2016/01/06
「いま少し語り足りない思いあり土に埋もれるカンアオイかな(鳥海明子)」
「寒葵紹介したる写真には葉しか見えなくどんな花かと(花言葉:秘められた恋)」
「歌の中土に埋もるる寒葵外には出ぬか美しきとき()」
「寒の入りあとに続くは大寒も凍てつく寒さ小寒なりと
(小寒・大寒は二十四節季による分類)」
「今日からが寒であるらし終るのは節分までで過ぎれば春と(立春)」
「ギブスとれ食事も少し固くして快方に向く叔母を見舞えり()」
2016/01/05
「澄みわたる正月五日の庭の梅凛々としてひとつひらきぬ(鳥海明子)」
「花言葉『澄んだ心』は如何にして誰が決めるか気になり出した()」
「梅ならば菅公慕う飛梅がたぶん女と下衆は思えり(菅原道真)」
「わが家には家紋ありたり梅鉢の先祖辿れど江戸で不明に()」
「新たなる麦の芽雪下で顔出だす新春初めはたくましき日々
(正月1~5日を『雪下麦を出だす』という)」
2016/01/06
「鮭さげて女のはしる師走哉()」
「昔なら新巻鮭のことかいなたぶん小走り商家の女中()」
「追々に狐集まる除夜の鐘()」
「王子なる稲荷神社に関八州狐集まる晦日に会議()」
「行き逢うてそ知らぬ顔や大三十日()」
「あわただし大晦日には人も無視挨拶するは年明けてから()」
「貧乏は掛乞も来ぬ火燵哉()」
「掛け取りを待つも来ぬほど貧乏とさっぱりすれどいささか淋し()」
「いそがしく時計の動く師走哉()」
「気がつけばもうこんな時刻トキ気がつかず時計を変えたわけでもあらじ()」
「人間を笑うが如し年の暮れ()」
「舌だして笑うようなり年の暮あれもこれもと焦る人らは()」
「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな()」
「糸瓜咲き薬にせぬ間に痰つまるこれが辞世と知れば悲しい()」
2016/01/06
「『多作多捨』『多読多憶』に励めればやがて拓ける俳句の道は()」
「『前書き』を許してしまえば言い訳の俳句になりし避けたいものよ
(小春日やちょつぴり淋し任終る→民生児童委員を辞する小春かな)」
「十七音の型に納めて云いきれる心構えで発句されたし()」
「斜にかまえ変わった視点で見る人は軽くはずめるように詠め
(風の子も炬燵達磨となりにけり→風の子の炬燵達磨となつてをる)」
「禁止なり『だから云々』は詩ではない肝に銘じて取組がよし()」
「俳句とは無意味で不可解直感で突き刺さるものなんですよ(P.66)」
「『亡母ハハ』という表記に無駄なことばあり削って他の言葉に変えよ
(仏壇の亡母に供へし冬苺
→仏壇の母に真冬の苺かな
/冬菫病臥する人亡母に似て
→冬菫病人は亡き母に似て)」
2016/01/06
「月花や四十九年のむだ歩き(一茶『七番日記』より)」
「春は花秋は月だと半世紀むだに歩いていま家をもつ()」
「芭蕉とは旅を宿にとしたるなか一茶は帰るふるさとの地に()」
「一茶とは多作他社なる法をとるその数二万にあ()」