Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

新疆騒ぎ

2009-07-11 05:22:28 | Weblog
新疆ウイグル自治区で5日起きた騒乱は、イタリアでサミット参加中の胡錦濤・国家主席を急遽帰国させるほど、中国指導部を震撼させる出来事になった。
毎週金曜日はイスラム教徒にとってモスクで礼拝する最も重要な日。10日金曜日、中国当局は安全確保のため、ウルムチ市では礼拝を中止するよう指導した。写真は05年夏にウルムチ市を訪れたときの二道橋市場そばのモスク。

中国当局が礼拝禁止を決めた本当の目的は、もちろん安全確保のためではなく、ウイグル族たちが一堂に集まり、“よからぬこと”を相談することを阻止するため。逆効果なんじゃないかな。公の礼拝を中止させられたことで、かえって彼らが地下にもぐり、“もっとよからぬこと”を相談する口実を作ってしまった。宗教にとって弾圧されればより燃えるわけで、信仰心の高まりはかえって、反中国当局、反漢民族の意識を高揚させてしまう。イスラム教徒にとって死者は殉教者になるわけで、彼らが死を恐れず戦うことはイラク戦争でも明らかだ。

ところで、中国共産党当局は、ウイグル族たちのデモ、騒乱を事件発生早々から一貫して「世界ウイグル会議」とラビア・カーディル議長が首謀者だと決め付け、ことあるごとにそう宣伝している。一方、カーディル議長は関与を否定している。もちろん中国国内のウイグル族たちが、独自の考えでデモを計画していたとはいえないが、世界ウイグル会議が関与していたかどうかに関わらず、そもそもが暴力的なデモだったとは考えにくい。むしろ中国国内のウイグル族たちに、漢族と中国共産党当局に対する不満が鬱積していて、公安側の強硬的な阻止行為を受け、張り詰められていた糸がプッツリ切れるように爆発したと考えるのが普通だ。
チベット族とダライ・ラマ14世の場合と同様に、中国当局は国内の民族融和を図るため、諸悪の根源は海外の一部扇動者にあると押し付け、国内のウイグル族の反抗は多めに見ようとの考えだ。
にもかかわらず、最悪の状況は、ウルムチで漢族がウイグル族排斥のデモをはじめたことだ。こん棒など武器を持って、イスラム教徒にとって最も神聖なものであるモスクに投石するというおろかな行為を招いてしまった。
胡錦濤が急遽帰国したのも、おそらく漢族がこのような行動を起こしてしまったことを受けたものだと考えられる。漢族の行動には海外の扇動者に責任を押し付けるわけにはいかないからだ。
新疆ウイグル自治区の混乱は一筋縄ではいかず、チベットのように数年にわたり緊張が続くと考えられる。