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最上の自然

自分の見たものを自由気ままに紹介していきます。
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腹面の黒紋

2013-10-12 23:58:21 | 水生昆虫
エゾゲンゴロウモドキの腹面は一般的には黄褐色で斑紋がなく、近縁種のゲンゴロウモドキ[Dytiscus dauricus]は黒紋を有することからこの特徴は「日本のゲンゴロウ」でも種を同定するときに使われる区別点の一つとなっている。
過去に北海道で採集した際には全ての個体が黄褐色一色で斑紋がなく、図鑑の通りだと思っていたが、山形県で採集した際に斑紋があるものもいるということを知った。

これは2012年の新潟県での採集品。山形県でもこのような感じで後脚付け根付近の左右に黒紋が見られる。
黒紋の大きさには変異があるが、普通はあっても腹節の第1節のみに出ることが多く第2節にまで出ることはあまりない。

これは昨日載せた雌の腹面。左の個体は黒紋が非常に発達しゲンゴロウモドキと見間違えるほど。この場所では11個体(7♂♂4♀♀)を見たが、まったく黒紋がない個体から上の写真左のような非常に発達するものまで様々な変異を見ることが出来た。

本種は他の変異として雌の上翅に溝が有るものと無いものが知られているが、普通は溝があり、溝がないものは非常に稀。
これは遺伝で決まるようで生息地が限られているようですが、私は北海道と山形県でそれぞれ確認済み。今回確認した4♀♀は溝がありましたが、おそらく新潟県内でも溝が無い個体が出ると思うので、今後はこちらも探して行きたいと思ってます。

エゾゲンゴロウモドキの幼虫発見

2013-09-24 13:00:00 | 水生昆虫

エゾゲンゴロウモドキ Dytiscus marginalis czerskii
2013年9月 新潟県

昨年見つけた新潟県のエゾゲンゴロウモドキ。県内では2010年(その数年前から採集はされていたらしい)に初めて記録されたが、灯火での採集で、生息環境はわかっていなかった。
今年は発生している証拠として、前回の記事には初夏に幼虫を探しに行くと書いておいたが、結局探しにはいけず秋になってしまった

9月になってから、エゾゲンモの♀を採ってないことを思い出し、昨年の採集地へ。もう新成虫の時期なので、幼虫は無理かと思っていたが運よく幼虫を発見!ついに県内での発生地を確認することが出来た。しかし肝心の成虫は採集できず…。端境期?
ちなみに今回幼虫を確認した場所は昨年成虫を確認した池とは別の場所。直線距離で1km弱しか離れていないが一応は新産地。やはりこの近辺では広範囲に生息している可能性が高いが、昨年採集したのは分散個体の可能性もあるかもしれない。


今年幼虫を採集した場所。沢水が入るのか水温は低く、水草のようなものはない。
深いところは胸くらいまで水があるが、大部分は膝以下の水深。ミズスマシが非常に多く、軽く百個体以上がクルクル回っていた。


こちらは昨年成虫を確認した場所。沢水が入り水温は低い。水草は一部にヨシが生えるのみ。
すり鉢状の池で水深は非常に深い。ウェーダーでも縁を歩くのが精一杯。

クロサワツブミズムシ

2013-09-08 23:56:34 | 水生昆虫

クロサワツブミズムシ
2013年9月 新潟県

体長1mmちょいの非常に小さい水生昆虫。指の先の黒い点がクロサワツブミズムシ。この写真の中に3頭写ってます。
コマルシジミガムシと同じように岩盤の染み出し水などに生息しているが、コマルシジミガムシよりも生息環境は限られるようで、今のところ知っている生息地は県内で2ヶ所のみ。


道路脇の削られただけのようなところでも生息している。
ここではコマルシジミガムシは確認できず、本種のみが多産していた。

チュウブホソガムシ

2013-08-22 10:38:39 | 水生昆虫

チュウブホソガムシ Hydrochus chubu
2013年8月 新潟県(トリミング)

大きさ2.5mmほどのホソガムシの仲間。本州、四国、九州と広く生息しているが、生息地は局地的で各地で減少している。
私は山形県(2ヶ所)と新潟県(1ヶ所)で確認しているが、生息地での個体数はそこそこ多く、枯れたヨシなどの上を歩いていることが多い。
写真は夜間、ヨシの葉を歩いていたもの。

エゾカノシマチビゲンゴロウ

2013-01-13 23:46:26 | 水生昆虫

エゾカノシマチビゲンゴロウ Oreodytes alpinus
2012年5月採集 北海道十勝支庁

未整理の標本から発掘したもの
国内では北海道にのみ見られる流水性のゲンゴロウの仲間。
網走支庁には某図鑑にも載った非常に有名な産地があるが、十勝支庁内でも見つけられるとは思わなかった。
ちなみに見つけた産地は2産地(それぞれ別河川)で、生息地での個体数はまあまあ多い。

コガシラミズムシ

2013-01-11 23:42:04 | 水生昆虫

コガシラミズムシ Peltodytes intermedius
2012年7月採集 新潟県産

本種も北海道から九州まで広く生息する。コガシラミズムシ属。
昨日のクビボソコガシラミズムシとは違い、広範囲に見られ、圃場整備された田んぼなどにも多く、もっとも身近で見られる種類。
藻類を食べるので、アオミドロのような藻が溜まっているところでは一網で何十と入ることもしばしば。

クビボソコガシラミズムシ

2013-01-10 23:40:28 | 水生昆虫

クビボソコガシラミズムシ Haliplus japonicus
2012年7月採集 新潟県産

北海道から九州まで広く生息するコガシラミズムシの仲間。
コガシラミズムシよりも小さく、頭部が黒いのが特徴。
図鑑などでは池や放棄水田などの止水域で得られると書いてあるものが多いが、どちらかと言うと多少流れのあるようなところを好むような気がする。
北海道・山形県・新潟県でそれぞれ採集しているが、北海道では河川で、山形県では湧水の流れる用水路で、新潟県では沢水の入る池などで確認している。


北海道の採集環境


新潟県の採集環境

ヒメミズカマキリ

2012-11-16 23:21:26 | 水生昆虫

ヒメミズカマキリ 
2012年10月 新潟県

名前の通り、ミズカマキリよりも一回り小さな水生半翅の仲間。
ミズカマキリと混生することもよくあるが、本種は平地では見られない。
やや水深が深めの池を好むことが多いように思うが、結構まちまちで、いるところといないところの差は結局よくわかりません

写真は木陰の多い養鯉池で撮ったもの。
ミズカマキリと混生していて、一網入れるごとに両種が10頭前後入るという以上に密度の高い池だった。

シャープゲンゴロウモドキ

2012-10-29 23:54:24 | 水生昆虫

シャープゲンゴロウモドキ Dytiscus sharpi
2005年採集

国内のゲンゴロウモドキの仲間では最も分布域が広い。新潟県が北限で中国地方まで点々と記録がある。
しかし本種も各地で減少が著しく、レッドリストでは一番絶滅の危険性が高い絶滅危惧ⅠA類に指定されている。
そして2011年4月からは国内希少野生動植物種に指定され、採集・譲渡・売買などは禁止された。


2005年撮影

やっぱり生きているときが綺麗。