解説がありましたので興味を惹かれて買って参りましたが、朴訥とした暖かみのある吹奏が気に入りました。これが初リーダー作のようですがYAN様はよく御存じかもしれません。本作につきましてはピアノがケニー・バロンであることも作品の価値を高めていると思います。以下amazon のリンクで試聴できます。

Adams, Clifford: The Master Power(NAXOS 1998 )
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00000AENO/ref=dm_ws_ps_cdp?ie=UTF8&s=music
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コメントありがとうございます (YAN)
2014-06-09 22:07:00
何となく良く聴く曲でも、いわれやその成り立ちをたどると意外な事実があるものです。

コメントの可否はあまり気になさらずに。情報提供は有難いので歓迎ですが、コメント返しは適当にスルーしますので。

サドメルのメンバーは大部分記憶に留まっているつもりでしたが、このもう一人のアダムスは欠落していました。
確かに、ローダスコットとのアルバムや、Live at Munchには参加していました。その後の活動は全くフォローできていませんでした。今度機会があったら聴いてみます。
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