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たばこ

2015-11-21 23:07:25 | 日記
昭和の時代に作られた映画やドラマを観ると、やたらと煙草を吸うシーンが出て来る。「煙草は動くアクセサリー」という専売公社のコマーシャルがあったが、アクセサリーどころか、煙草は完全な演技用具になっている。葉巻を咥えて貫禄のあったジャン=ギャバン、細巻きならハンフリー・ボガートだった。石原裕次郎さん、渡哲也さんも煙草の演技が目立った。
男子社員が10人、女子社員が5人ほどの事務室があって、男はすべて喫煙者というのが、私のいた会社の光景だった。更に他の部課から、あるいは下請け会社から人が集まる。それが男なら、彼らもまた煙草の箱から1本抜き出してマッチを擦る。 特に長い会議などがあると、煙の部屋になった。それでも女子社員からの抗議が出なかったのは、もう、そういう時代だったと言うほかにない。しかし、いま考えてみれば、申し訳ないことをしていたなぁと思う。
世は平成となって、スモーカー達は肩身が狭くなった。ふと思うのは、酒場ではどうかということである。酒を呑みながらの煙草は旨い。特にバーなどで、ちょっと高いウィスキーを口にするときなどは、どうしても静かにニコチンを喉へ送りたくなるものだ。その次がトイレで、煙草の香り抜きで便座に腰掛けるというのは、考えられなかった。 それでも私は20年前に煙草をやめた。このことは繰り返しなるが、やめられたのは決して意志の強さなんていうものではなく、ただ私が本物の愛煙人間ではなかったというだけのことだ。ホンモノの人達は今、ベランダに出て、ひとりさびしく空を見ながら、ゆっくりと紫煙を楽しんでいるのだろう。