Takepuのブログ

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薄煕来「独占」インタビュー!?

2012-05-12 20:39:06 | 時事
産経新聞系の夕刊紙「夕刊フジ」が11日、失脚した薄煕来・前重慶市党委書記と北京市内の高級ホテル、北京飯店で食事をしながら単独インタビューした、との記事を載せた。インタビューは4月26日、とされていて、薄煕来が政治局委員と中央委員の職務停止が発表されたのは4月10日。すでに党中央規律検査委員会に軟禁状態にされた状態で事情聴取を受けているはずだが、夕刊フジの記事は、「国会新聞」の宇田川敬介次長が、以前総合スーパー「マイカル」の中国進出時の法務交渉担当を務めていたことから、大連市長時代の薄煕来や妻で英国人ビジネスマン殺害容疑がかけられている谷開来と交流があり、今回の「独占インタビュー」は、薄家族の状況について確認するため宇田川次長に捜査協力を求めてきており、この見返りとして「写真と録音はNG」との条件で会食を許されたとしている。中国の情報機関「国家安全部」の監視のもと、軟禁状態にある薄煕来と3時間にわたって会食した、としている。

記事の内容は、2000年ごろ宇田川次長が薄と谷の離婚調停にかかわったとし、薄は離婚したがったが息子の将来や本人の出世の妨げになる、として離婚をとどまった、と説明したという。谷容疑者に殺人容疑がかかっていることから、薄は妻の悪口を言い始め「離婚しておけば良かった」などと発言したとしている。

権力闘争、との見方については「マフィアと癒着し排除された市幹部の残存勢力にはめられた」と否定したという。

信じるも信じないも勝手だが、香港や台湾のメディアはほぼ抹殺状態だ。写真も録音もないインタビューは信用しろ、というのが無理だ。

中国報道に詳しい台湾紙「旺報」は、軟禁状態にある薄煕来に対して日本人が食事しながら話を聞けるというのは実に不可思議な話で、最近ボツボツ出ているさまざまな薄関連の報道と同様に、「ニュースの背後に別のニュースがある」と分析している。すなわち、中国共産党最高指導部の中にいろいろな見方があり、その自らの政治的意図を達成させるために情報を流した、という。もう少し言うと、薄煕来を擁護する勢力が、薄の失脚、スキャンダルの罪状となったものは、精神的に追いつめられた妻の谷開来の殺人事件などに端を発するもので、罪をほぼすべて「精神を病んだ」谷に押しつけて、薄の罪を軽くしよう、あるいは復活の余地を残そう、との考えから出されたものだ、と見る。最近の薄関連ニュースは大体が英国や米国からのもので、いずれも谷が精神的に追いつめられておかしな事をやった、というものが多いという。

シンガポール紙「星洲日報」も、薄煕来は党中央規律検査委員会で調査しているのに、夕刊フジの文章ではインタビューを監視しているのは、(薄に同情的な)周永康・党中央政法委員会書記(中央政治局委員、序列9位)が管轄する「国家安全部」だ、と指摘している。

この辺は、一応日本のメディアに対して礼を尽くして「ガセだ」とまでは言っていないが、うさんくさく疑わしく見ているのは間違いない。

米国で反中国の論陣を張る華字サイト「博訊新聞網」は、信頼できる消息筋からの情報として、この記事は薄擁護勢力による捏造で、完全な誤りだ、と断言している。中央紀律検査委の管轄で調べているのに、国家安全部が出てくるのはおかしい、安全部と連携があるソースのニュースではないか、としている。

そもそも玉石混交の中国報道だが、日本のメディアまで巻き込まれ、利用されるというのは、ちょっといただけない。その辺は中国や香港、海外華人メディアも見る目を持っていて、冷静だ。江沢民前国家主席死去誤報など、産経はミソをつけすぎではないか。中国問題について色の付いた目で見過ぎて、読者をミスリードするのは勘弁願いたい。


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