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小博奕

2016-10-03 21:16:15 | 日記
日曜日になると向かい側の家で麻雀をやっていた。その家の主は国鉄の社員だった。左隣に住む高校生と徒歩3分のところに家のある市役所勤務のオッチャン、自転車でやって来る関東配電(現在の東京電力)で働くオッチャンが集まった。 おもしろそうなので、私はいつもそのゲームを観ていた。最初は中学2年の時だった。兄貴分である高校生(私より3つ年上で、実に好い人だった。ケンカも強く、不良じみていたが、そこも魅力になっていた)が、1局ごとに勝ち負けのポイントを説明してくれた。中学3年になった頃、メンバーの1人が遅刻したり、用事ができて欠席したりすると、私がピンチヒッターを務めるようになった。レートはたしか千点30円だったが、私は10円で参加した。まだ、ドラのない時代だったから、安い遊びだった。それでもおもしろかった。楽しかった。休日が楽しみだった。麻雀が自分に合っているような気がした。それが私の麻雀という小博奕の入門だった。以後、高校生・大学生になっても、バイト時代もサラリーマン時代も、団地での近所付き合いも、麻雀によって私の交際範囲は広がった。男性に限れば、私の親友は、すべて酒の友、麻雀の友である。


マッサージの訪問介護に来てくれている重田名人と付き添いのオーナーと雑談する。私が医療費1割負担の老齢者であることはもちろん2人は知っている。それをありがたく思っていることも何度か話している。だから、というわけではないが、私は毎週馬券を買っているのだと言うと、名人もオーナーも笑う。何を勝手なことを言っているんだといった表情になる。競馬は小博奕である。しかし、25パーセントのテラ銭(税金)を支払う。当たり外れにかかわらず支払う。私の買う額は、出走頭数やレースの面白度によって異なるが、ま、土曜日・日曜日に5千円ずつとして月に4万円、1年にすると約50万円だから、12万5千円の税を支払う計算になる。言い方を変えると、馬券を買わない人よりは私は12万5千円多く、毎年税金を払っていることになる。競馬、競輪、オートレース、ボートレース、いずれも小博奕である。しかし、その小博奕が国や地方公共団体の財布にとっては、大きな存在ではないだろうか。これが私の、小博奕好きの老人の自己弁護であります。