叔父の妻だった和子さんの旧姓は山田であって、平凡な姓だから名前はもう少し凝ったものにしてほしかったと、よく笑いながら言っていたが、それはその通りだと思う。 たとえば、歴代総理の中から探してみて、山田でなく西園寺だったとすれば、これはもう和子であれ花子であれ、充分にひとめをひく名前だと言える。 姓には山田のみならず、鈴木・佐藤・田中のように、学級には必ず1人2人いるものがあるが、そういう人達は、ファーストネームは凝ったものにしたほうがいいような気がする。しかし、平凡な姓である吉田茂氏も、長女に和子(麻生太郎氏の母)と名づけている。 また、吉田茂氏が変化球的な名前を考えるというのも似合わないだろう。 父方の祖母の名前は「せい」で、旧姓は山郷(やまごう)である。 山郷は重量感のある姓だから、「せい」という軽い名前に合うと思うのだが、結婚前から「清子」という漢字にしていた。 別の話になるが、私は「都道府県名は姓で、市区町村名がファーストネーム」と思うことががある。 たとえば、同じ東京(姓)であっても江東(子)と杉並(子)では兄弟であっても性格はうんと異なるように、市区町村名には個性があるのではないか。 そのことは、皆さんから頂戴した年賀状の住所を眺めてみるとよく感じる。 神奈川県藤沢市と神奈川県葉山町は距離的に近いし、海岸線でもつながっているが、やはり名前の印象が違う。 空気が違う。 そこに住んでいる人々の顔が違うと、そんな気がしてくる。姓は大雑把な個性であり、名は細やかな個性だという気がする。
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